音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

奏者側のマナー

土曜日出勤しているのでブログ更新しています。

 

タイトルにある「奏者側(あるいは運営側)のマナー」

を考えさせられることが昨日あったので少し書いてみようと思いました。

 

昨日サントリーホールでとある演奏会へ参加しました。

元々参加する気はなかったのですが、

友人が急病で行けなくなって、席が空いてしまうのは忍びないということで、

チケットを譲ってもらって、参加してきたんです。

その演奏会は、アニメの主題歌やBGMを主体としたコンサートで、

それまでその演奏団体が演奏してきたものを中心に構成されたものでした。

知っているものも知らないものもありましたが、

本番の演奏会はとても楽しめるものになっていたように思いました。

尊敬する作曲家のお一人である田中公平さんの生歌が聞けましたし、

声優の緒方恵美さんの生歌が4曲もあってお得な気分でした。

 

それは、本番前のプレコンサートで起こりました。

 

最初に登場したのはクラリネット五重奏で、

宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」の歌やBGMのメドレーでした。

アンサンブルが心地よく、ほとんどが知っている曲でもあったので、

楽しく演奏を聴くことが出来ました。

 

そのあと登場したのが、IGNIS SINFONIETTAという、

マチュア有志が集まって結成された、

主に田中公平さんの楽曲を演奏する吹奏楽団体です。

確か2017年に開催された別の演奏会でも登場して、

迫力ある演奏を聴かせていただいた記憶があります。

 

合計2曲の演奏をしたのですが、その最初から気になっていたんです。

それは一人のコントラバス奏者でした。計3人いる中の真ん中の方です。

挙動が他の方と明らかに違っていました。

手に力が入っている様子もなく、楽器を支えるだけで精いっぱいといった印象。

1曲目の時から奏者も楽器も大きく揺れ動き、朦朧としていました。

この時に何らかの対処をしていればよかったのかもしれない、

というのは、すべてを知った後だから言えることかもしれませんが。

 

2曲目の演奏の途中でした。

突然そのコントラバス奏者の方が楽器を手放し前のめりに倒れたんです。

目の前にあった譜面台も倒し、激しい音がホール内に響きました。

 

その瞬間、客席側の空気が一変したように感じました。

指揮者の方もその様子に気づいてはいたようですが、

演奏が途中で止まるようなことはありませんでした。

最後まで演奏を終えて、何事もなかったかのように進行されていきます。

IGNIS SINFONIETTAの演奏が終わって、メンバーがはけていく時、

その奏者が再び倒れ、置いてあったプロ奏者用のコントラバスに当たったんです。

恐らくは楽器になんらかの傷がついただろうとは思うのですが・・・

 

司会進行がそこで止まることもなく、やはり何事もなかったかのように、

本編を演奏する演奏団体メンバーが登場し、本編がはじまりました。

終演後も、なんらそのハプニングに関するアナウンスもなく、

それはそれで何とも言えない思いを抱えながら帰路につきました。

 

 

その倒れた奏者に先天的、あるいは後天的な理由があったのか、

それとも極度の緊張がその行為を招いた一因なのか、

何ら説明がなされていないので、何もわかりません。

 

 

演奏中にハプニングはつきものです。

コンサートマスターの弾いているヴァイオリンの弦が途中で切れてしまったときは、

コンサートマスターのうしろにいるメンバーから順番に所持する楽器を回すことで、

演奏に支障が出ないようにする、というのは割と知られているお話です。

 

ただ、奏者が急病やそれに類する状況に陥って、

演奏することが不可能となった場合はどういう取り決めがあるのでしょうか。

 

バンドとかやっていたことがありますが、オケメンバーになったことは皆無なので、

そういう場合の「暗黙のルール」はわかりません。

ソリスト(独奏者)などがそういう演奏不能状態になった場合には、

きっと演奏が中断して、何らかのアナウンス等が行われるはずなのですが、

今回の場合は、本編内での事故ではなく、

本編前のプレコンサートでのものだったので、ああいう形になったんでしょうか。

 

鑑賞者側には鑑賞者側のマナーがありますが、

奏者側には奏者側のマナーというものも存在します。

今回のこの一連の事故が、マナーに則ったものだったかどうかは、

私自身は判断する立場にもないですし、判断することは困難です。

ただ、あの奏者が倒れたときに隣にいたメンバーだけが手を差し伸べて、

他のメンバーや舞台袖に待機しているであろうスタッフが登場することもなく、

結果としては何ら説明されず、楽器に傷がついただけでした。

 

一歩間違えたら、という言葉は私自身とても嫌いな言葉なんですけど、

仮にその奏者が倒れたことに起因して演奏会自体に深刻なダメージが広がり、

演奏会を途中で中止する事態にならなかったとも断言できません。

 

「奏者側、運営側で何らかの対応を即時行う必要があったのではないか」

「過剰に反応しては鑑賞者に要らぬ不安を与えることになってしまうから、

あの場はああするより仕方なかった」

 

あの舞台裏でどのような会話が繰り広げられていたかは想像がつきませんが、

少なくともあの事故の時点ですでに不安は広がっていたように感じます。

指揮者や舞台スタッフが一声かけるなり、説明するなり、

なにかしらの対処法があったような気がするのは私だけでしょうか。

 

奏者には奏者の理屈がある。

頭ではそう分かっていながらも、釈然としないものが残ったのもまた事実です。

 

何はともあれ「安全第一」ですね。

(うまくまとまったかどうかわかりませんけど・・・笑)