音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

夏の戦い

意味深なタイトルをつけてしまいましたが、

その意味はこのブログを読み進めていくうちにわかると思います。

 

このブログでもたびたび登場している、

私の古くからの親友で、

「世界一ピアノが上手いジャズピアニスト」の彼から連絡がありました。

日本も米国もコロナ禍で、人が行き来できない状況が今も続いています。

今年3回くらい来日する予定でいたみたいですけど、すべて中止。

ボストンの片田舎に住む彼は、現状平和に暮らしているみたいです。

 

予定していたライブや来日が中止になったことよりも、

日本の春、あるいは夏アニメが延期になってしまったことに憤ってしまうほど、

かなり日本のアニメが好きなおっさんです(笑)

 

そんな彼からちょくちょく演奏動画が送られてきます。

Youtubeとかネットサイトに投稿してみたら?」

と私が彼に言うと、彼は決まってこう言います。

「不特定多数のバカより、信頼できる一人に音楽は聴いてほしい」と。

バカかどうかはともかく、こういうところが彼らしいといえばらしいんですけど。

 

梅雨が始まるか始まらないかの頃、

いつものように彼から演奏動画が送られてきました。

 

たいていアニメの劇伴とかを忠実に演奏することの多い彼が、

その日送ってきたのはサッチモの名曲、

What a Wonderful World(この素晴らしき世界)でした。

そういえば、あいつはジャズピアニストだったことを今思い出しました(笑)

 

覚悟、というよりも諦観な印象を受けました。

この状況では何もできない、うまくいかない。

そんな気持ちがあらわれている演奏だと感じたんです。

いつもならなかなか気持ち悪いメッセージもつけられてくるのが、

今回のこの1曲に関しては、何も言葉が書かれていませんでした。

 

 

泣いてました。

至極当然ながら、ピアノソロで奏でられるサッチモの名曲は、

ズンと心に重く響き渡ってきます。

 

ああ、これは何かお礼をしなければならない。そう考えたのは自然なことでした。

アニメの劇伴のピアノアレンジをやろう。

梅雨のジメジメしたときに、夏らしい曲がいい。

 

そして選んだのが「サマーウォーズ」でした。

 

細田守監督の名作アニメ映画です。

音楽を担当されたのは、松本晃彦さん。

TVドラマ「踊る大捜査線」や、

最近だと「3年A組」の音楽も手掛けられています。

映画やドラマなどの音楽や編曲家として活躍されています。

 

細田守監督の映画の音楽といえば、

今は高木正勝さんが担当されることが多いんですけどね。

 

サマーウォーズはボストンに住むピアニストの彼も大好きな映画ですし、

私もサントラを持っているくらいに好きな映画でもありましたから、

じゃ、リアレンジしようということになりました。

 

Twitterや動画でホイホイ無許可で演奏動画を投稿するのは、

私自身、あまりいい気持がするものではないんですけど、

趣味の範囲で、友人のために編曲を、もちろん無料でやるのはどうなんでしょうね。

作曲された人からすると、イラっとされることもあるかもしれませんが、

どこかに投稿したり、金獲って演奏したりしませんので、どうか穏便に・・・

 

で、選曲に入りました。

無難に「The Summer Wars」でいいかな、とも思ったんですけど、

私自身サントラでも大好きな「1億5千万の奇跡」に決めました。

少年少女合唱団が歌ってる、あれです。

 

サントラ聴きたい人は、CDを買われるか、

サブスクでも配信されていますのでそちらをぜひ。

 

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック

サマーウォーズ オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:松本晃彦
  • 発売日: 2009/07/29
  • メディア: CD
 

 

個人的には、

The Summer Wars~Happy End~山下達郎僕らの夏の夢

というメドレーでもいいよな、と思ったんですけど、

さすがに御大の歌を勝手にアレンジするのは憚られますので・・・

 

 

「1億5千万の奇跡」をピアノアレンジしたわけですが、

すでに出版社から楽譜が出ていることも知ってます。

ただ、私の場合は忠実に原曲をアレンジしない性質な人間なので(笑)、

ところどころにほかのサントラの楽曲を混ぜ込んだり、

ジャズっぽいフレーズを随所に入れたりと、

ある意味とても私らしい編曲になりました。

 

こういうアレンジを嫌う人も多いと思います。

原曲に対する冒涜じゃねーか、という声もあるでしょう。

いいんです、本人とあいつだけ満足してりゃいいんだから(笑)

 

文句あるなら自らの手で自分好みのアレンジしろ、って言いたいです。

 

 

結局、「みんなの勇気」「Happy End」も含めた、

交響詩チックな編曲になってしまいましたが、

6月の初旬頃に1日ほどでアレンジを終えて、スコアを送りました。

手書きのスコアを郵便で送ろうとしたら、

向こうから「楽譜ソフト使え」と言われたので、

やむなく、苦手なPCでの音楽作業をやる羽目になり、さらに2日ほど遅れました(笑)

 

そしてつい先日のことです。

その楽譜による演奏動画を彼が送ってきてくれました。

自分でアレンジしたものなのに、ちゃんと形になると泣けるもんですね。

自分で作ったのに泣ける、なんて変と思うかもしれませんが、

その通りです、変だと思います。

 

 

音楽には力があります。

受け手によってその効能は優劣があるかもしれませんが、

効く人には相当効くと思ってます。

私は自分の編曲したこの曲になぜか元気をもらいました。

 

夏の戦い(Summer Wars)はまだまだこれからです。