音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

「ハーディングフェーレを作る、奏でる」に行ってみた

すでに昨日になってしまいましたが、

タイトルにもある通り、ハーディングフェーレを堪能してきました。
文字通り本当に「堪能」させていただきました。

いきなりこう書いても???って人がたくさんだと思うので、
今回の経緯をかいつまんで。


もともと私は音楽を専門に勉強してきた人です。
どちらかと言うとジャズやクラシック寄りであることは否めないんですが、
それでもアイリッシュ音楽をはじめとしていろいろな民族音楽も少しかじっていました。
そんな時に出会ったのがこの楽器、ハーディングフェーレです。
私はずっとハルダンゲルヴァイオリン(ハルダンゲルフィドル)と言ってたんですが、
このブログではハーディングフェーレで通します。

この楽器はノルウェーの伝統楽器のひとつです。


見た目はヴァイオリンですが、ほんの少し小ぶりな印象。
特徴的なのは装飾ですね。
ペグ、といわれるネジ状のものがたくさん付いている部分、
その上に彫刻めいたものが施されていたり、
指板、といわれる奏者が弦を押さえつける場所とか、
表板や裏板、側板などにも綺麗な模様があるのが特徴です。

そんなハーディングフェーレを製作している日本人の方と、
偶然にも私が知り合いだったというところから話が始まるんです。

その方、原圭佑さん(以下、ケビンさん)とは、
2~3年前くらいに偶然お会いしたんです。
私はずっと原さんのハンドルネームであるケビンさんと呼んでいました。
Twitterで相互フォロワーになって、
お互い共通の話題でもあるゲーム音楽のこととかリプしあってたんですね。

ここからは私事になるのですが、
昨年、病で入院したのを機に、一度Twitterをやめたんですね。
そこでケビンさんとも疎遠になってしまったわけなんですが、
先月あたりに偶然ケビンさんが、Twitterを再開した私を発見してくれたんです(笑)
いやぁ、あの時は嬉しかったなぁ・・・

以前からケビンさんがヴァイオリン製作をされていることは知ってましたが、
まさかノルウェーまで渡って、ハーディングフェーレ製作をされているとは。
驚きました。

そんなケビンさんが極秘で日本に帰っていること、
そしてケビンさんのRTで今回の会を知った、という次第です。



前置きが長いのは私の仕様です、すいません(笑)



「北欧ヴァイオリン(ハーディングフェーレ)を作る、奏でる」
2016年7月19日(火)19:30~
さんさき坂カフェ(谷中)
お話:原圭佑、酒井絵美 (以上敬称略)



参加しようかどうしようか迷っていたのは事実です。
今回の主催者でもある酒井絵美さん(以下、えみさん)のことは、
ほとんど知識を持ってませんでしたし、きっと常連さんも多く来られるだろうし、
そういう場所があまり得意ではない普段の私であったらきっとスルーしてたと思うんです。
ただ、グリーグシベリウスなどの北欧の作曲家の音楽に慣れ親しんでいましたし、
何よりもケビンさんが直に楽器製作のことを話してくれるという機会は、
今後日本であるかどうか怪しい、とも思ったんですね。
やっぱり音楽大好きっ子である私が勝ってしまった、というわけです。

場所は千駄木駅からほど近いカフェ「さんさき坂カフェ」さんです。
日頃からもアイリッシュ音楽などのミニライブなんかもされている場所らしく、
私は全く存じあげなかったのですが、チキンカレーが美味しかったです(唐突)。



当日。

仕事を早めに切り上げて、日暮里駅へと降り立ったのが19時過ぎのことでした。
ここから谷中霊園のまっただ中を突っ切って開始時間5分前に到着。
カメラマンの女性の方が看板などを撮影されていたので、邪魔しないように店内へ。
すると結構な人数がすでに待機されてました。
(※結局満員御礼だったみたいです)

空いてる席を探していると、
ちょうど一番奥があいている、と教えていただいたので、
年配の男性の隣に着座。
するとそこは、まさにケビンさんの真横だったわけです(笑)
要するに一番前の席を陣取ってしまった、ということですね。

どうやら今回のイベントは突発的に企画をされたものだったようです。
21日に北海道で同様のイベントがあったそうで、
東京でもやってほしいという要望が多くあって今回のイベントとなりました、
という経緯をえみさん自らが説明されていました。

イベント、といってもそれほど堅苦しいものではなく、
私は注文したチキンカレーとコーラを交互に口に運びながらまったりと話を聞いていました。


お客さんの層はかなりバラバラだった印象です。
ヴァイオリンの製作をしている人や北欧文化に詳しい人が多数来られていたようです。
こりゃ場違いなところに来てしまったか、と少し後悔したのも事実です。
ただまあ、ケビンさんが近くにいたのが救いだったような気がします。

えみさんは東京芸大を出られたとてもステキなヴァイオリン奏者、
ではなくて、ハーディングフェーレ奏者の方です。
あ、ヴァイオリンもものすごく素敵に演奏されてましたけど^^;
しゃべりもかなり達者なようで、時折冗談を交えながら楽しくケビンさんと会話されてました。
急遽イベントだったこともあり準備不足感はありましたけども・・・(笑)

最初はノルウェーのお話から。
ケビンさんが、投影された北欧の地図をバックに地理的な説明がはじまります。
首都オスロ、ケビンさんが今住んでいる場所などの説明、
そしてハルダンゲルフィヨルドの場所の説明など、
普段あまり知ることのない知識をここでたくさん手に入れることができました。

私も一度北欧は巡ったことがあるんですが、
フィヨルドも見てませんし、何よりオスロ以外行ってないという・・・
デンマークは結構長く滞在してたんですけど(笑)

そして、えみさんによるハーディングフェーレ演奏です。
間近でこれだけの演奏を見られる機会はそうそう無いでしょうね。
感動してました。


そして話はハーディングフェーレの歴史に移ります。
最古の楽器の話など興味深いお話がありましたが、
ノルウェーを代表する作曲家グリーグの話に入った時に、
少し興奮していたのを覚えています。
えみさんがハーディングフェーレの共鳴弦を順に弾いて、
ケビンさんが「この音、聞いたことありませんか?」と客席に尋ねます。

ここでちょっと自慢してしまいますが、一瞬でわかりました。
まあ、学生時代に勉強していたってだけなんですけど。
ハーディングフェーレのこの音色をもとに、
グリーグペール・ギュントの有名な曲「朝」のモチーフを作った、というのは、
割と有名なお話ですし。

そしてハーディングフェーレの歴史を紐解いたあと、休憩タイムになりました。
ここでは楽器の撮影会が盛況だったみたいです。

この後くらいだったと思うんですが、
今回のイベントのお客さんの中に、
スウェーデンの楽器、ニッケルハルパをお持ちの方がいらっしゃいまして。
楽器を披露する流れになったんですが、
ここでも撮影会がすさまじいことに(笑)
メインのハーディングフェーレを食わんばかりの撮影ぶりでした。
少し演奏もしていただけて、とっても眼幅でございました。


さて。

えみさんの素敵な演奏を挟んで、ここからハーディングフェーレ製作のお話です。
豊富な写真をもとにケビンさんが詳しく説明をしてくれます。
この辺りで実はものすごくおしりが痛くなってまして‥‥‥(笑)
固い木の椅子、というよりも木のベンチみたいなものにずっと座っていたので、
おしりが悲鳴をあげていました。
ま、そんな痛みも忘れるくらいに製作秘話は楽しかったんですけど。

ちなみに、このケビンさんが製作されたハーディングフェーレ第一号は、
作曲家の光田康典さんのところへお嫁に行かれたようです。
ケビンさんのFacebookにその時の記事が書いてありますので、
良かったら御覧ください。 https://t.co/Y2A3m2F3nQ


ちょっとだいぶ駆け足になってしまいましたが、
イベントの雰囲気が伝わりましたでしょうか。
私自身は音楽を専門に勉強してきた、ということもあって、
そっち方面のアプローチでイベントを楽しんでいたんですが、
北欧文化からの見地や、ヴァイオリン製作者からの見地なども
一度食事でもしながら聞いてみたいなぁ、と思いました。


えみさん、ケビンさん・・・あ、最後くらいはちゃんと書いておかないとですね。


酒井さん、原さん、そしてさんさき坂カフェの皆様、
楽しいイベントをありがとうございました。
またこういう機会があることを切に願っています。
あと、もっとハーディングフェーレの演奏聞きたい~♪