音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

勇気をくれたあの曲この曲

私は昔から、精神的に弱い人間である、という自覚を持っています。

人前に出るのは人一倍緊張してしまいますし、

それで失敗したことは一度や二度ではありません。

この前書いた舞台に行った時も、憧れの作曲家を前にして、

緊張して何も言えなくなったり、奇妙奇天烈な行動をしたりしました(笑)

 

私がピアニストを目指せなくなった原因の一つはこれかもしれませんね。

今は、学生時代に演奏できた曲がほとんど演奏できなくなりました。

それは左手の発作のせいでもあるんですが、それはまた別の話ということで。

 

色んな場面で勇気をくれた音楽というのがたくさんあります。

激しく落ち込んだとき、ベートーヴェン交響曲を聞いて奮起したり、

激しく怒りまくったとき、ビル・エヴァンスのピアノソロを聞いて気持ちを落ち着けたり、

激しく泣いたとき、ZARDの曲を聞いて負けない心を養ったり、

激しく笑ったとき、キング・クリムゾンを聞いていろいろ妄想したりしました。

 

 

留学時代に病気になり、4年を待たずに帰国することが決まったその日。

友人のピアニスト、といっても当時はまだ私と同じ学生だったんですが、

その彼が私のホームステイしていた家にやってきて、

おいてあるピアノでおもむろに曲を弾き始めたんです。

それはジャズナンバーでも有名ですが、

チャップリンの映画「モダン・タイムス」で使われた名曲「smile」でした。

なんの前置きもなく引き始めたそのジャズ・ピアノの音色に、

私は当時、悔しくて泣いてしまったことを覚えています。

 

耳の病気が悪化して、そのときは左耳の聴力がほとんど無い状態で、

(今はある程度まで聴力は回復しました)

それでも聞こえてくる音と胸を打つ振動に、私は悔し涙を浮かべました。

もっとこっちで音楽の勉強をしたかった。

あわよくば、アメリカにずっといて音楽をやりたかった。

あと1年弱で全過程が終わったのに、でも帰国しなきゃならない。

本当に悔しい思いでした。

そんな思いで聴きはじめたその曲が、

ふと優しい音色に変わったとき、彼は演奏しながらこういったんです。

 

「またね」と。

 

たぶん、あのときあの曲を聞いていなければ、

そして友人からのあの一言がなければ、

私は今ころどうなっていたんだろうと思います。

そのくらい、勇気と感謝をくれた1曲でした。

今でも「smile」を聞くと、自然と涙がこぼれてきますが、

さすがにそれは悔し涙ではなく、私を再び音楽へ引き戻してくれた感謝の涙です。

 

 

東日本大震災のあった2011年。

私は私生活が大きく激変し、精神的に大きなダメージを受けました。

家から出られなくなり、眠れない日々が何日か続いたんです。

流石にまずいと思い、意を決して病院に向かうわけですが、

電車に乗ることさえままならず、結局自宅で過ごす日々。

その期間、音楽からも離れていました。とても聞ける状況ではなかったんです。

 

ある時、少し調子が良かったので、音楽を聞こうと再生ボタンを押すと、

とある男性の歌が流れてきました。

 

どんなときでも泣いちゃだめだよ どんなときでも空を見ようよ

 

歌の最後のほうで何度もくり返されるこの言葉。

お気づきの人もいるかと思いますが、

これは今から20年以上前に公演された、

サクラ大戦歌謡ショウ第2回公演「つばさ」の1曲である「つばさ」です。

この曲を作曲家でもある田中公平さんがソロで歌うバージョンがあって、

その歌詞が少し変わってるんですよ。

(もちろん作詞家さんの許可もとってあるそうですが)

 

どんなときでも泣いちゃだめだよ どんなときでも空を見ようよ

でも

悲しいときは泣いてもいいさ どんなときでも空を見ようよ

苦しいときも泣いてもいいさ どんなときでも空を見ようよ

 

この歌詞で私は少し心が救われました。

そのくらい、この歌詞には助けられました。もちろん歌声にも。

この曲のおかげなのかわかりませんが、

結局1ヶ月経たずに病は寛解し、今に至ります。

 

同じサクラ大戦でも、テレビアニメ版のEDテーマ「夢見ていよう」は、

先日の舞台でも披露されましたが、この曲もたくさん勇気をもらいました。

 

夢見ていよう 未来はきっと 

希望にあふれ きみのそばにある

だからずっとずっと 夢見ていよう

 

今のこのコロナ禍での状況だと、より一層胸をつく歌詞です。

美しいメロディとともに歌を聞くと、自然に涙がこぼれてきます。

 

 

 

 

Van Der Graaf GeneratorVDGG)はイギリスのプログレバンドです。

彼らの曲、結構よく聞いてます。

歌詞はいまいちよくわからないものもあるんですけど、

レミングス」という曲は、ワタシの琴線に大きく触れた曲の一つでした。

 

わたしがプログレをよく聞いていたのは高校時代です。

その頃というと、なかなか大変な時期だったように思います。

進学校だったこともあり、変人も多く(笑)、

私が音楽の道へと進むことを決めた、ちょっと不安定な時期でもありました。

誘惑も多く、多感な高校生活を送っていた中、

プログレを愛好していたクラスメートから紹介されたのがこの曲でした。

もちろん、VDGGのことは知ってましたし、その曲もすでにアルバムを持ってましたが、

その友人はこの曲の歌詞に共感した、というんです。

 

Cowards are they who run today,
the fight is beginning...
no war with knives, fight with our lives,
lemmings can teach nothing;
death offers no hope, we must grope
for the unknown answer,
unite our blood, abate the flood,
avert the disaster.

 

今逃げるものは臆病だ

戦いはすでに始まっている

武器ではなく、命をかけて戦う

レミングは何も教えてくれない

死が希望を与えるわけがなく、

未知なる回答を我々は手探りでさがさねばならない

我々の血を結集し、その流れを抑えて、

悲劇を食い止めるのだ

 

 

なかなか哲学的な歌詞ではありますが、

言ってることはそれほど難しくはないように感じます。

そのクラスメートは「臆病」って単語をこの歌で知ったそうで、

それはもう嬉しそうに自慢しておりました(笑)

 

高校時代、この曲をそんなにたくさん聞いたわけではないですが、

この歌のラストの歌詞がぐっと来たのでそちらも紹介しておきます。

 

What choice is there left but to live?
to save the little ones?

What choice is there left but to try?

 

生きる以外にどんな選択があるの?

小さな命を救うために?

それ以外にどんな選択が残っているの?

 

当時は全く意味はわからず、そのサウンドに勇気をもらいました。

英語を勉強しているときに、ふとこの曲を思い出して、

改めて歌詞を見てみると、

ヴォーカルであり詩を書いたピーター・ハミルという人は、

すごく文学的才能があったんだな、ということを改めて知りました。

当時も、そして今も、私に気づきを与えてくれる一曲です。

この曲も、今のこの時代だからこそ聞いてほしいな、と思います。

 

なんだか、まとまりがないブログになっちゃいましたが、

これはこれで良いかもしれません。

まだまだたくさんあるので、別の機会に続きを書くかもしれません。

気まぐれでひねくれものなので、

どうなるかは神のみぞ知る、ですが(笑)