音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

アレンジのお話

今回は趣向を変えてみました。

 

アレンジ(編曲)のことをちょっと書いてみようと思います。

編曲を生業としている人のことを編曲家と呼びます。

提供された楽曲を整えるというのがそのお仕事なのですが、

たとえば、

  • イントロやアウトロを作る
  • 曲に伴奏をつける
  • 作曲家のつけたコードをより良いものに作り変える

あんまりアウトロって用語は使わないんでしょうけど、

要するに曲の終結部分、エンディングのことですね。

 

本当はもっといろいろなことをしているんですが、

まあこういうことをしている、と漠然と想像できればいいかなと思います。

 

実は私も編曲家をやっていた時期がありまして。

演歌だったりポップスだったりのアレンジをさせてもらってました。

もう何十年も前の話ですけどね。

アラフォーなので、その頃はまだピチピチの10代、20代でした(笑)

 

そのときに気づいたことがあるんですけど。

 

いい編曲家がいい作曲家になれるとは限らない。その逆もまた然り。

 

というものです。

アレンジというのは理屈で動くことも当然有るんですけど、

センスもやはり重要な要素の一つとなります。

作曲家の意志をくみとって、より完成度を高める作業でもあるので、

アレンジというのはある種職人技とも言えるところがあります。

 

アレンジというのはすでに出来上がっている曲に色を付ける仕事です。

それだけじゃないんですけど、端的にいうとそういうものです。

その色をつける仕事をしている人が、

例えば真っ白なキャンバスに鉛筆でデッサンを書き始めるとします。

様々なデッサンをこれまでにたくさん見てきたわけですから、

デッサンの素養はもしかしたらあるのかもしれませんし無いかもしれません。

 

優れた編曲家が優れた作曲家になる、というのは割と稀な気がします。

例えば、近年のバンドを見てみると、

メンバーのボーカルの人が作詞作曲を手掛けて、

バンド名で編曲に名を連ねていることがよくあると思います。

確かに楽曲はとても素晴らしいんですけど、アレンジがちょっと・・・

という曲も実は結構あったりします。

もちろんその逆もあります。

アレンジは素晴らしいのに、曲の完成度があまりに低い。

その低い完成度をアレンジでカバーしきれていないこともあります。

 

聴衆ってそういうところはちゃんと見ているんですよね。

だから厳しい意見も当然出てくるでしょうし、

信者でもない限り、不満があればちゃんと声を上げているように思います。

 

話がそれそうなので戻します。

 

とあるゲームの付随音楽演奏団体の編曲をやっている人が、

たぶんお遊びか何かで作曲をされているのを見かけたんですね。

で、聞いてみたんですけど、あまりパッとしないんです。

どこかで聴いたことがあるようなメロディが流れてきました。

そのときに、前述のあの言葉がよぎったんです。

 

いい編曲家がいい作曲家になれるとは限らない。その逆もまた然り。

 

私自身も作曲を勉強していた者の一人ではありますが、

結局自分で作曲をしたのはほんのひと時だけで、

あとはずっとアレンジャーとして生活していたように思います。

 

0から1を作る作曲。その1を何倍にもふくらませる編曲。

どちらも音楽にとってはかかせないものです。

クラシック音楽であればその両方を一人で手掛けます。

(もちろん例外は多数ありますけど)

ジャズの世界でもそうですね。

名曲と言われるものは、様々なアーティストが個性あるアレンジで、

その楽曲の魅力を引き出そうとします。

ポップスの世界では、カバーと言うかたちでアレンジに変化をもたせたり、

曲調をジャズ調だったりボサノバ調だったりにして、

既存の名曲に新たな息吹を呼び起こそうとしているものがあります。

 

そう考えてみると、アレンジって大変だなと思うんです。

私もよくそんな仕事してたな、と自分で自分を褒めたいくらいですが(笑)

既定路線を外さない程度に、でもギリギリのところをつく、

というのが私のアレンジスタイルの基本だったので、

いろいろと文句を言われたりボツにされたり、

それこそ作曲家の人に散々ダメ出しをされたこともありました。

まだ若い頃だったので我慢ができなくて反発したことも一度や二度ではないですし、

それでもいろいろな人からのアドバイスに従って、

手直しをしたら、ものの見事に素晴らしいアレンジになったり、

なかなか経験できないことを若い頃にさせてもらえたのは、

音楽を離れている今となっても、人生に役立っているように思います。

 

なんだかとりとめのない文章になっちゃいましたが、

子供の頃からドラマとかアニメとか見ていても、

音楽担当が誰なんだろうとか、主題歌の編曲は誰なんだろうとか、

そういうところばっかり注目していた人なので、

たぶんこれからもきっと編曲家を追い続けるんでしょうね・・・