音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

マリア・ジョアン・ピレシュ

人によっては「ピリス」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、

私は海外にいた頃から「ピレシュ」と呼んでいるのでこれで通します。

 

6/10(日)の夜に「クラシック音楽館」を見てました。

N響ことNHK交響楽団の公演を中心にクラシック音楽を堪能できる、

私にとっては素晴らしい番組なのですが、

6/10の放送では、

ソリストに名ピアニストであるマリア・ジョアン・ピレシュ

指揮は今年でもうすぐ91歳となられるマエストロ、ヘルベルト・ブロムシュテット

このコンビで、ベートーヴェンのピアノコンチェルトを演奏したんです。

 

私が最も好きなピアノ協奏曲の一つ、

ピアノ協奏曲第4番ト長調 作品58です。

 

テレビ見ながらずっと泣いてました。

ピレシュの奏でる音色の清澄な響きもそうなのですが、

この音を生で聞くことが出来なくなってしまうのだなという寂寥感が、

聞いてる間ずっと私の心を縛っていたんです。

いや、演奏中はそのこと忘れてました(笑)。

 

今年いっぱいで演奏活動から引退することを発表したのは記憶に新しいところです。

だから是が非でも生で聞きたかったのですが、

そう思う方は私のほかにもたくさんいらっしゃったようで、

私が買おうと思う頃にはすでに売り切れとなってしまってました。

 

まあ、そんな内情はともかく。

 

本当に素晴らしい演奏でした。

ブロムシュテットさんの指揮もそんな音色を支えるように奏で、

演奏が終わるころには「終わってほしくない」とずっと思っていました。

そのくらい胸を打たれた音楽だったんです。

 

そのあとのピレシュのミニドキュメントも素晴らしい映像でした。

岐阜で行われたワークショップの模様を中心に、

彼女の音楽への向き合い方のようなものを垣間見ることが出来ました。

彼女と20年ほど前、私が音大でボケーっとしていたころに出会っていれば、

もう少しましな学生生活を送れたのかもしれませんが、

今の私だからこそ、こうして感銘を受けているのであって、

当時の私がこの映像を見たところで同じような感想を抱くかどうかはわかりません。

たぶん、今ほど感銘を受けることはなかったでしょう(笑)。

 

引退。

本当に惜しいと思います。

 

でも、素晴らしい演奏家の生演奏を何度となく聞けたのは、

本当に至福のひとときでありました。