音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

渡航延期

来月、ボストンに渡航する予定でした。

友人が主催するジャズライブを見に行くためです。

 

彼のライブは何度も見させてもらってますが、

趣味全開のライブとなってて、いつも楽しみにしてました。

そんな彼からつい先日連絡が入りました。

「今、アメリカに来ないほうが良い」

文章としては淡泊そのものでした。淡泊すぎてイラっとしましたけど(笑)

 

日本でも政府の自粛要請を受けて、

多くのライブが中止あるいは延期となっています。

私も行こうとしていた舞台が自粛になり残念に思っているところです。

もちろん、ライブの主催やアーティストは悔しいでしょうし、

そもそも感染症がここまで蔓延する状況となってしまったこと自体が、

こうした現状を生んでいるのだと思うと、やり場のない怒りがわき上がってきます。

 

ボストン行きは春すぎあたりまで延期することになりそうです。

ライブも中止になり、いつ再開できるのかは本人もめどが立ってないようですが、

状況が落ち着いたら絶対やる、と言ってました。

そう話す彼の口調は、電話を通して聞いてもかなり悔しそうだったんです。

 

たとえば、災害などによる中止ならばまだしも、

感染症による中止というのはあまり例のない事態です。

こうなった状況に、何かしら責任を問いたい気持ちもわかりますし、

私も同じ思いではあるのですが、それだけでは建設的ではないようにも思います。

ただただ糾弾や怒号したところで、起こってしまったことは改善されません。

 

感染を防ぐにはどうすればよいのか、

あるいは罹患したらどういう対処をすればよいのか。

情報が錯綜、というよりも暴走気味となっている現状で、

いかにして取捨選択をしていくか、個々の判断が問われます。

このままの状態が維持されて収束していくのか、

爆発的に拡大して収束まで数週間あるいは数か月かかるのか、

専門家でさえ意見が分かれているのに、

素人である私などがどうこう思ったところで何も変わりません(笑)

 

 

エルヴィス・プレスリーの歌の中で「Love Me Tender」という名曲があります。

 

Love Me Tender

Love Me Sweet

Never Let Me Go

 

この有名なフレーズで始まるラブソングです。

 

優しく愛して

甘く愛して

僕を離さないで

 

意訳するとこういう意味なんですけど、

いきなりなぜこの歌の話をしたのかというと、

前述のジャズライブで彼が弾く予定だったものだったからです。

 

大昔、私がまだボストンにある音楽院に通っていた頃、

ほんのお遊びのつもりでジャズピアノアレンジしたものを、

ピアニストの彼がすごく気に入ってくれて、

四半世紀以上が経った今でも大事なレパートリーの一つになってるんです。

さすがに当時よりはスキルも上がっているので、

「Love me Tenderを編曲しなおそうか?」って言ってみたんですけど、

彼はこう即答しました。

「僕はこのアレンジが大好きだから、このままでいいよ」

 

その演奏を来月聴けるはずだったのに、と思うと、

やっぱりやり場のない怒りがふつふつとわきあがります。

でも、改めて歌詞を見て気づいたんですよ。

Tenderという単語がとても心に響いてきました。

 

 

この歌の意訳では「優しく」という意味合いですが、

「やわらかい」という意味も含まれています。

ステーキなどで使われている「テンダーロイン(Tenderloin)」も、

柔らかな部分のお肉(ヒレ)を指すんですけど、

それが派生して「弱い」という意味合いも併せ持ってます。

 

 

SNSなどを垣間見ると、弱い人って多いですよね。

弱いから怖がるし、怖がるからこそ声高に何かを叫びたくなる。

一部の人が何を叫んだところで、原状回復するわけでもありません。

だったらもう少し「Tender」になってみても良いんじゃないかな、と思います。

 

 

我ながら、上手いことオチたと思ってますけど、

見る人が見たらサムいんだろうな、と(笑)