近藤譲さんの著書「線の音楽」に出会ったのは、
私が20歳を過ぎた頃でした。
現代音楽の著書という意味では有名だとは思うんですけど、
私が手に取ったのはそうした音楽に興味を示していた学院生時代のことです。
(「線の音楽」は一時廃刊となってましたが、数年前に復刻版が出ています)
あの頃の私はそうした著作物を無造作に読みふけっていました。
そうすることで知識を得よう、もっと上を目指そうと思っていたんでしょうけど、
本を読んだところで劇的に何かが変わるというわけもなく、
でも、現代音楽の指標というか、何かを当時はつかんでいたんだろうなと思います。
最初に聞いたのは「Sight Rhythmics」か「Walk」だと思います。
Jo Kondo - Sight Rhytmics (1975)
現代音楽らしい現代音楽、というと言い方に問題があるかもしれませんが、
当時の私はこの曲も含めて、出版されていた音源を貪るように聞いていました。
日本人らしい響きに内包される理路整然とした音色が特徴的ですが、
そこにこめられている思想まで透けて見えてくるような気がして、
聴いていた当初は少し毛嫌いしていたところもあったんです。
今も少しそのころの想いがよみがえってきて、苦い気持ちになることもあります(笑)