音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

Music 4Gamer # 2 ワンダと巨像ピアノ&オーケストラコンサート



ワンダと巨像、というゲームが発売されたのは今から13年前、2005年のことになります。
その4年前に発売された「ICO」という革新的なゲームを作られた、
ゲームクリエイター上田文人さんによる作品です。
ICOもそうですし、ワンダと巨像もそうなのですが、
どこかはわからない異国の地で、少年が冒険をするという設定はあまり変わらず、
ギミックと世界観、そして音楽でプレイヤーをひきつける作品です。
特にその世界観は独特で、説明らしい説明がほとんどなく、
プレイヤーはコントローラーを手に茫然とすることが多いんですけど、
極端に文字による情報を排除したゲームデザインは、当時コアなファンを魅了し、
10年以上経過した今でも、数多くのファンがいる作品でもあります。

そんなワンダと巨像のコンサートが開かれることとなったので、
是非もなくチケットを購入し、いそいそと出かけたのでありました。

Music 4Gamer #2
ワンダと巨像 ピアノ&オーケストラコンサート
2018年3月9日(金)
開場18:00 開演19:00
Bunkamuraオーチャードホール(渋谷区)

ピアノ:末永匡
指揮:柴田真郁
演奏:東京交響楽団
合唱:東響コーラス

プレトーク司会:野島健児(ワンダ役・声優)
プレトークゲスト:大谷幸(作曲家)、北原恵一(SIEサウンドデザイナー)


プログラム
■第一部(ピアノ&弦楽オーケストラ)
1.「プロローグ~古えの地へ~」~「禁断の術」~「掟」~「黒い血」~「蘇生」
2.「荒ぶる邂逅~巨像との戦い」~「甦る力~巨像との戦い」
3.「湖畔」
4.「忍び寄る影~巨像との戦い」
5.「祈り」
6.「ワンダの死」
(作曲:大谷幸 編曲:林そよか)

■第二部(オーケストラ)

7.「プロローグ~古えの地へ~」~「禁断の術」~「掟」~「黒い血」~「蘇生」
8.「巨像の気配」~「異形の者達~巨像との戦い~」~「開かれる道~巨像との戦い~」~「戦いの終り」~「偶像崩壊」
9.「荒ぶる邂逅~巨像との戦い~」~「甦る力~巨像との戦い~」~「静寂~巨像との戦い~」~「力への畏怖~巨像との戦い~」
10.「最果ての地」
11.「背後からの使者~巨像との戦い~」~「反撃~巨像との戦い~」~「鳥葬」~「放たれた番人~巨像との戦い~」~「絶望との別れ~巨像との戦い~」~「駿馬」
12.「儀式の終焉~巨像との戦い~」~「廃虚の門番~巨像との戦い~」~「エピローグ~残されし者たち~」
13.「希望」~「陽のあたる大地」
(作曲:大谷幸 編曲:江口貴勅(7,9,11)、穴沢弘慶(8,10,12,13))

(以上、敬称略)


オーチャードホールに入ると本日のスケジュールが出てました。
それによると、
第一部が25分、休憩を20分挟んで、第二部が70分となってます。
そして気になったのが「トーク」と書いてあるところです。
開演前にプレトークをやるんだ、と少し心がウキウキしてました。
もしかして上田さん来るのかなぁ、とか、
大谷さんのご尊顔を拝することができるのか、など、
いろいろと妄想をしつつ会場内へ。

オーチャードホールはおよそ2150席を誇る日本有数のコンサートホールです。
実は私、この公演の5日前にもここを訪れています。
3/4(日)に「ウエストサイドストーリー」の演奏会形式による公演がありまして、
それを堪能しておりました。一週間に2回も同じホールを訪れたのは久々です(笑)。

前から2列目の真ん中やや左寄りの座席へ座ります。
かなり前よりなので、音のバランスが気になるところではありましたが、
左寄りということでピアニストの指やペダルなどが間近に見られる好位置でもあるので、
そこはそれで納得した自分がいたりいなかったりします。

18:35になり、正装でマイクを持った男性が舞台中央へとやってきます。
声優の野島健児さんです。ワンダと巨像では主人公である少年ワンダの声を担当されています。
司会の野島さんの紹介で二人の方が舞台上に登場されました。
一人は、ワンダと巨像の音楽を担当された大谷幸さんご本人、
そして、PlayStation2版の開発で効果音などの作成などを手掛けられたSIEの北原恵一さんです。
司会をされている野島健児さん、登場された時から少し緊張された様子でしたが、
その後の司会では、観客の笑いを誘っていたりお茶目な一面も垣間見せていました。
かなり貴重なお話もされてましたけど、ここでは内容については深く書きません。
ワンダと巨像の効果音を録音するために、夜の公園へと赴いて、
大きなレコーダーを首からかけてマイクを持って音を録っているところに、
巡回中の警察官が現れて職務質問をされたエピソードなどを語っていました。
(それ以外は、会場に来られた方限定のお話ということで・・・)

20分ほどのプレトークが終了し、開演の合図が鳴ると、
登場されたのはピアニストの末永匡さんです。
最初の2曲はピアノ独奏によるものなので、譜めくりの女性とのコンビで登場です。


と、ここからは演奏された曲の紹介や感想を書いていくのですが、
ゲームと絡めてお話をすることはあまりいたしません。
(ネタバレしない程度に、システム的なことは書くと思いますけど)
私自身もPS2版やPS3版を何度もクリアした経験があり、
ゲームへの思い入れも人一倍強いことは強いのですが、
そうなるとこのゲームのネタバレに言及せざるを得なくなりますので、
このブログではゲームのストーリーなどに関するお話はあまり書きません。
なので、ゲームをプレイされていない方も安心してお読みいただけるかと思います。

1.
「プロローグ~古えの地へ~」の冒頭、
原曲ではブズーキと呼ばれるギターのような民族楽器の音色から儚げに始まるのですが、
最初にピアノの音色を聞いたときに背筋がぞわっとしたのを覚えています。
末永さんの、たおやかなピアノの音色が会場内の空気を一変したように思えました。
しわぶき一つなく耳が痛くなるほどの無音の中で奏でられる一節のメロディ。
哀愁とも絶望ともとれるその淡く仄暗い音色に私の心はわしづかみにされました。
林そよかさんによるピアノ編曲も素晴らしかったですね。
「禁断の術」として「掟」と静かに、時に力強く曲が進んでいき、
「黒い血」が奏でられるところで世界が変わっていきます。
現代音楽のような不穏な響きが突如あらわれ、
しかしその不穏な響きも「蘇生」が始まるとまた静かな演奏へと戻っていきます。
原曲は、パイプオルガンの音色なども登場し教会内で演奏されるかのような、
荘厳な響きに満ちた曲ではあるのですが、ピアノでもその荘厳さは際立っていました。


2.
2番目の巨像で登場する曲「荒ぶる邂逅」ですね。
原曲ではオーケストラによる響きが力強い名曲なのですが、
どうしてもピアノだとその迫力には負けてしまいます。
この曲をピアノソロでどう編曲されるのか、演奏前から気になっていたのですが、
原曲に寄り添いつつ、かなりテクニカルなアレンジになっていました。
末永さんが演奏されてると、技巧的とは感じなかったんですけど、
実際は演奏するの大変なんだろうな、という感想を抱きつつずっと指とペダルを見てました。
巨像登場時、そしてワンダ劣勢時に流れる「荒ぶる邂逅」に対して、
ワンダが優勢になった時に突如切り替わって流れるのが、
ワンダと巨像内でも屈指の人気曲、「甦る力」です。
この曲をゲーム内で聞くと「100%負ける気がしない」曲ですね(笑)
ピアノ独奏版であるこちらも、なかなか負ける気がしない曲に仕上がっていました。
ちなみに、私はこの曲で泣きそうになってました。


3.
この曲からは東京交響楽団(東響)の弦楽が加わってのアンサンブルとなります。
フルオーケストラとは違って、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロ、弦バスグループのみとはいえ、
ピアノ独奏とは違って、協奏曲的な趣きのある音色になってましたね。
3曲目の「湖畔」は、原曲は30秒ほどの短いものです。
かなり奥行きのある響きを持ったジングル扱いの曲なのですが、
それを数分の曲へと昇華させるのも一苦労だったと思います。
調性を変えたり構成を変えたりといった苦労の跡をうかがい知ることが出来ますが、
原曲の持つ美しい響きが、弦楽のピチカートとあいまって、
包み込むような音色をホール内で奏でていて、ちょっと涙ぐみそうになりました。


4.
「忍び寄る影」。確か初出は4体目の巨像だったと記憶しています。
編曲者の林さんも書かれているのですが、弦楽の響きが特徴的な曲です。
これこそ弦楽オケにうってつけの曲ではあると思います。
原曲には入っていないピアノの音色をどう味付けに加えるのか興味がありましたが、
弦楽の不穏ながらも響きのある音に合いの手のごとく割り込んでくるピアノの音色が、
冗長になりそうになる雰囲気をガラッと変える力を有していました。
ピアノの縦横無尽な音色がその不穏さに拍車をかけたり抑え込んだり、
効果的に使われているのは驚きでした。
巨像の登場シーンで使われていることもあり、全体的に暗めな音色ではありましたが、
それでもほんの少し希望が見えるような気がしてもがいているようにも感じられて、
聞いてて緊張感を強いられる楽曲でありました。
東響の弦楽が上手いことは以前から知ってはいたのですが、
後に語るアンコール曲も含めて、東響の本気を見る思いがして心地よかったです。


5.
「祈り」。原曲でもピアノが主体となって奏でられる曲です。
原曲へのリスペクトが感じられるアレンジになっていました。
原曲では登場しない弦楽とのアンサンブルでしたが、
ピアノに寄り添うように、時にはピアノを先導していくように、
緩やかに、でも力強く変化する音色に文字通り翻弄されてました。
ドラマのBGMのようなちょっと洒脱なメロディなのですが、
そこに弦楽が加われることによって化学変化が起こり、
自分の中の儚い感情が揺り動かされるのを感じました。


6.
「ワンダの死」。確かGAME OVER時の曲でしたか。
こちらも「湖畔」と同様ジングルのような扱いのものです。
エスニックな香りがほのかに曲中に漂っているんですが、
1曲目で登場した曲「蘇生」に少し通じるものを感じました。
電子楽器独特の音色で奏でられる尊厳と死のテーマ。
繰り返しながらその様子を徐々に変化させるアレンジ。
こちらの曲も聞いていて泣きそうになりました。
弦楽とピアノ、特にピアノの音色が切なく響きます。


第一部終演。

末永さんが拍手に送られながら舞台袖へと捌けていくんですが、
拍手は鳴りやまず、再度登場して客席へ向かって一礼。
クラシックではよくある光景なのですが、ここで見られるとは思いませんでした。

第一部、ピアノと弦楽オケによる演奏でしたが、
一人のアレンジャーの方がすべてのアレンジを手掛けられているからか、
その世界観の統一具合が半端なく素晴らしかったように思いました。
RPGゲームのように、回を重ねるごとに盛り上がっていくというわけではないんですけど、
技巧が凝らされていながらも原曲への愛情を感じることが出来る素晴らしい演奏でした。



20分の休憩。
物販へ行く方もいればトイレ休憩や水分補給をされる方もいらっしゃいましたが、
一つに気になったのがビニール袋の音でした。
たぶんグッズを購入時に入れられる袋だと思うのですが、
公演中にその袋が動いてこすれる音や耳障りな音が響くことが極々たまにありました。
床に直接置くことに抵抗がある方もいると思うんですが、
手に持っているとどうしても袋の擦過音がしてしまうので、
演奏前後や休憩の際は全然構わないのですが、できれば床に置いておいてほしいと思いました。

うれしかったのは、私の隣にいたお客さんがちゃんとスマホの電源をOFFにしていたことです。
開場後のホール内アナウンスでも言っていたので当たり前と言えば当たり前なのですが、
クラシック音楽の演奏会であれゲームの音楽の演奏会であれ、
スマホの電源を入れたままカバンやポケットにしまう姿を幾度も見ているので、
そうした当たり前のことをしていることに感動してしまう自分がいます(笑)。


第二部開演。
ここからは東響、東響コーラスの皆さんが登場してフルオーケストラによる楽曲演奏です。


7.
第一部の1曲目と同じ構成ですが、こちらはフルオケでの演奏です。
最初に思ったのは、ブズーキで奏でられる出だしの旋律でした。
ブズーキがギターのような形状をしている楽器ということもあり、
同じ弦をはじいて音色を出す楽器、例えばハープなどが使われると思ったんですが、
あの旋律を一つの楽器ではなく複数の楽器が数珠つなぎのように演奏するのは意外でした。
「プロローグ~古えの地へ~」の出だしこそ驚きはしましたが、
そのあとは原曲になぞらえた編曲だったように思います。
ちょうどサウンドトラックの1曲目から5曲目がそのままメドレーになっているので、
聞き慣れた、というと語弊があるかもしれませんが、安心して聞くことが出来ました。
ピアノ独奏版とも原曲ともまた違う解釈が盛り込まれていて、血沸き肉踊りました。


8.
ゲームでは、巨像との戦いの際に2つの曲が交錯します。
自分が劣勢であるとき、そして自分が優勢であるときの二つです。
第一の巨像が支配するエリアへ入った時に奏でられる「巨像の気配」。
原曲ではおそるおそるという印象のあったこの曲が、
少し驚きを倍増させて恐怖で味付けしてみました、というアレンジが施されていて、
気が付いたら手汗びっしょりでした・・・緊張感がすごかったです。
そして劣勢時の曲「異形の者達」と優勢となった時の曲「開かれる道」が、
交互に、というよりも交錯して演奏されます。
インタラクティブという言葉が頭の中に浮かびましたが、
大谷さんのたっての希望でこういうアレンジになったのだそうです。
ゲーム内ではどうしてもぶつ切り感が否めなかった部分もあったので、
こうしてシームレスに二つの曲がつながっているのは聞いてて心地よかったですね。
そして巨像を倒した後の曲「戦いの終わり」から「偶像破壊」へのメドレー。
祈りのような希望のような旋律が印象的ですが、
激しい演奏のあと静けさが不意に訪れた時のちょっとした哀しみも感じました。
この時、客席にいた人たちの脳内ではきっと「あの効果音」が流れていたんでしょうね(笑)


9.
第二の巨像との戦いで流れる曲「荒ぶる邂逅」と「甦る力」、
第五の巨像で流れる「静寂」、第三の巨像で流れる「力への畏怖」のメドレーです。
いやもう、ここで涙流しちゃいました。
全部大好きな曲だったこともそうですけど、
東響の皆さんがずっとあれだけのテンションを持続して演奏されたことが、
嬉しいのとすごすぎるのとで圧倒されて涙が出ました。
こちらの曲も「荒ぶる邂逅」と「甦る力」が交錯して出てきます。
「甦る力」の方は出だしからワンコーラスだけの登場でちょっと悲しかったですが、
「荒ぶる邂逅」が分かれて流れてきたので哀しみはすぐに薄れました。
「静寂」はあの巨像のときに初登場する曲ですが、
何度あれで失敗したことか、と嫌な記憶とともに流れてくる曲でもあります。
「力への畏怖」は第三の巨像の時の曲ですが、
これ、絶望感がはんぱないですよね。あの巨像のフォルムと相まって。
PS2版をプレイしていた当時、この巨像で延々と悩んでました(笑)。
4曲中3曲がテンション120%の曲なので、演奏されている方々は大変だったと思います。
でも、ここで初めて泣きました。そのくらい感動しました。


10.
「最果ての地」。この曲、本当に好きでして。こちらも人気曲ですよね。
この曲、とあるところで聞くことが出来るんですが、
穏やかでとても神秘的な曲です。
ブズーキがメロディを奏でる原曲ですが、こちらはハープが担当されてました。
いろいろと弦楽のテクニックを駆使した演奏だったり、
木管がその音色に彩りを添えた音色を奏でたりと、
原曲とはまた違うアプローチでアレンジされていて気持ちよく聞けました。
これが一度限りの演奏会用にアレンジされたものって思うと、
もったいないような、でも一期一会でいいかも、なんて思ったりして、
なんとか再演してくれないものか、と昨日終わったばかりの演奏会の再演を期待するくらい、
素晴らしいアレンジだったと思います。


11.
何気にタイトルが意味深な「背後からの使者」。10体目の巨像で登場します。
そしてその10体目に対して優勢になった時に流れるのが「反撃」ですね。
「鳥葬」を経て8体目の巨像で流れる「放たれた番人」と「絶望との別れ」。
そう、私もどうしていいか最初分からなかったあの8体目の巨像の曲です。
曲を聞いているとその光景がありありとよみがえってくるんですが、
特にこの「放たれた番人」からの「絶望との別れ」はかなり長い時間聞いてたこともあって、
脳内に刷り込まれるくらいに聞いた記憶があります。
そしてアドレナリンが出まくる曲「反撃」です。
「甦る力」とはまた違うベクトルの曲ではありますが、やはり熱いです。
そしてワンダの乗る愛馬「アグロ」。
「駿馬」という曲はまさにこのアグロのための曲ではないかと思います。
勇壮な行進曲のようにも聞こえる曲ですが、
絶望よりも希望が優ったような印象のある名曲です。もうかっこいい!!
この曲もとあるシーンを想起させるのでちょっと辛いところもありますけどね。


12.
16体目の巨像の曲「儀式の終焉」、
そして15体目の巨像の曲「廃虚の門番」です。
そうなんです。これ順番が逆なんですよね。アレンジャーの意図だそうです。
「儀式の終焉」のほうが不穏で怪しくも落ち着いた雰囲気の楽曲で、
「廃虚の門番」のそれよりもテンションが若干低いことや、
その他さまざまな事由により演奏メドレー順を逆にしたのだそうです。
終盤にかかる曲であることもあってカッコよいというよりも荘厳な印象が圧倒的で、
実をいうとプレイしてたときはこの曲あまり聞こえてませんでした(笑)。
「途中で眠くなったらごめんなさい」と編曲された穴沢さんが書いてますけど、
とんでもない、これだけ緊張感を含んだ曲を聞いて眠れるはずないです。
かなり心地よかったことは事実ですけど・・・
そしてその迫力を余韻に「エピローグ」へとつながっていきます。
「プロローグ」でも登場した旋律が再び顔をのぞかせますね。
他の曲でもそうでしたが、この時のコーラスが涙腺を大きく刺激しておりました。
東響コーラスの素晴らしい歌声もあって、号泣しかけてましたね。


13.
「希望」というタイトルですが、
ピアノによる少しふしぎなメロディもあってか神秘的な響きが漂っています。
最初は不穏な響きも混じっているのですが徐々にそれが浄化されていきます。
生演奏でそのあたりがうまく表現されていたので驚きでした。
ピアノが加わったまま「陽のあたる大地」へとつながっていきます。
末永さんのピアノがたおやかであたたかかったこともありますが、
ここで私はまたまた泣いています。
泣かせてやろうっていう意思はなかったと思うんですけど、
曲自体のもつエネルギーに圧倒されて自然と涙がこぼれていました。
指揮者の柴田さんの熱のこもった指揮もあって、とても情感ある演奏となっていました。


東響、東響コーラスによる圧倒的な演奏、
ピアノの末永さんのサポート、
そして何より、第一部第二部と情熱と激しい動きで指揮をし続けた柴田さん、
これらが渾然一体となって紡ぎだしたワンダと巨像の世界。
本当に素晴らしかったです。ありがとうございました。

という気持ちで第二部終演したんですけど、その後アンコールがあったんです。

そして私はそのアンコールで文字通り号泣します。


14.
アンコール曲
「甦る力~巨像との戦い」~「荒ぶる邂逅~巨像との戦い」メドレー

まさかこれが来るとは本当に思ってなかったんです。
オケの3曲目でもちょこっとだけ「甦る力」が登場してましたし。
だから甦る力メインでアンコールが聞けたことが本当にうれしくて、
そして何よりその演奏が神がかり的にすごかったこともあって、
私は二列目で奏者からも丸見えであるにも関わらず号泣していました。

中でも弦楽の皆さんが渾身の力を込めて演奏している姿がすごくて、
(二列目だったので後ろの方の金管木管、打楽器の方が見えなかったんですけど)
素晴らしい演奏を届けてくれたことへの感謝と、
そして何よりもワンダと巨像が好きな人たちとこの場を共有できたことへのうれしさで、
涙をふくのも忘れてずっとそのアンコールを聞いていました。



最近年を取ったせいか、涙腺が緩みっぱなしで(笑)。


そしてアンコール終了後に万雷の拍手が。
さらに、作曲者の大谷幸さん、SIEの北原さんも登場し、
指揮の柴田さんと手をつないで客席へ一礼。
3人が舞台から捌けて、コンサートマスターがお辞儀をして楽団の皆さんが捌け始めても、
東響コーラスの最後のお一人が降壇するまで、その拍手がやむことはありませんでした。
中にはスタンディングで拍手をされている方もいて、胸が熱くなりましたね。


一時間ほどでザっと書いてしまったので、
ところどころでおかしいところもあるかと思いますが、
昨日鑑賞してきたワンダと巨像コンサートの感想は以上となります。


演奏をされた東京交響楽団、東響コーラスの皆さん、
ピアノを担当された末永匡さん、
指揮の柴田真郁さん、
プレトークの司会をされた野島健児さん、
貴重なお話を披露していただいたSIEの北原恵一さん、
そしてこの楽曲を作られた大谷幸さん。
また、裏方をされていたスタッフの皆さん、
さらには、このコンサートの企画運営をされた皆さん。
本当にありがとうございました。
あの場にいられて幸せでした。

再演、待ってます。