作曲家の筒美京平さんが80歳で亡くなったというニュースは、
私にとってはかなりの衝撃だったんです。
今やドラクエの作曲家としてその名を知られていますが、
その昔はテレビの劇伴や歌謡曲の作曲も行っていた、
作曲家のすぎやまこういちさんの弟子という位置づけを取る方もいらっしゃいますが、
個人的にはそういうのはどうでもよくて(笑)、
筒美さんのあまたの楽曲をただただ垂れ流していたい、とその時は思ってました。
で、ふと頭に浮かんできたのが、いまから35年前、
1985年にリリースされた、薬師丸ひろ子さんの楽曲でした。
その曲、「あなたを・もっと・知りたくて」は、
作詞・松本隆、作曲・筒美京平、編曲・武部聡志、という豪華な布陣で作られてます。
武部さんも今や編曲界の重鎮的位置づけではありますが、
当時はまだ若手と呼ばれている頃なので、豪華というのは少し違うかもしれません。
この曲、当時CMソングで話題になりました。
電電公社が民営化されてNTTとなった頃にキャンペーンソングになってたんです。
筒美さんらしいコード進行が特徴的です。
ちょっとここから専門的なお話になります。すいません。
(解説は少し入れますけど、難しいって人はここからは飛ばしてください)
(Aメロ)
F | A7 | Dm F+/C# | Gm7 |
F | A7 | Dm F+/C# | Gm7 |
(セリフ部)
(Bメロ)
Dm A7/C# | Dm/C G7/B | B♭add9 Gm7 | Gm7/C C+5 |
(サビ)
F | Am7/E | Cm6/E♭ | D7 |
Gm | B♭m6 | F/C Dm/C Am/C F6/C | B♭m |
C7 | F |
原曲聞きながらコードとってたんですが、違ってたらすいません・・・
多分合ってると思いますけど。
この曲はヘ長調ですね。F(ファ)の音を基準とする楽曲です。
個人的に「ああ、筒美さんっぽい」と思うのはサビのコード進行です。
基準となるFから始まって、Am7/Eにいきます。
Am7(ラドミソ)の和音で、ベースはE(ミ)の音ということですね。
スラッシュのついたコードは「分数コード」とも呼ばれていて、
本来のルート(根音)とは違う音を付けたいときに使われるものです。
で、Am7/EからCm6/E♭に行きます。
このCm6というコード、Cマイナーシックスと言うんですけど、
この和音が筒美さんぽいって思うんです。
説明すると長くなるので詳細は書きませんけど、ぽいんです(笑)
マイナーシックスと呼ばれるコードを、
順番にベースとなるルート音が下がっていくときに使用する。
この場合でいうとF→E→E♭→Dというふうにルートが半音ずつ下がっています。
そのE♭部にCm6というマイナーシックスコードを当てています。
たぶんこれはアレンジする前から筒美さんが提示している和音だと思うんですが、
そこをほとんどいじらないでアレンジを施しています。
「らしい」という言葉で説明を回避してしまって申し訳ないんですけど、
ともかく、「らしい」んです!!(ゴリ押し)
なんにせよ、今日は80年代の歌謡曲を聞きたい気分だってことです。
こんな理論なんて知らなくても、いい曲はいいんです。
と、ごまかしたところで、今日はそろそろ寝ます・・・