日帰り出張のお供に何を読もうか、と考えたんです。
これを書いている今日、2016年5月11日の水曜日の朝。
新幹線に乗るために東京駅へ向かい、
乗車まで時間があったので、本屋へと立ち寄って、
出張のお供にする本を選びました。
装丁がとても綺麗だな、と思って手にとったのがこの本でした。
七月隆文さんの「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。
実はこの本、昨年から読もう読もうと思っていた本なんです。
実は、恋愛小説を読むのは苦手なんです。
3年ほど前に読んだ、越谷オサムさんの「陽だまりの彼女」を読んで号泣してしまった人なので、
電車で恋愛小説を読むことが若干トラウマになってるところもあります(笑)
とはいえ、ずっと気になっていた小説だったこともあって迷わず購入し、
乗車してからまったりと読み始めました。
しばらくして。
ページをめくる手が止まらなくなりました。
比喩ではなく本当にそういう状況に陥ってしまったんです。
目的地に到着するときには、すでに300ページ弱の約半分を一気読みしていました。
こういうことを言うのはいけないことはわかってるんですけど、
出張で仕事をしている間も、ずっとこの本の続きが気になってしょうがなかったんです。
で、結局仕事の合間を使って1日で読了してしまいました。
号泣していました。
嗚咽をこらえるのに必死でした。
そのくらいに切ないお話だったんです。
(あらすじ)
京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。
高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。
気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて―。
「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」
奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。
彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。
美大に通う主人公、南山高寿(みなみやまたかとし)。
大学へ通う電車で出会った女の子、福寿愛美(ふくじゅえみ)に一目惚れします。
本編前のプロローグで語られるのはこの2人の出会いのシーンです。
そして、その流れで第一章「きみ」へとつながっていきます。
前半のこのプロローグを読んで、高寿の行動を疑問視する人が多いだろうことは予測できます。
私も最初はそうでした。こんな男いねぇだろ、と。
でも、私はその後を読んでそれほど気にならなくなりました。
序盤から中盤にかけての話のうねりがとても絶妙なんですよね。
端的に言うと、説明が少ない。
つまり、意図的に設定を説明する記述を廃している印象なんです。
とはいえ、本のタイトルがすでにネタバレではあるんですが・・・(笑)
「ぼくは明日」、「昨日のきみ」とデート、ですからね。
最後、エピローグを読んで、最初のプロローグを読んでさらに号泣。
第一章後の「間奏」を読んでさらに号泣。
うーん、これ、本当に上手い。
高寿と愛美のことが本当に愛おしくて大好きになります。
陽だまりの彼女が好きな人ならきっとドンピシャにはまる小説だと思っています。
最近単行本や文庫本のオビに書かれた大げさなコピーがあまり信用できなくて、
極力そうした本は読まないほうが良いのかも、と思っていたんですけど、
この小説は、私にとって今年の号泣No.1になりました。
まだ今年も半分以上あるのでどうなるかはわかりませんが、
きっとこの小説は今年の泣ける小説になるんでしょうね。
細かいことを言うとキリがありません。
確かに題名でほぼネタバレですし、ネタバレ以上の展開もほぼありません。
その展開を「浅い」と思う人も少なからずいるとは思います。
しかし、後半から終盤にかけての高寿と愛美の切ないドラマは、やっぱり読んでて泣けました。
きっとそのネタバレの部分に重きを置いていないから、こういうタイトルにしたのかもしれません。
作者に直接聞いたわけじゃないので、真相は闇の中ですが(笑)
泣きたい人はぜひ読んでみてください。
万人受けは保証出来ませんが、高寿と愛美の切ない「未来」は必見です。