音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

映画「冴えない彼女の育てかたFine」を見てきた(ネタバレあり)

※注意

いつものことですが、かなり前置きが長いので、

そういうのを読みたくない人は、

ブラウザの「戻る」などご自身で処置していただくことを推奨します。

 

 

 

 

私の所属する部署には一人漫画やアニメが大好きなやつがいます。

 

部の責任者でもある私は、

特段部内の規則などを設けないことにしました。

机の上のパソコンの上にフィギュアを並べようが、

好きなキャラクターのマウスパッドを使おうが、

仕事中にスマートフォンなどを閲覧しようが、一切おとがめはありません。

ただ、私が部署の皆に課すノルマが割と厳しめに設定してあるので、

そのノルマを達成できないことにはそうした自由を謳歌できない仕組みです。

ついでに言うと服装も自由なので、

髪を染めてこようが、鼻ピアスをあけようが、おとがめなしです。

(鼻ピアスしている人はさすがに現時点ではいませんけど・・・)

そういう自由な社風はどうなのよ、と思う方もいらっしゃるでしょうけど、

「成果至上主義」な部署で、特に対人スキルが必要なところでもないので、ま、いいか、と。

上司がこんな感じですから、部署の雰囲気は推して知るべし、といった感じですかね。

 

 

ま、会社のお話はともかく。

 

 

そのアニメ好きの同僚に、

「先輩、今月末の土曜日に映画観に行きませんか?」と誘われました。

そいつからいろいろとアニメをお勧めされて、

ものの見事にはまった場合もあれば、最後まで見て「?」となったものまであり、

多分今回も何かしらのアニメ映画を見に行くことになるのだろうと思い、

「特に予定入ってないから、いいよ」というや否や、

 

「じゃ、まずは原作ですね。全13巻あります。あと短編集とかファンブックも含めると全部で20冊ほどになりますかね。あとBlu-rayBOXも持ってきました。あ、大丈夫です。これは布教用のやつなので返していただくのはいつでも結構です。あと、映画は26日公開なのでそれまでに全部消化しておいてください。じゃ、よろしくおねがいしま~す!」

 

オタク特有の早口でまくしたてられるようにそういうと、

その同僚は私の机の上に大量の文庫本と分厚いボックスを置いていきました。

 

それが私と「冴えない彼女の育てかた(以下、冴えカノ)」との出会いです(笑)

そうなんです。

私は今月この作品のことを知り、そして今日映画を見に行ってまいりました。

 

同僚のすごいところは、

私に何かおすすめをする場合に、ちゃんと実物を用意しているところです。

SHIROBAKO」や「ソードアートオンライン」など、

彼がアニメをおすすめする場合、それらの原作や映像作品をちゃんと準備しておいて、

そのうえでおすすめしてくるというわけです。

私が某ブログでおすすめの音楽を紹介するのとはわけが違います(笑)

その同僚はわかってるんです。

「あ、この人は口でおすすめするだけでは動かない」ということを。

その通りです(笑)

 

いろいろな人からいろいろな分野でおすすめを紹介してくれるんですが、

口では「わかりました~!」と軽く応対しながら、

実際はほとぼりが冷めるまで、いや、ほとぼりが冷めても動きません・・・

「いつでもいいか」と思ってることは、いつまでも動きません(笑)

 

同僚が置いていった原作およそ20冊。

そしてBlu-rayBOXを、映画公開までのおよそ3週間ほどで見終えねばなりません。

さらに、公開初日には出演者による舞台挨拶もあるとのことで、

(その同僚は舞台挨拶付きの前売り券を準備していました)

声優さんの名前と顔がまったく一致しないような私が、

そんな「マニア垂涎」の舞台挨拶に参加してよいものかどうか迷いました。

 

何を隠そう、わたしはライトノベルが苦手なんです。

大仰な会話表現(!や?、~などを多用する)がダメで、

普通の小説を読むよりも格段に時間がかかるんですよ。

それでもどうにか1日2冊ペースで原作を読みつつ、

それと並行してBlu-rayBOXでアニメの1期と2期を見始めました。

原作者である丸戸文明さんの文章もライトノベルのそれではあったのですが、

お話の展開が面白くて、一週間ほどで短編集も含めすべて読み終えました。

アニメも仕事から帰宅後に3話ずつ見始め、気が付くと冴えカノにどっぷりです。

 

なるほど、映画化される理由も納得です。

 

 

 

 

 

 

というわけでここからようやく映画のお話になります。

ネタバレ全開で書きますのでご注意ください。

 

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写真でもお分かりの通り、

映画の豪華版パンフレット(劇中歌CD付き)を購入させられ(笑)、

そしてサイン色紙と作者書下ろしの短編小説が特典でもらえました。

どうやら毎週特典が変わっていくみたいですね。

 

2年ほど前に放映されたテレビアニメ版2期では、

原作の7巻くらいのところまでお話が進んでたみたいですね。

詩羽先輩と英梨々がサークルを離れて別々の道を歩み始めるところです。

 

今回の「Fine」は完全にテレビアニメ版の続きとして描かれています。

つまり、これ単独ではお話についていくのはかなり困難、ということですね。

原作あるいはテレビアニメ1期2期を見ている人向けなので、

そこは割り切って丸戸先生も脚本を書かれたのでしょう。

 

全体的には2時間弱でよくまとまった映画でした。

膨大な原作をこの時間で完結させるにはいろいろとご苦労もあったみたいですが、

エンドクレジット後のエピローグも含めて、

原作の良いエッセンスを抽出しつつも、原作とはまるで違うシーンに昇華し、

きっちりと大団円になっているのはすごいな、と思いました。

 

原作の最終巻で印象的だった英梨々と倫也との自宅前での別れのシーン。

最後の英梨々のセリフはやはりグッとこみあげてくるものがありました。

原作ではそのあと詩羽先輩との別れがあり、

そのあと恵がやってきて倫也と一緒に語らうシーンもあったのですが、

そのあたりはバッサリとカットされてましたね。

 

倫也と恵とのファーストキスのシーンはやはり印象深いものがありました。

原作でいうと13巻の最初のほうで描かれているのですが、

それとはまったく違う、映画オリジナルの展開です。

原作では倫也と恵のセリフの応酬から突然のキスという、

いい年をしたおじさんが赤面してしまうようなシーンだったわけですが、

映画では道の真ん中で照れながら倫也が恵にキスをしたあと、

今度は恵から倫也へ、最後は「せーの」でタイミングを合わせてのキスという、

これもまた、いい年をしたおじさんが赤面してしまうようなシーンでした。

 

そして、このキスシーンでかかっていた歌がとてもよかったです。

「ULTIMATE♭」という楽曲で、豪華版パンフ特典のCDにも収録されています。

 

今もそれを聞きながらこのブログを書いているわけですが、

加藤恵の役をされている声優さん、とっても歌がお上手なんですね。

キャラクターの声で歌を歌うというのは難しいと思うのですが、

テレビアニメ版の「M♭」や「GLISTENING♭」の流れをくむ、

とても感動的な楽曲に仕上がっています。

多分これからヘビロテして聞くんだろうなと思います(笑)

 

歌というと、映画の冒頭は、

倫也の幼馴染である氷頭美智留率いるicy tail(アイシーテール)のライブから始まります。

「icy tail YO!」というそのまんまのタイトルですが、

楽曲は乗りの良いロックテイストで、オープニングを飾るに相応しい元気なきょくになっていました。

 

同じblessing softwareの美智留と出海の前で、

倫也への思いを告白する恵にグッときました。

Girls Sideという3巻まで出ている原作シリーズのエピソードも、

こうしてちゃんと映画に反映されているのは嬉しかったですね。

 

でもまあ、原作を知っていると、

どうしても端折ってる感を感じてしまうのは否めないです。

テレビアニメ3期として12話(あるいは13話)くらいで丁寧に描けば、

もう少しいろんな心情を表せたんだろうとは思うんですけど、

それでも、映画できちんと原作ラストまで描けたのは素直にうれしいものです。

 

で、エピローグは新規書下ろし部分ですね。

何年か後のお話で、倫也がゲーム制作の夢をあきらめ、

普通に会社で営業職についていて、慣れない仕事で恵と不仲になり、

そして路頭に迷ってたどり着いたところで、詩羽先輩が登場し、

ラブストーリーは突然に」のイントロが流れ出すところは笑えました。

実はこれ、詩羽先輩の書いた新作タイトルのプロットであるというオチなんですが、

久しぶりに詩羽先輩と英梨々も含めた6人が同じ部屋に集うラストシーンは、

なんだか見ているこちらも胸が熱くなってきました。

 

にわかファンが何をまじめに語ってるんだと思うでしょうけど、

先月まで冴えカノの「さ」さえ知らなかった人間が、

こうしてブログで感想を書くまでに成長したところを評価していただけると幸いです(笑)

 

そのあとはライブビューイングということで、

舞台挨拶の模様が中継され、出演者6人が登場してネタバレ全開の感想戦

そのあと主題歌を歌われた春奈るなさんの生歌も披露され、

大変満足して映画館を後にしたのでした。

 

 

「映画なのに作画安定してなかったな」

「うん、ほんとにそう」

映画館を出るときに前を歩いていたマニア二人組がこんなこと言ってました。

やはり見る人が見ると違うんだな、という印象を抱きつつ、

そういう連中のことを「作画厨」って言うんですよ、と同僚が教えてくれて、

その二人組に侮蔑の表情を浮かべていたことも併せてご報告いたします。