音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

Push Generations Vol.1 雑感 (ほんのちょっとだけ改訂)

私は「ゲーム」が好きです。


ここ最近の風潮として、

ゲームの音楽は「アーティスト志向」が強くなってきたような気もします。

ここ最近のゲームのCMなどを見ていると、

「大御所作曲家がメインテーマを担当」とか

「あのFF13などを作られた◯◯さんが音楽を担当」とか

作曲家にスポットが当たるようになった、ということですね。

ファミコンが発売された1980年代当時、そんなことはほとんど語られなかったように思います。

任天堂セガといったハードメーカーやサードパーティがこぞってソフトを乱発していた時代、

そのゲームの音楽の作曲家にスポットが当たることはほとんどありませんでした。

「ゲームに付随する音楽」という意味合いで言うとそれが普通なのではないか、と。


ドラクエやFFといった人気RPGやその後たくさん発売された名作と言われるゲーム。

そこには印象に残る音楽があることは周知の事実です。

私も好きな作曲家は数多くいますが、

そこにスポットがあたってしまって、

肝心のゲーム自体にスポットが当たりにくくなるのはどうなのかな、とも思うんですよね。

確かに音楽も必須要素ではあるんですが、それはあくまでも要素であって、

ゲーム本来の楽しさや面白さを伝えきれていないんじゃないかな、とも思うんです。

そういう意味で言うと昔はそういうことを語ることなく、

ただ純粋にゲームを遊び興じることで十二分に満足していたんだな、なんてことを考えています。


誤解のないように言っておきますが、

これは私が考えている「一つの理論」というか理屈であって、

昨今の「ゲームの音楽事情」そのものを否定しているわけではないことはご理解くださいね。

ただ私自身が時代についていけてないだけだと思うので(笑)



少し話が真面目になってしまいましたが、

そんなゲーム黎明期の頃のお話が聞けて、

しかもそのゲームの音楽の生演奏も聞くことが出来る。

そんな画期的なイベントが先日ありました。



ゲーム・イベント

Push Generations! Vol.1

「携帯ゲームの話と、音楽を聞こう。」

2015年3月1日(日)

開場:17:15  開演18:00

会場:真昼の月 夜の太陽


(以下、敬称略)


メインパネラー:岡田智(元任天堂開発技術部部長)

ゲストパネラー:田中宏和(元任天堂、現某社代表取締役

ピアノ演奏:天宅しのぶ(元任天堂、現フリーランス楽家

実機音源演奏:NES BAND

(1ch:ヒトミch, 2ch:マツケん, 3ch:サキヤマ, 4ch:ホソタケ)

ゲーム講談:神田真紅

司会:ファミコンキッド

主催:まめ@takeda




(プログラム)


オリジナルカクテルのネーミング・・・(笑)



元々、NESBANDのライブを聴きたいという名目だったのですが、

ゲストの豪華さを見て仰天しました。

メインパネラーの岡田智さんといえば、

ゲーム機の開発者ということで、横井さんと並んで私もお名前はよく存じていましたし、

ゲストパネラーの田中宏和さんといえばポケm、もとい、

任天堂時代に数多くの開発、そしてゲームの音楽を担当された方ですし、

天宅さんといえば、ジャズ好きの私ですからもちろんお名前は存じてましたが、

任天堂時代に共作で音楽を担当された「ワイルドトラックス」とか死ぬほどプレイしました。

こんな豪華なレジェンドの皆さんが来られるイベント、

是が非でも行きたい、と思うのは当たり前ですよね(笑)


講談師の神田真紅さんは初めてお名前を知りましたが、

以前に知人に誘われて、講談は何度か見たことがありました。

ゲーム音楽のイベントに講談というミスマッチさがまた新鮮で楽しそうだな、と。



その話の前に。


実は2月末にボストンに出張してまして。

それと27日夜に開催された「ゼルダシンフォニー」にも参戦しまして。

なので、このイベントに参加するためには急いで帰国する必要がありました。

前述のコンサートを前半で切り上げて急いで空港へ。

ニューヨーク経由で成田に到着し、そこでキャリーバッグを宅配便に預け、

その足で東新宿へと向かいました。

予定では開場時間ぎりぎりに到着するはずだったんですが、

気がついてみると開場の30分前には現地に着いてました(笑)。

慌てて来すぎました。。。



東新宿にあるビルの地下一階が会場です。

ややせまい階段を降りて行くとすでに何人か行列が。

こういう時に物怖じせずに話しかけてしまうのが私なのですが、

私の前にいた人にいろいろと質問してしまったり(笑)


この階段しか地上へ上がるすべがないらしく、

NESBANDのメンバーや岡田さんが何気なく階段を上がっていく姿をみたり、

作曲家の国本剛章さんがカメラでにこやかに撮影されてたり、

アットホームな雰囲気のまま時間が過ぎて行きました。

その間に私の後ろにいた方と意気投合して、

入場時には並んで座ることになりました。


私が座ったのは最前列最左端、という場所。

スピーカーが近すぎたので不安もありましたが、

近くでレジェンドを見たいという欲望には勝てず、そこに陣取りました。

真ん中もあいてたんですけど、そこまでの勇気は持てませんでした・・・

私、身長が186cmもあるので前の方に行くのに若干の抵抗も感じたんですけどね。



※後述の「JADE II」の時にも前の方で見ていました。その時の動画などを見ると、真ん中前方にドでかい人がいたと思いますが、それが私です。当時私の後ろにいた大勢の皆様にこの場をお借りしてお詫びいたします。。。m(__)m



NESBANDの4ch担当のホソタケさんとは名古屋の公演でもお会いしましたし、

昨年夏の某ゼミでもお会いして少しお話させていただきました。

入場時に私の姿を見て気づいてくれたようで、

開演前までホソタケさんと少しお話することが出来たのはとても嬉しかったです。

「最近ゼミ行けてないんですよね~」

「ああ、私も時間が合わなくて・・・」

という会話が繰り広げられておりました(笑)



NESBANDのことについては後ほど詳しく語ります。



さて、開演まえのワクワク感をおさえつつ待っていると、

司会のファミコンキッドさんが諸注意を話されていました。

どうやらアンケートが二種類あるとのこと。

「途中アンケート」と「終了アンケート」。

途中アンケートは、第一部終了時にレジェンドお二人に聴きたいことを書くというもの。

そして終了アンケートはこのイベントの総合的な感想を書くというものらしいです。

珍しいですよね、こういう形態って。

なかなか表舞台に出て来られないお二人に質問するまたとない機会だったので、

いろいろと質問したいことを書こうと思ったんですけど、

結局ありきたりな質問になってしまって凹んでしまってた自分がいました(笑)



というわけで第一部開演です。

最初は講談師の神田真紅さんによる「GB探偵倶楽部 前編」。


「講釈師 見てきたような 嘘をつき」というのは有名な言葉ですね。

真紅さんもこれを引用されてらっしゃいましたが、

よく見ると真紅さん、かなり緊張されているようでした。

そりゃそうですよね。

ゲームの歴史を講釈するなんて初めてだと思いますから。

しかも観客の皆さんはゲームに長けた方がほとんどなので、

その無言のプレッシャーから余計にそう思われたのかもしれないです。

ですが、実は今回のイベントで一番印象に残ったのはこの前後編の講談だったんです。

それはもちろん神田真紅さんの弁舌の爽やかさもあります。

そして話がとても面白かったんです。

詳しくは書けませんが、新幹線のくだりとかとても興味深かったですね。

詳細を聴きたい方は私に連絡をいただけると幸いです(笑)

ゲームボーイ誕生秘話直前で講釈が終了。後編がとても気になります。



その後、舞台転換があり岡田智さんと田中宏和さんが登場してトークショーが始まります。



携帯ゲーム機のお話ということなので、

田中さんが登場されるのに少し違和感を感じたのを憶えています。

そんな田中さんは最初暇そうにしてらしてスマホをいじったりされてました(笑)。

司会のファミコンキッドさんが相当緊張されていたようですが、

岡田さんの爆弾発言がたくさん飛び出し(ここでは絶対にかけませんw)、

会場全体が徐々に熱気を帯びてきたように感じました。

岡田さんが1969年に任天堂入社、田中さんは1980年に入社。

時期的には10年以上あいているわけですが、

この二人がいなかったらあの時代のゲームはどうなってたんだろう、

とか壮大なことを考えつつ爆笑しまくりの時間はあっという間に過ぎて行きました。


第一部は熱気を帯びたまま終了。

少しの休憩時間を挟んで第二部の演奏ステージが始まります。



第二部は天宅しのぶさんのピアノ演奏から始まりました。


(演奏曲目)

スーパーマリオランド

パルテナの鏡

メトロイド

ファイアーエムブレム

・アルバム「懐かしい未来」より「SUKIYAKI」(上を向いて歩こう

テトリス


天宅しのぶさん、というと私はワイルドトラックスなんですよね。

ゲーム音楽では他はわからないんですけども・・・

というよりもジャズボーカルというのが天宅さんの認識でした。

なので、ゲーム音楽をピアノで演奏すると聞いた時少し驚いたんです。

最初のスーパーマリオランドはゲストパネラーの田中さんの楽曲。

その後も田中さんの楽曲が続きますが、

本人が楽屋脇で聴いているので緊張されているということでしたが、

そんなことを微塵も感じさせない演奏でした。

メドレー形式で演奏されたのですが懐かしかったですね~。


その後パルテナの鏡から2曲、メトロイドから一曲(オープニング)、

さらにファイアーエムブレムからメインテーマを演奏。

この3つのゲームって携帯ゲーム機だっけ、と頭をよぎりましたが忘れました(笑)

特にパルテナの鏡は大好きな曲だったのでとても嬉しかったです。

ちなみに、メトロイドからFEの演奏はアタッカ(途切れなし)で演奏されてましたね。


その後ご自身のアルバムから「SUKIYAKI」を演奏されそこからまた途切れ無しで、

テトリスの「TYPE-A」を演奏されました。

手拍子とかしたかったんですが誰もやってなかったので自重しました・・・


もっとたくさん書きたいのですが、NESBANDさんのお話へ進みます。



NESBANDというのは、ファミコン実機を通した音源で

キーボード3台、得体のしれない機械(ファミコンキッドさん談)1台を使用して、

主にファミコンのゲームの音楽を演奏するバンドのことです。

担当する音源の呼称1ch~4chと呼ばれる計4人のメンバーで構成されています。


私が最初にNESBANDさんの演奏を聞いたのは、

作曲家国本剛章さん主催の「JADE II」での演奏だったと記憶しています。

その時、1ch担当者が、

初代のけんたろさんから二代目の宮崎さんに代わった最初の演奏会だったのかな。

カラテカグーニーズドラクエ2のまさに完璧とも言える演奏に驚嘆しました。

Youtubeニコニコ動画で多数動画があがっておりますので見てみましょう)


その後、名古屋で行われた演奏会にも行きました。

で、新宿で行われた演奏も確か聞いたのですが、

そこからしばらくは演奏を生で聴く機会が無くなりました。

単純に仕事が多忙だっただけなんですが・・・

で、昨年の浅草で行われた「JADE V」で久々に聴きに行った時、

1chの担当が三代目のikeさんから今のヒトミさんになった最初の演奏会でした。

その時のドラクエ1、FF3の演奏はいまだに動画で見たりしています。


(演奏曲目)

田中宏和さんメドレー

スーパーマリオランドメドレー


スーパーマリオランドという名前からもわかる人はわかると思いますが、

この楽曲でGBBAND初お披露目となりました。

動画などではその存在が確認された幻のバンドだったのですが、

ようやく公の場でその演奏を聞くことが出来ました。

(あ、ちなみにメンバーはNESBANDと全く同じですw)

3chの音がかなり違っていましたが、

演奏を聞くとそんなことを忘れて、

当時プレイしていたモノクロの世界へいざなわれましたけど(笑)


最初の田中さんのメドレーはおよそ17分という大作。

ワイルドガンマンからハローキティまで、

田中宏和さんが音楽を担当されたゲームの楽曲を、

メインどころを抑えつつマニアックなものまで数多く演奏されました。

特にバルーンファイトレッキングクルー、MOTHERの音楽はとても好きだったので、

聞いてて首を上下に振ってリズムをとっていました。

また、ディスクシステムのゲーム「メトロイド」「パルテナの鏡」も演奏されました。

ディスクシステムの音楽はファミコンROMのそれよりも1音多い(PWM音源)のですが、

それを創意工夫でカバーされていたのはとても興味深かったです。


※3/3追記

マツケん先生が演奏のことをTwitterで言及されてましたが、

ディスクシステム版の演奏については海外NES版の音楽に準拠されているそうです。

不勉強なもので、聴いててわかりませんでした・・・もっと勉強せねば^^;



音が出ないハプニングでマツケンさんが焦る場面とか、

ホソタケさんが少しふっくらとされたとか、

本当はいろいろと書きたいことがあるのですが、

長くなってしまうので、詳細を聴きたい方は私までご連絡ください(笑)



そんなこんなで第二部が無事終了。

小休止のあと、第三部がはじまります。


まずは第一部でファンになった神田真紅さんの講談から。

「GB探偵倶楽部 後編」のはじまりです。


山内社長のエピソードや湾岸戦争中のお話など、

興味深いお話を冗談を交えて講釈されていました。

やっぱり面白かったです。

途中で「ドラクエ3」や「TOF」の小ネタなどを挟んで笑いを誘っていました。


落語や講談といった古典芸能に属する芸事は、

私自身とても興味があって、時間があれば寄席に行くくらい好きなんです。

歴史も好きですし、こういった歴史背景を知ることが出来るのもとても好きです。

だから、ゲームの歴史を講釈されるという試みはとても印象に残りました。

また是非次回があれば聴いてみたいです。


そして、イベント最後はトークショーの2回目。

途中アンケートで書かれた質問にレジェンドのお二人が答えていくという内容です。

ゲームボーイの名付けの由来(ここでは書けませんw)。

業務機から家庭用ゲームへ移った背景(ここでは書けませんw)。

任天堂時代に辛かったこと、楽しかったことなどなど、

いろんな話題についてお二人が真摯に、時には冗談を入れながら話す姿を、

最前列からではありましたが、遠い目で見つめていました。


これって夢なんじゃないか、と思ってしまったんですね。

私の幼少時代をときめきある時間にしてくれた携帯ゲーム機。

それらの開発をされたお二人が目の前にいる、というのがほんとうに信じられなくて。

特に岡田さんなんて名前でしか存じ上げてなくて、

実際にお顔を見たのはこの日が最初だったんですが、

しゃべり始めると爆弾発言を連発して、別の意味ですごい人だな、と思ったものです。

田中宏和さんは、私の大好きな任天堂のゲームの音楽の双璧のお一人。

(もう一人は近藤浩治さんです)

そんな田中さんを間近で見られるだけで興奮しておりました。

でも少しご機嫌がよろしくなかったのか、表情がかたかった印象でした。

話を聞くにつれて「職業作曲家」としての一面が垣間見えて、

さらに大好きになりましたが(笑)



最後は全員が登場して主催の挨拶で無事イベントは終了。

NESBANDと田中宏和さんが並んでいる姿は、

ちょっとジーンとしてしまって泣きそうになりました。

NESBANDのリーダーであるマツケンさんが終始緊張されているのは分かりましたし、

3chのサキヤマさんも演奏中真摯に演奏をしつつ、

やはり緊張で手が震えているのもわかりました。

レジェンドを前に演奏することがいかに大変だったんだろうなぁと。

ただ1chのヒトミさんがマツケンさんの演奏でタイミングを図りながら、

笑いをこらえているシーンが何度かあって、

「ああ、四代目1chは肝が座っている」と感想を新たにしました(笑)

そして目の前で演奏されていた4ch担当のホソタケさん。

演奏終了後に少しだけ話してくれました。これも嬉しかったです。

でも演奏中は真面目な表情を崩すことなく、でも緊張されてましたね。

天宅さんも少し手が震えているのが実は見えました。

最初の演奏で緊張されているのが伝わりました。

それだけのプレッシャーを与えるレジェンドお二人は、

悠然と構えていてオーラすら見えるかのごとくでした。



とまあ、ざっくりと雑感を書いてみました。

とはいえ褒めちぎるだけかというと実はそうでもなく・・・・


最初は第一部の休憩時間後のことでした。

私は開演前にドリンクを頼んでそれを飲みつつ、

休憩時に椅子の下に置いておいたのですが、

まだ残っていたにも関わらずそのドリンクが回収されていました。


あと演奏中にカメラで撮影されていたりしてました。

結構シャッター音が響いていました。


最前列左端ということで場所が悪かったのか、

スタッフがそこから舞台へ上がるために何度かそばを通ったりしていました。

せまい箱なのでしかたないかもしれませんが、そこも少し気になりました。



色々とありましたが、とても有意義で楽しいイベントだったことは間違いないです。

終演後に主催のまめさんがご挨拶してきてくれました。

「2回めも期待しております」と言わせていただきました。


主催のまめさん、司会のファミコンキッドさん、

裏方スタッフの皆さん、さらに出演者の皆様、

楽しいひと時をありがとうございました。

帰国当日での参加ということで眠気と疲れがピークだったのですが、

前述のプログラムでそれが吹き飛ぶほどの素晴らしい体験を出来ました。

また次回も私達を楽しませてくれると、切に期待しております!!

お疲れ様でした。




追記

NESBANDさんは6月にお台場でワンマンをやるそうです。

すでにチケットは完売となっています・・・・


神田真紅さんは、今度「艦これ講談」というのをやられるそうです。

真紅さん、ファンになりましたのでTwitterフォローしてしまいましたw

また講談聴きに伺います!


天宅さんはゴールデンウィークにNYへ移住されるとのことで、

今月日本最後のライブ(ジャズ)を行うそうです。

3月8日に水道橋の東京倶楽部で19:30から。

私はその日用事で行けません・・・天宅さんのボーカル聞きたかった・・・