今年のはじめあたりからずっと、
慣れないフルオーケストラの譜面を書き続けていたこともあって、
フルオーケストラではない曲を聞きたくなりました。
フーガというのは、輪唱の高度なバージョンともいえる音楽技法です。
1つのメロディが提示されて、そのメロディが形を変え、遅れて奏されます。
フーガを日本語に訳すと「遁走曲」というのですが、
まさにその通りで、メロディが追いかけっこをするような状態になります。
同時発声などの「縦の音」の音楽理論を「和声法」というのに対し、
フーガに代表されるような、
メロディを複数折り重ねていく「横の音」の音楽理論を「対位法」といいます。
そのあたりの話を始めると楽典に出てくるような難しいお話になるので、
ここでは割愛したいと思います。
子供のころからフーガが好きでした。
それこそフーガの大家といわれるバッハの曲は、
幼少期から母の影響で聞いてはいましたし、
すでに小学生時代にはジャズに出会ってそっちばっかり聞いてましたけど、
その合間合間にはフーガの曲を浴びるように聞いていました。
これはJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻に収録されている、
ハ長調の4声のフーガと呼ばれるものです。
色で囲んでいるのはそれぞれの声部の起点となるところですね。
下の動画はこのBWV846のフーガ部分の演奏となります。
No. 1 in C major BWV 846: Fuga a 4 voci
最初に私がフーガを書いたのはどうやら中学生の時だったようです。
私自身は深く憶えていないんですけど、
中学一年生の時に音楽の授業で「発表会」みたいなものがあって、
楽器を持ち込み可で先生や同級生の前で何かを演奏するというのがあったんです。
楽器が演奏できない人は好きな歌をアカペラや伴奏付きで歌ったりしてましたが、
その時に私は友人二人とタッグを組んでリコーダー演奏をしたんだそうです。
曲目にも特に指定はなかったので、
当時流行っていたゲームの音楽を中学生なりにリコーダー編曲したものを、
よりにもよって音楽教師(音大卒の偉い人)の前で披露するという、
今から考えると大それたことをやったもんだ、と思いますけど(笑)
その編曲で無意識に使ったのが「フーガの技法」だったというわけです。
原曲はフーガではなかったので、たぶん編曲で悪戦苦闘したんだと思います・・・
G線上のアリアによく似た曲だったこともあって、
その演奏した曲がゲームの曲だというのは先生にはわからなかったようですけど、
おそらくは大バッハをかなり意識した感じだったんだろうなぁと。
当時作った楽譜も残っていませんし、私自身がその演奏の記憶がないもので、
実際どうだったのかは、一緒に演奏してくれた友人に聞くべきなんでしょうけど、
そのうちの一人はすでに鬼籍に入っており、もう一人は日本にいないようなので、
その真偽は今のところ確かめるべくもない状況です。
私がフーガ大好きっ子ってお話でしたけど、最後は少ししんみりしちゃいましたね。
ま、こういうのもたまにはありです。