音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

現代音楽を聞く その67

日曜日に放送していた「クラシック音楽館」で、

ノルウェーのピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスが、

ベルリン放送交響楽団との共演でモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏していました。

この時ひじを痛めていたアンスネスですが、

そんなハンデをはねのけるような演奏を披露していました。

 

そんなアンスネスモーツァルト演奏後のアンコールで披露したのが、

スペインの作曲家、フェデリコ・モンポウの「町はずれ(郊外)」の1曲でした。

ドビュッシーやサティの影響を受けたその楽曲は、

大昔に私も耳になじんだ楽曲だったので、演奏が聴けて嬉しかったんです。

 

「インプロペリア(Improperios)」とは「叱責」を意味する言葉ですが、

モンポウによるオーケストラと合唱のための楽曲です。

 


Mompou - Os Impropérios

 

亡くなった友人のプーランク(フランスの作曲家)のために書かれたこの曲は、

確かに曲のそこここに、亡き友人の印象を抱かせる内容となっていますが、

御託を排して聞いても、曲としての完成度は高いように思えます。

新と古

私が曲を聞くスタンスとしては、

「CDを買う」「公式で配信されているものを買う」方法が主になります。

これってつまりは、

「楽曲の製作者へと利益が還元される方法」です。

 

 

映画のサントラやテレビドラマのサントラ、

あるいはJ-POPやK-POPなどの楽曲を聞く場合でも、

なるだけCD購入、あるいは配信されているものを購入して聞くようにしています。

なので、一部のファンが、

中古市場で高騰している希少なアルバムを購入するという行為には、

あまり良い印象を抱くことが出来ないんです。

 

かくいう私もそういう中古販売店などを利用しなかったわけではありません。

高校時代には要らないレコードやCDを中古店へ売却して、

そのお金で中古のアルバムなどを購入したことは一度や二度ではないです。

 

 

通勤電車に1時間以上も揺られていると、

どうしても周りに目が行くことが多くなります。

そして、

目の前で違法に動画サイトへアップロードされている漫画を、

熱心に読んでいる若者であるとか、

同じく動画サイトでK-POPの人気グループの、

違法にアップロードされているライブ映像などを、

何のためらいもなく眺めている様をみていると、

「そりゃCDの販売が落ち込むわけだ」などと感慨深く思うこともしばしばです。

 

 

まあ、私もこのブログで、

違法にアップロードされている動画を紹介していることもあるので、

私も同罪といえば同罪なんですけども・・・

 

 

なので、2010年代になってから、

私は中古でアルバムなどを買うことを控えることにしたんです。

中古市場で購入するということは、

そのアルバムの製作者へ全く利益が届かないだけでなく、

ただ単に中古店が得をするだけなんです。

そして、そうした中古品を買うというのは、

収集欲を満たすだけの自己満足行為である、ということです。

 

経済的な理由で新品を買うだけの費用を捻出できない、

あるいは、ライブに参加したいから他のところでは贅沢できない、

という理由があることも承知しています。

それがすべて悪い行為であるとは私も思っていません。

ただ、中古品を買うことのリスクを知ってほしいと思ってるだけです。

 

 

 

私が編曲家だから、なのかもしれませんけど、

CDが売れようが売れまいが、私たちはギャラで動く人間なので、

売り上げなんてどうでもいい、と思っているところも多少あります。

ただ、製作者からすれば、利益を還元できたという結果で、

その次の段階へと進む可能性だってあるわけで、

アーティストのことを思うと、おいそれと中古品に手を出すことは、

それだけのリスクを負っているのだということを、

ほんの少しの時間でもいいので考えてほしいです。

 

私もこういう心境へと変化したのはここ最近ですから、

強制的なことは何も言えません。

無料には無料で提供するだけのリスクがあるということ、

中古には中古で提供されるだけの理由があるのだということ、

ただ漠然と提供されたそれらを甘受するのではなく、

「新しいアルバムが出たらお小遣い貯めて買いに行こう」

「配信がはじまったら購入してみよう」

と思っているファンも大勢いるのだということを知ってほしいと思います。

 

 

あれ、なんでこんなまじめなブログになったんだろう(笑)

Incidental Music Vol.61

1974年に公開された映画「ノストラダムスの大予言」。

私が映画本編を見たのはずっとずっと後のことなのですが、

この映画のサウンドトラックは結構早い段階で聞いていたんです。

 

なぜいま74年の映画の音楽の話をしているのか。

それはつい先日、このサントラが発売されたからです。

よくわからないと思いますが、

先月24日に発売されたサウンドトラックには、

デジタル音源とアナログ音源が2枚組で収録されていて、

マニア垂涎のアイテム、となっているとかいないとか・・・

もちろん私も買いました(笑)

 

この映画の音楽を担当したのは冨田勲さん。

シンセサイザーの分野でも活躍されていましたが、

映画のみならず大河ドラマや純音楽でも傑作を数多く残されています。

 

 

この「未来への願い」というのはエンディングで流れる曲なんですけど、

この曲に関するちょっとしたいわくがございまして。

 


故鄕へ…

 


トップをねらえ! D弐 47:時の河を越えて...

 

アニメ、映画監督として知られる庵野秀明さん。

彼の代表作として知られる「トップをねらえ!」と「ふしぎの海のナディア」の、

いわゆるエンディングとして使われている楽曲がこちらです。

トップをねらえ!田中公平さん、

ふしぎの海のナディア鷺巣詩郎さんがそれぞれ音楽を担当されています。

 

で、この2曲、なんとなく雰囲気似てると思いませんか?

そう。「未来への願い」に、です。

 

・・・そりゃ似ていて当然です。

だって庵野監督、この「ノストラダムスの大予言」のエンディング曲を、

田中公平さん、鷺巣詩郎さんに聞かせて、

「こんな感じの曲でお願いします!」って言ったらしいですから(笑)

(公平さんは、だいぶアレンジしたとおっしゃってましたけど)

 

という小ネタをお送りしました。

Richard Beirach Trio / ELM【ジャズのススメ 109】

Richard(リチャード)よりもRichie(リッチー)の方で知られてます。

 

リッチーのアルバムでいうと「Hubris(ヒューブリス)」という、

素晴らしいピアノソロのアルバムがあるんですが、

じゃ、なんでそっちを紹介しないのかというと、

厳密にジャズというカテゴリーではなく、

どちらかというと「アンビエント環境音楽)」的な感じが強いんです。

なので、こちらのアルバムにしました。

 

エルム

エルム

 

 

最初、1曲目を聞いた時には「ああ、これもアンビエントか」と思い、

少し気持ちが萎えそうになった自分がいました。

当時のお話です(笑)

で、「Snow Leopard」という曲を聞き始めたわけです。

 


Snow Leopard

 

この曲だけアルバム中でかなり異質な印象を抱かせる曲になってます。

不穏というわけでもないんですが、毛色が違うというか。

スピード感がありながら凛とした音色を奏でるリッチーもそうですけど、

ドラムスのジャック・ディジョネット

あるいはベースのジョージ・ムラーツが本当にすごい。

特にドラムスのディジョネットのテクをこの曲だけで十分に堪能できます。

 

曲はすべてリッチーのオリジナル。それもまたいい。

ライブへ行けなくなった日

寄る年波には勝てない、と昔から言われています。

要約すると「年取ると大変」っていうことです(笑)

 

昨年あたりまではライブ通ってました。

ライブハウスといわれるところにも2ヵ月に一度のペースで。

ただ、最近腰が少し悲鳴を上げ始めてきまして、

立ったままで数時間というのが出来なくなってきたんですよ。

デブがひざを悪くした、なんてこともよく聞きますけど、

肥満というほどでもない私もその恩恵を受けるときがやってきてしまったようです。

 

なので、今年に入ってからスタンディングで鑑賞するライブには、

実は全く参加していない状況となっております。

 

ヘヴィメタルやロックなどのフェス、

あるいはサブカル関連でライブハウスで行われる催しなどは、

行けるときには参加していたんですが、それも身体の不調もあってできなくなり、

それと相まって、

今までは趣味程度に行っていたお仕事が、

昨年末以降あたりから徐々に忙しくなってきてしまったこともあり、

自由時間が大幅に削減される結果となり、

行きたかった公演などにも参加しにくくなってしまったんです。

 

「時間なんてどうとでも作れるでしょ」という声もあります。

時間が無いというのは言い訳に過ぎないこともわかっています。

ただ、今年は物理的に大変な年となってしまいました・・・

まあそのあたりのお話はこのブログで書き散らしてますけど(笑)

隙間時間に「ハコボーイハコガール」(Nintendo Switch)やってるくらいです。

特に、忙しいアピールをしているつもりもないんですけどね。

 

まあでも、個人的なライブに対する思いというものがあって、

その思いが枷となって意欲が著しく減退しているというのもあります。

前にも書いたんですけど、

出来上がっちゃっている空気感、というのがホント苦手になりました。

前に友人に誘ってもらったライブでもそれは感じたんですが、

アーティストの方が初見さんにも優しい対応をしていただいたおかげで、

とても楽しく過ごせた記憶もあるにはあります。

あと、スタレビさんのライブにも誘っていただき、

MCの根本さんがスタンディングやシッティングのタイミングを、

逐一教えてくれるという神対応で、そのライブも楽しく過ごせました。

(まあそれでも、空気感はある程度出来上がっていましたけど・・・)

 

 

以前、ライブの出演者のお一人からメールを頂いたことがあるんです。

その方も「特定コミュニティの形成」について私に意見をくださいました。

 

その中で書いていたのが「アーティストの宗教化」という言葉でした。

 

どうしたって宗教化は起こります。

そうしたファンの一部が新規や中途のファンを排斥したり侮蔑したり、

といったことが起こっていることも事実です。

そうした一部の人たちの言動で、新規が入りにくい雰囲気となってしまう、

というのも脈々と続いている伝統みたいなものです。

前述のような初見の人にも優しいアーティストがいるのも事実ですが、

そんなアーティストにも信者と化したファンがいらっしゃいます。

 

ライブの出演者のお一人のメールには、

そうしたファンのいることを嬉しく思う反面、

一部の人たちによる不特定ファンへの迷惑行為があることについて、

切々と思いを語っていらっしゃいました。

そうした行為が実際起こっていて、

その一部始終をアーティスト本人が知るところとなることを想像すると、

どうにもやりきれない思い、というものがこみ上げてきます。

 

こうした人がほんの一握りであることはわかっていますが、

そういうことを主催側から聞いてしまうと、余計に腰が重くなってしまいます。

実際、腰に物理的ダメージを抱えてはいるわけですけど・・・

 

いろいろな思いはありますが、

仕事が一段落したらまたライブ行くと思います(笑)

現代音楽を聞く その66

スペインの作曲家、カルロス・スリナッチ。

舞踏音楽の分野では知らない人はいないとも言われますが、

本邦ではそれほど知られた作曲家ではないような気がします。

 

「リトモ・ホンド」や「シンフォニエッタ・フラメンカ」など、

思わず踊りたくなるような楽曲が代表的な例ではありますが、

純音楽の分野でも秀作を数多く残しています。

まあ、私の場合室内楽に偏愛傾向が強いので必然的にそちら方面になりますが・・・

 

弦楽四重奏曲」は彼の室内楽曲では一番よく聞いていると思います。

 


String Quartet: I. Allegro

 

全体的に不穏な響きの多い一楽章ですが、大体全部こんな感じです(笑)

三楽章は「Allegro frenetico」という速度指示が出ています。

「狂乱的に速く」という意味ですけど、やはり舞踏的な印象が強い楽曲です。

スペインの作曲家だから、というわけではないんでしょうけど・・・

フランスへ

3月末に予定していたフランス行きが諸般の事情により取りやめとなり、

ようやく今月末におよそ1週間の予定でいくことになりました。

 

すでに私のお仕事は3月の時点で終わっていたのですが、

せっかく2ヵ月の猶予を頂きましたので、

連休中に編曲のブラッシュアップみたいなことをやってました。

私の担当する楽曲は10曲ほどなのですが、無事に作業も終わり、

先方からもOKの返事をもらえたようなので、

この楽譜をもって現地フランスへ乗り込んでレコーディングを行う予定です。

 

なんでかよくわかりませんが、

1曲だけ私がレコーディングでオケの指揮をやらされる羽目になりました(笑)

作曲家ではなく編曲家が指揮することってほとんどないと思うんですけど、

作曲者からのご厚意もあり、やることになってしまいました。

指揮法も一応やってはいましたけど・・・

というわけで今から緊張しまくりです。

 

5/20~27までの8日間滞在する予定です。

その間に10曲のレコーディングはかなりタイトではありますが、

全曲終わらなかった場合はさらに延長する可能性もあるかもしれません。

なんにせよ、旅行気分でと軽々しくは行けなくなったので、

観光ブログ的なことは今回は出来そうもないですね(笑)