音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

うちわねた

最近あまりTwitterを見なくなったんですけど、

たまたまさっき開いてみたら、こんなリツイートがありました。

ゲーム音楽の演奏会に行くと、内輪ネタや閉鎖的な空間で少し近寄りがたい空気がある。少し遠慮しがち・・・」

確かこんな意味合いの言葉だったと思います。


内輪ネタって仲良しグループでいる間はたしかに楽しいんですよ。
他の人が知らないネタであるってこともそうなんですけど、
「暗黙の了解」を知ってるぞっていう優越感にひたることが出来ますから。

ただ、例えばです。
内輪ネタなど全く知らない人が、
そういうネタ満載の場所へひょっこり顔を出したらどう思うんでしょう。


プロ・アマ問わず、ゲームの音楽の演奏会がかなり増えてきて、
ゲームファン有志が集ってコアな演奏をして注目を集めているものもあります。
私も二年くらい前まではそういう演奏会にも行ってたんですけど、
ここのところそういう演奏会から足が遠のいてきた気がします。

自分で言うのも憚られますけど、ゲーム創生期からゲーマーだったので、
割とゲームの音楽は聴き込んでいる人です。
だから、内輪ネタにも苦もなくついていくことはできます。
しかし、「行くたびにいつも同じ人達がいる」空間で、
「コアなネタを知らない人が演奏を聞く」というのは、
ある種、拷問に近いのではないかと思うんですよ。

「知らない人は来なきゃ良い」という考え方もあるかもしれません。
確かにそのとおりだと思います。行かなきゃ良いんです。
ただ、演奏する曲目を見て参加した人からすると、
そういう雰囲気をチラシやツイートだけで把握するのって難しいと思うんです。


私が有志の演奏会を敬遠するようになったのは、
「いつも同じ奏者」が「いつも同じ観客の前」で、
それほど代わり映えしない演奏をすることにどういう意味があるのか、
ということを真剣に考えるようになった、ということがあります。
(当事者たちは変化していると思っているかもしれませんけど)

確かに演奏のクオリティは高いと思いますし、
そういう演奏を心待ちにしているファンの人も多いと思います。
胸襟を開いて演奏することができるって、
奏者から見ると心地よいでしょうから。
でも毎回同じ観客ばかりで、
内輪ネタで盛りあがるようなことがあるってのはどうなんでしょうか。
演奏後に、懇親会と銘打っていろいろな人と語る機会があるものもありますが、
そこでも結局は同じメンバーや奏者同士がグループを形成して話し込んで、
たまたまそこに入り込んだ新参者からすると、
その輪に入ることが出来ず一人で戸惑いを覚えるのだと思います。

私の場合もそうでした。

少人数で順番に奏者が登場する演奏会に行ったときのことです。
とてもいい演奏会だったと思うんですけど、
その後に懇親会というのがあったんですよね。
そこで主宰の方が参加してくれたすべての人に、
声をかけてまわってたりしてたんですけど、
その他の出演者やスタッフのほとんどが、
奏者とその取り巻き同士で集まって内輪ネタで盛り上がってました。
私はその演奏会に知り合いが出ていたので参加したんですが、
中には知っている人もいましたけど、
結局はその知っている人達との会話のみに終止してました。
私はどちらかというと、ズケズケと踏み込んでいくタイプの人間なんですが(笑)、
その時は、その演奏会独特の排他的な雰囲気に飲まれてしまい、
結局知り合いと主宰の人以外と全く会話をすること無くその場を後にしました・・・

ためらわずにその輪の中に入ってみればいいと思うのでしょうが、
主催者の意図に関わらず、
ややもすると「一見さんお断り」という空気感のある演奏会に、
何のためらいもなく入っていける人ってそんなにいないと思うんですよ。


ただ、その逆も言えるんですよね。
奏者側や主催側からすると、一見さんで来たお客さんや知らない人たちに対して、
どういうふうに声をかけてよいのかわからないわけです。
それに気心の知れた人たちが周りに集まっている方が圧倒的に楽ですし、
わざわざこちらから声をかける必要もないだろう、と思いがちです。

私はこのあたりにマンネリを防ぐ手立てが隠れてるような気がするんですよね。
この場合のマンネリというのは、奏する曲目ではなく人付き合いのお話ですけども。

こういう演奏会に行く人もそうですし主宰する方もそうですけど、
人見知り率が結構高い気がします。
おひとりさまで演奏を見に来ることが多い中で、
知らない人にこちらから声をかけることってかなりハードルの高い所業です。
それは奏者側にももちろん言えることです。
お客さんに声をかけたいけど自分から行くのはちょっと、という方も多いはずです。

そういうお互いの遠慮みたいなものが、
結局は知り合い同士が集まってグループを形成してしまって、
内輪ネタなどで盛り上がってしまうことで、
何も知らない人たちをドン引きさせてしまう一因となってしまっていると。


以前にもあったんですけど、
ご夫婦でとある演奏会に来られていたんです。
そのご夫婦ともに面識はあって、特に奥様の方はかなりフランクな人で、
私のような人にもひと声かけてくれる優しい方でした。
旦那さんの方とは何かゲーム関係の集いみたいなところで一度お会いした程度です。
そして私は礼儀としてその旦那さんに「お久しぶりです」を声をかけたんですが、
聞こえなかったはずはないんですが見事にスルーされてしまいまして。
きっと照れてたのか私のことが好きではなかったのか、
まあどっちでもいいんですけど、そのことに酷くショックを受けたんですね、私が。
それ以降、あまり演奏会などで声をかけるのを控えてます・・・


単に私がひどい飽き性で、
違うこともしてみたい、違う演奏も聞いてみたい、
という欲求が強いだけかもしれませんし、
これまで語ってきたことが私のひとりよがりな意見であることも承知してます。
そんなことを一切気にしないで聴きたいものを聴けば、
演奏したいものを奏すれば、それでいいじゃないの、
という意見も分かりますし、理解はしているつもりです。
気心の知れた人と語らったり一緒に演奏したりすることが、
ただ純粋に楽しいということももちろん頭のなかではわかってます。

しかし。

そういう空気感がたまらなく苦手な人もいるんですよね。
せっかく演奏が素晴らしいのに、そうした空気感があるために敬遠してしまう。
もったいない、とはわかってながらもあんな経験を二度としたくはないという思いで、
少しずつ距離を置いていって、結局はそこから遠く離れてしまう。
こういうことが少なからずあるということは知ってほしいと思うんですよね。

内輪ネタはもろ刃の剣、
心地よい空間を作る事ができる、と同時に、
ついていけない人は容赦なく切り捨てられる。

これは私への自戒の言葉でもあります・・・。
私も言葉だけでなく態度に気をつけねば(笑)。