音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

藝祭2015 Game Sound Orchestraを鑑賞してきた

Twitterをたまたま見てたときにこの情報が飛び込んできたんです。

「ゲームサウンドオーケストラ」という東京藝術大学の面々が、

初めて藝祭で公にゲーム音楽を演奏するという情報でした。

演目はシャイニングフォース2とゼルダの伝説時のオカリナメドレー。


うん、この演目を見ただけでいこうと決めました(笑)



※今回は導入部少なめにしております。きっとこの後たくさん書くと思うのでw




Game Sound Orchestra


2015年9月5日(土)

開場16:30 開演17:00

東京芸術大学 奏楽堂


指揮:八木遼太郎

管弦楽:ゲームサウンド管弦楽団

編曲・ピアノ:永井秀和

(敬称略)


<Program>


武内基朗:交響組曲シャイニングフォース2~古えの封印~

1.蘇る光の剣士

2.ようこそ、私たちの街へ

3.エリス姫

4.戦士の目覚め

5.魔界の民

6.古代神殿

7.魔王降臨

8.フィナーレ


Intermission


近藤浩治ゼルダの伝説 メインテーマ


近藤浩治ゼルダの伝説 時のオカリナ組曲

1.タイトル

2.デクの樹のテーマ

3.コキリの森

4.城下町

5.ゼルダの子守唄

6.ハイラル平原メインテーマ

7.サリアの歌

8.嵐の歌

9.中ボス戦闘

10.ボス戦闘

11.ガノンドロフのテーマ

12.ガノンドロフ戦闘

13.ガノン 最終戦

14.六賢者封印

15.ボスクリアファンファーレ

16.スタッフロール


アンコールあり



※ちなみにこの楽曲の名前はパンフレット準拠です。実際のそれと異なる場合もあると思いますが、まあ気にしない気にしない。



そもそもなぜシャイニングフォース2(以下、SF2)というゲームを選ばれたんでしょう、

小一時間問い詰めたい気持ちでした(笑)

なぜなら私はメガドライブのこのゲームが大好きだったからです。

もちろんゼルダも大好きでした。だからこそ、と言う部分もあるんですが、

たぶん今までこのSF2の演奏をやったことってプロアマ含めて無かったのではないでしょうか。

あるかも知れませんが(^^;)


元々武内基朗さんの楽曲は大好きでした。

SF2だけではなく、ダブルムーン伝説からランドストーカーシャイニングウィズダムなど。

他にもたくさんありますけど、武内さんの独特の和声の移ろいがとても好きだったんですよ。

プレイしていた当時も曲の研究とかしてたくらいですし。

そんな武内さんの楽曲を生演奏で聴ける機会などこの先もきっと無いだろう、

とは思いませんけど(笑)、そのくらい貴重な機会だと思ったんです。


そりゃ行きますよね、ええ行きましたとも。



あ、感想でしたね。興奮してすっかり忘れてました。


SF2、生で聴けてホント良かった~!!

交響組曲とそんなに編曲も違ってないことも驚きでしたが、

きちんといろいろな音色をオケにちゃんと落とし込んでるところがすごかったですね。


最初の「蘇る光の剣士」(光の伝説)という曲はフィールド曲です。

出だしの金管のファンファーレで、むむむ???とは思いましたが、

そこはまあご愛敬と言うことで。

弦楽の安定感は本当にすごかったですね。その分ペットの不安定さが逆に際立つ結果になりましたが。

私、この曲本当に大好きなんですよ。今でもヘビロテしてるくらいに。

そらで譜面書けるくらいに好きなんです(笑)

目の前でその曲が演奏されている、ただそれだけでジーンと来てしまいました。


「ようこそ、私たちの街へ」は街の音楽です。

前半はクラリネット無双でした。後半は・・・何無双だろう(笑)

全体的に軽やかな旋律なんですけど、裏では大変なことやってるんですよね、この曲。


ここまで聴いて、低弦の安定感がものすごいな、と思いました。

特にヴィオラ、チェロ。

ヴィオラっていう楽器は実は大好きな楽器の一つなんですよ。

その昔学生時代にヴィオラのために曲を書いたくらいに。

演奏中もその辺りを中心に見ていたように思います。

割と前の方で見てたので後ろの木管金管、打楽器周りが見えなかったっていう理由でもありますけど(笑)


続いては「エリス姫」。ハープとフルートが大活躍します。

ハープが少し不安定なアルペジオ風の旋律を奏でて、

そこにフルートの優美なメロディがのっかります。

この曲のバランス感覚はいつもすごいと脱帽してしまうんですが、

そのバランスはこの演奏会でも十二分に活かされていました。

ハープもフルートもホントにうまいんですよ~!だから涙でそうになったんです・・・


「戦士の目覚め」はメドレー風の楽曲ですね。

最初のマーチ風の曲はいきなりTuttiから始まって、

勇壮に始まり、途中木管を絡めてのフーガっぽい感じのところが好きです(笑)。

そこから一気に上昇気流に乗るように戦闘のテーマが流れます。

これがまたかっこいい!!スネアが活躍するところです。

しかしその戦闘のテーマもとある旋律にかき消されます。

そこから・・・えーと何の曲だっけ。不穏なフィールド曲だったっけか。

後半の展開がめっちゃかっこよくて・・・ってさっきから語彙がこれしかでてこない。

ちゃんとそこもきっちり演奏されてましたね。

その後また戦闘のテーマに戻ってそのまま高らかに曲は終わります。

このメドレー、本当に格好良いのでぜひCDでも聴いてみてください。

ちょっとお高いですが。


「魔界の罠」です。確か電源を入れて最初に出てくる魔女のばばあ、

もとい、おばあさんのところで流れている曲ですね。

低弦のピチカートが不穏を煽ります。そしてアラビア風のメロディ。

ばb・・・おばあさんにピッタリです。

そこから敵の戦闘のテーマに移行します。

敵側の曲なのにめっちゃかっこいいっという矛盾(笑)。

変拍子が心地よい戦闘曲です。

そこから、えーと、ダンジョンの曲でしたっけ?誰にきいてんだw

ハイドンの「驚愕」もかくやと言わんばかりに打楽器が唐突に大音声をあげるところがあって、

そこがまた不穏な雰囲気を奏でます。

その不穏がかっちょいいイントロでかき消されて登場するのは味方の戦闘テーマ。

しかもクラスチェンジ後のとーーーってもかっこいいバージョンです。

全般的にスネアが大変な楽曲ですね(笑)


「古代神殿」。いきなり現代音楽です(笑)

その現代音楽的な響きを割って鉄琴の音が響きます。

そこから響きは神秘的なそれへと移行していくんですね。

鉄琴の音が鳴っている間はその神秘的な響きが続くんですけど、

木管が荒ぶるように旋律を奏でて、また神秘モードに。

弦の不安を煽るような、それでも少し希望が見えそうな気配を感じながら消えるように曲は終わりを告げます。

この曲、好きなんですよね。

ちなみに、この曲のあとサントラでは「キャラバン」という曲が流れます。

一番最初のメインテーマのマーチアレンジなんですけど、

「古代神殿」の後で聴くとさらに勇壮に聞こえてくるから不思議です。

残念ながら今回の演奏会ではこの「キャラバン」は流れませんでした・・・


「魔王降臨」です。いわゆるラスボス的な何かの曲ですね。

不穏な低弦の音色から始まります。

ミュートされたトランペットがボス曲を穏やかに演奏したかと思うと、

いきなり爆発したかのように金管が、そして弦が荒れ狂います。

まさに混沌、カオスですね。

時折あらわれる金管のファンファーレが味方の勇戦を表しているかのようです。

そこからまた最初に出た不穏な低弦のメロディが。

と、ここでまた爆発。荒ぶるメロディが激戦を物語るようです。

そして、ここからの音色がとても独特で、

ハープシコードを加工したような音が原曲では使われるんですけど、

それをどうやってオケで表現してたのか・・・忘れました(笑)。

でも、オケがとてもがんばっていたのは覚えています。

そしてそのまま大音声のまま曲は終わります。


「フィナーレ」。文字通りフィナーレですね。

メインテーマのメロディが弦で奏でられそれが上昇して展開します。

そのままTuttiで高らかにファンファーレ。

このフィナーレのメロディが本当にかっこいいんです。

金管の見せ場でもあるんですが・・・まあ、この話題は触れないでおきましょう。

プロでもあそこを決めるのは至難の業だと思いますし。

金管の難しさは私も理解しているつもりです。なので責めているつもりはありません。

ただ、決めるべきところで半分くらい決められなかったのは悔しいんだろうな、とも思ってます。

メインテーマの動機が有機的に使われているこの楽曲、

転調が本当に心地よいです。どこに落ち着くんだろうと一瞬不安になりますが、

ちゃんと元の調へと戻っていくんですよね。そのまま高らかに曲は終焉です。



あ、長く語りすぎた(笑)

それだけSF2の楽曲が好きってことで許してください。


10分間の休憩の後、いよいよゼルダです。


ゼルダは本当に好きなゲームの一つです。

謎解きとアクションが融合したとても楽しくて面白いゲームです。

シリーズがたくさん出てますけど、どれからやっても楽しめます。

なので、みなさんもプレイしましょう!!


と、宣伝したところで。


後半最初の曲は「メインテーマ」です。

このアレンジ、というか曲の構成は、25周年記念のCDに入っている、

ゼルダの伝説メインテーマ」と同じですね。

さりげなく「謎解き音」も入っているあの曲です。

最初はディスク版のOPのバージョンですね。

ただ、CD版には入っていた合唱は今回の演奏会には入ってませんでした。

それでも遜色はなかったですけれども。

そこから「神々のトライフォース」のタイトル画面でもおなじみのファンファーレ、

それに続いて神々のトライフォース版のメインテーマですね。

この曲、金管が大活躍してました。やっぱりメインテーマは滾ります。


そして指揮者が客席を向いてお辞儀をした後、

そのまま「組曲時のオカリナ」が始まります。


タイトル画面のあのリンクとエポナが平原を走っているシーン。

そこにピアノの音色が入ってくるんですけど、

もうゲーム史に残るOPですよね。

この曲もきちんと再現されていました。

ピアノの音色が聞こえてきた瞬間にびくっとなりました。


セットリストを見ると分かると思うんですけど、

なかなかオケで聴くことができない曲も入ってるんですよね。

「デクの樹さま」の曲とか「城下町」とか。

城下町の曲なんて最初は軽やかでしたけど、後半は全合奏になって迫力のある音色になってました。


そして、事件は「ハイラル平原メインテーマ」で起こりました。


何と途中で指揮者の手から指揮棒(タクト)が飛んでいったのです。

その時の指揮者の驚いた顔がはっきりと見えました。

ちなみにタクトが落ちた場所は、第1バイオリンの2列の間あたりでしたね。

ちょうどハイラル平原のテーマで一区切りだったので、

第1バイオリンの人が指揮者にタクトを拾って手渡してました。


しかし、それで事件は終わりではありませんでした。


その次に演奏された「サリアの歌」。

時オカでいうと迷いの森の曲でもありますね。屈指の名曲です。

熱のこもった指揮が続いていたんですが、その時またもタクトが宙を舞ったのです。

落ちたのはなんと指揮台の手前でした。ステージの客席側ですね。

その時の指揮者の悔しそうな顔がまたはっきりと見えました。

そしてそのタクトは演奏後も拾われることはありませんでした・・・・


そう、風が吹いてタクトが飛んでいったんだ。

これがほんとの「風のタクト」。

なんちゃって・・・・・



















話を戻します。



その件(くだん)のサリアの歌で気になったのがリムショットなんです。

いわゆるスネアの端の部分を叩くことですね。

太鼓の達人でいうところの「カッ」のことです(笑)

アレンジとしてはありだと思うのですけど音色としてはちょっとなぁ、と。

このリムショット、エンディングのサリアの歌でも登場するんですけど、

やっぱり気になりました。いや、悪い訳じゃけしてなくて、気になっただけです。


ちなみにハイラル平原はサントラ準拠でした。

ほぼ全てのバージョンが流れたので、そこがすごく嬉しかったです。

編曲もちょっと違っていてとても楽しく聴くことができました。


そして組曲の後半は戦闘曲メドレーですね。

中ボス~ボス~ガノンドロフと続きます。

どれも原曲を活かしながらもかなり面白いアレンジだったように思いました。

ガノン終戦の一騎打ちシーンは音楽聴くだけで萌えます、じゃない、燃えます。

そして、六賢者の手でガノンは封印され、感動のエンディングへと向かいます。


解説にも書いてましたけど、このエンディング曲、

ゼルダの子守唄とサリアの歌がメインになってるんですよね。

この曲、最後は鐘の音が鳴り響くように終幕となるのですが、

その後、ゼルダの子守唄が再度登場するんですよね。

そして、あの画面になるんですけど、これはネタバレになるので言わない方が良いですね。

演奏会でもこの最後のゼルダの子守唄もちゃんと流れて終わりました。


感動しました。これだけのメドレー、編曲も大変だったと思いますが、

本当に聴いてて楽しくて嬉しくて終始にやけていたように思います。

変態ではないですよ(笑)


ちなみにアンコールは「ゼルダの伝説メインテーマ」の後半部分の再演奏でした。


大好きな2つのゲームの音楽を生で聴くことができて本当に嬉しかったです。

演奏、本当にお疲れ様でした。



あ、そうそう、そういえば演奏会で偶然お会いした方がいるんです。

私も大好きなNESBANDの3ch担当のサキヤマさんです。

なんでも私のツイートをみて藝祭気になって来て頂いたみたいです。

ああ、嬉しかった。サキヤマさん大好きw

あと、二人のフォロワーさんとも入る前と終演後にそれぞれお会いしました。

世間は広いようで結構狭いですね(笑)



というわけでかなり駆け足になりましたが、演奏会の感想をお届けしました。

マチュアの演奏を聴くとどうしても弦のピッチのズレが気になってしまって、

演奏に集中出来ないことが多いんですけど、

今回の演奏会ではそのようなことはありませんでした。

拙いところも多少はあったと思いますが、初めてのゲーム音楽の演奏ということもあり、

緊張やいろいろな不安要素もあったのだろうと推察します。


ゲーム音楽を演奏するのにそのゲームに対する愛情が必要かそうではないかという議論があるんですけど、

私は「ゲーム愛はあるに越したことは無いけど、無くても良い演奏できたのならそれでもいいんじゃない?」と思っている人です。

プロオケがゲームの音楽を演奏する機会も多いです。

そういう方たちの多くは愛情ではなくプロ意識でその楽曲を演奏することになります。

確かにゲームに対する愛情も必要なのかもしれませんが、

愛情だけが先行してしまって技術がおろそかになってしまっては演奏自体がダメ、本末転倒になります。

あった方がいいのは確かですけど、無くても演奏が出来ないと言うわけでは無いと思います。


ちょっと不機嫌そうなコンサートミストレスの表情を思い出しながらそんなことをこの演奏会でちょっと考えました。


藝祭初めてのゲーム音楽の演奏、

是非来年以降も続けて欲しいなぁ、と本気で思います。


演奏者の皆様、そして指揮の八木さん、編曲、ピアノ担当の永井さん。

そしてスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

気づいていないと思いますが、SF2の演奏で涙した人が少なくとも一人ここにいます(笑)