とあるピアニストのリサイタルでのことです。
私は前から17列目、後方ブロックの前から二列目にいました。
演奏が進み、緩徐楽章へと入ったところでそれは起こります。
携帯電話の着信音らしき電子的な音がピピピピピッっと4、5回ほど鳴り響いたのです。
普通であれば、一回鳴った時に慌てて音を消す努力をするものだと思うんですが、
そういった感じもなく、くぐもった着信音がホール内に鳴り響きました。
事前の館内アナウンスでも「携帯電話の電源はお切りください」と言っているにも関わらず、
こうした事例が起こるのは何故なんでしょうか。
サブカル系の演奏会(オケ、ブラスなど)では、
その演目ゆえか、割と「お一人様」でこられるお客様が多いんです。
そういう方々というのは、一人で携帯ゲーム機をもてあそぶ人もいるのですが、
大抵はスマホやタブレットなどの端末を開演ギリギリまで触っていることが多いようです。
そして、ギリギリであるがゆえに電源をONにしたままカバンやポケットにしまっています。
さらに、前半の演奏が終了して休憩に入るやいなや、スマホを取り出して操作し始めます。
たぶん、休憩中や終演後に端末の立ち上げをするのがめんどくさいから、という理由なのでしょう。
どうせメールや電話がかかってくることなんてほとんどないだろうから、という理由なのでしょう。
鳴ったとしてもマナーモードにしていれば音が漏れ出ることはない、という理由もあるでしょう。
しかし、考えてみてください。
たとえ電話やメールが来る確率として低いものであるとしても、
持っている端末は音を発する状態になっているんです。
マナーモードであっても、ヴァイブレーターの音が低音で響くはずなのです。
そして、その確率を引き当てたのが、静かな音楽の時だったとしたらどうでしょうか。
流麗な旋律が奏でられている時、けたたましく電子音が鳴り響いたとしたら。
くぐもったヴァイブレーションの響きがその時響いたとしたら。
一部のお客さんの「めんどくさい」という理由で、その演奏会は興ざめしたものになってしまうのです。
一部のお客さんの自己中心的で身勝手な行動が基で、
演奏を聞きに来ている大多数の人が迷惑を被ることになるのです。
以前にもこのブログで、怒りに任せて感情的にこのテーマについて書いたことがあります。
「演奏中に飴を取り出して袋を開ける音が聴こえてくる」
「ホール内の照明が暗いままなのに、手持ち無沙汰でパンフを大きなめくり音を立てながら読む」
「演奏中に小声でヒソヒソ隣の彼氏(彼女)と話す」
といったことが日常的にいろいろな演奏会で繰り広げられています(笑)
特に「演奏中に飴」というのはかなりの頻度で遭遇します。
- 飴の大袋を取り出すために、鈴のついたカバンをあさります。(音1回目)
- そして大袋を見つけて、その中から小分けされた飴を一つ取り出します。(音2回目)
- そのあと、小分けされた飴の包紙を何故かゆっくりと開ける作業に入ります。(音3回目)
ホール内は乾燥している事が多く、どうしても咳が出やすい環境になっています。
だから水分を補給するという意味で飴を口に含むというのは理解できます。
しかし、それをなぜ演奏中にしてしまうのか、そしてその行為に対して罪の意識を持たないのか。
演奏をしている側から見て、そういったマナー違反を見るとどう思うんでしょうね。
視点を変えてこういうことを考えてみることも実はあります。
前述のピアニストの時は音が鳴っていても動じた様子はありませんでしたけれども。
でも内心では「うるせえなぁ」とか思ってるんでしょうかね~。
舞台上で活動されている方々の意見も少し聞いてみたい気がします。
電車に乗っててたまにいるんですけど、
咳をするときに手で覆ったりハンカチを口に当てたりっていうことを全くしない方がいらっしゃいます。
私からすると、トイレに行って手を洗わないのと同じくらい非常識な振る舞いなんですけどね。
演奏会でもこういう人が結構いらっしゃいます。
ホールによっては、そうした注意書きをパンフなどに記載していたり、
館内アナウンスで注意喚起をしてたりするところもあるんですけども。
咳とかくしゃみをするときはなるべく音を響かせないようにハンカチやタオルを口に当てる、
というのは常識なんだろうな、と思ってたんですけど、
ご年配の男性を中心に、そんなことに頓着しない方がかなりいます。
「生理現象なんだから仕方ないだろ」って思う人もいるでしょうけど、
演奏中にそれらを聞くのは、ノイズ以外の何物でもないと思うんですよね。
出来るだけ音を抑えようと努力してる人も少なからずいますけど、
だいたいホール内で残響音を響かせつつくしゃみや咳が蔓延していることが多いと思います。
ハンカチやタオルを持って演奏会へ来るべきなんじゃないでしょうか。
あと、前述のピアノリサイタルの時にもいたんですけど、
たぶん恋人同士か若い夫婦かわかりませんけど、
演奏中に耳元で囁き合ってるお二人がいたんですよ。
休憩中とか終演後にいくらでも話せるはずなのに、ことさら演奏中にそういう行為を行ってるんです。
これまでにも散々書いてきましたけど、
演奏会に来る人の主目的って「演奏を聞くこと」ですよね。
デートであれお一人様であれ家族連れであれ、主な目的なこれなんです。
しかし、そうではない人も一部いらっしゃるようでして・・・
いびきかいて寝てる人や演奏を見ないでひたすらチラシを見てる人とか。
特にチラシやパンフレットを演奏中に見るというのが私にはどうにも理解できません。
前にも書きましたけど、あんな暗い中で小さな文字を追うことに意味があるんだろうか、と。
演奏会というものは五感で楽しむものだと私は考えています。
演奏している姿を見る、というのも立派な鑑賞の一つだと思っています。
ですが、ずーっと下を向いて照明がおちたホール内で必死にパンフを熟読している人が結構いらっしゃいます。
あれ、目が悪くなると思うんですけど(笑)
まあ、黙って見てる分には良いんですけど、
パンフやチラシって紙じゃないですか。めくったり折れたりすると音が出るんですよ。
特に緩徐楽章を演奏してる時にそういう音がすると、私なんかはそういう音を出してる輩を叱責したくなります。
私の場合はパンフは開演前に読み、演奏が始まる前には鞄にしまってしまいます。
演奏を聞きながら、パンフに書いた解説を読む必要なんて皆無だと思うんですけどね。
カバンの問題というのもありますね。
演奏中に鞄の中を見る必要なんてないはずなんですよ。演奏中なんですから。
飴を取り出すため、なんて言語道断ですし、飴なんて演奏前にいくらでも準備出来るはずですからね。
こうした行為を、何の罪の意識もなく平気でやってる一部の方々のせいで、
その演奏会がとてもつまらないものとなってしまうことは往々にしてあります。
自分のしでかした行為がもたらす結果を考えながら、
演奏会のマナーというものをもう少し深く考えてほしいな、と思いました。
なーんて書いてきましたけど、
個人的には、音楽を楽しむのはどんな方法でもいいと思ってます。
わーわー言いながら鑑賞するのも一つの手法としては有用性がありますし。
ジャンルによるのかもしれませんよね。
クラシックみたいにホールで静かに聞くような場面ではこうした方法はよくないですし。
ライブハウスでロックなんか聞くときは、一緒に飛んだりはねたりして楽しむものですし。
結局はその人の音楽性によるんでしょうかね、こういうのって。
いや、音楽性ではないか。
その人の人間性なんでしょうかね。あとは想像力があるかどうか。
想像力のない人だと、自分の行為がどういう結果をもたらすのか理解できるはずです。
相手の立場になって物事を考えることが出来るのって、結局は想像力なんですよね。
もっと想像力を鍛えて欲しいと思いますし、私も磨き続けなければな、と感じました。
うーん、うまくまとまらない・・・(笑)