最終回のお話まで言及する予定なので、まだ見てない人やネタバレされるのが苦手、あるいはネタバレ耐性を持っていない人などは早急に退場されることをオススメします。
といってもブログの最初はこのアニメの紹介となりますが(笑)
アニメ「SHIROBAKO」は2014年10月から放映開始された、
アニメ業界の裏側(のようなもの)を描いた作品です。
高校のアニメーション同好会に所属していた5人の女の子が、
それぞれ違った道でアニメと関わる仕事に携わり、
紆余曲折を経て成長していくという、
とても簡単に言うとそういうアニメです。
ちなみにタイトルの「SHIROBAKO」というのは、
その名の通り白い箱のことなのですが、
作成された映像物(アニメも含む)が出来上がって、最初に制作サイドで受け取るビデオテープのことです。
白いケースに入っていたのでこういう名前になったんだとか。今はビデオテープではありませんが、「白箱」という名称は残っているようです。
このアニメの監督は水島努さん。
2000年以降アニメはあまり見なくなった私なのですが、
「おおきく振りかぶって」は好きな作品でした。
なので、水島監督といえばこの作品という印象なのです。
Wikiを見てると、
水島監督も最初は制作進行だったんだなぁとか、
よんでますよアザゼルさんの監督もやられてたんだとか、
いろんな発見があって面白かったです。
けど、やっぱり「おお振り」の印象が強いです。
このSHIROBAKOを見始めたのはほんとうに偶然でした。
ニコニコ動画のサイトで動画を見てたら、
トップページだったか宣伝だったか定かではありませんが、
このアニメの動画UPのニュースが目に飛び込んできたのです。
普段であればスルーしてしまうのですが、どうにもこうにも気になるタイトルじゃないですか。
だって「SHIROBAKO」ですよ?
何気なくリンク先をクリックし見始めました。
面白かったです。
人物も魅力的だし音楽も素晴らしいですし、そして何よりお話の構成がとてもおもしろいなぁと思いました。
これは継続してみなければいけない。そんな気がしました(笑)
この辺りでネタバレ込みの話をしようと思います。
※以下、ネタバレ含みますのでご注意ください。
まずは主要5人のご紹介を。
宮森あおい(おいちゃん、みゃーもり)
武蔵野アニメーションの制作進行担当。
二年目にして、成り行きとはいえ制作デスクを担当することになる。
安原絵麻(えま)
武蔵野アニメーションの原画担当。
坂木しずか(ずかちゃん)
赤鬼プロダクション所属の声優。
「第三飛行少女隊」最終話追加シーンでルーシー役を射止める。
藤堂美沙(みーちゃん)
一年弱でCG会社(車関連)を退職し、現在はスタジオカナブンにてCG制作。
「第三飛行少女隊」のCGも担当。
今井みどり(りーちゃん)
武蔵野アニメーションに設定制作のアルバイトとして入る。
脚本家・舞茸しめじの弟子(自称)。
前半は「えくそだすっ!」というTVオリジナルアニメ制作現場を通して、
主人公の1人、宮森あおいを中心に物語が進んでいきます。
フリーランスのデブ監督・木下誠一の無茶ぶりがあったり、
原画担当者が足らなくて、おいちゃんがさまよった挙句に某有名監督にお話を持って行ったり、
絵麻が原画作業でスランプに陥ってしまって、総作画監督補の井口さんに助言をもらうことで救われたり、
みーちゃんが今の会社ではアニメーションのCGが出来ないことを悩み、4人に相談したのち会社を辞めて小さなアニメCG制作会社へ入ることになったり、
りーちゃんがおいちゃんのお姉さんの接待をさせられたかと思えば、武蔵野アニメーションのスタッフに調査の敏腕ぶりが認められて「ディーゼルさん」と呼ばれるようになったり、
ずかちゃんがオーディションで緊張しまくりで結局落ちてしまったり、
様々なことが5人それぞれに起こります。
前半のラストではどうにかこうにか「えくそだすっ!」の最終話が完パケし、
打ち上げ会場にて白箱を見る寸前で終わります。
後半では、
武蔵野アニメーションが制作するアニメ「第三飛行少女隊」の進行がメインになります。
上記の5人中、ずかちゃんを除く4人が、このアニメ制作に携わることになります。
原作のある作品ということで、夜鷹書房の編集者と共同して制作に当たることになるわけですが、
まあ、この編集者、茶沢がとてもひどい(笑)
23話で木下監督自ら夜鷹書房へと文字通り乗り込んで快刀乱麻を断つ大活躍をしつつ、原作者と会って意気投合するところは胸がスカッとしました。
22話までのずかちゃんは見せ場が殆ど無くて、
ネットでも「ずかちゃんは救済されるのか」というのが焦点の一つになってたとかなってなかったとか(笑)
22話まで見てて、あと2話でどうなるんだろう、とやきもきしてたんですけど、
前述の紹介の通り、ずかちゃんが追加シーンのルーシー役を射止めます。
ちょうど話数で言うと23話のお話になりますね。
アフレコシーンでは、おいちゃんが台本で顔を隠しつつ号泣してるシーンがありましたけど、私も号泣とは行かないまでも泣いてました・・・ほんと、23話は名シーンばっかりでしたね。
ちょっと詰め込みすぎとも思いましたが^^;
印象に残っているシーンを幾つか。
制作進行の1人、高梨というのがいます。
何をやらせてもダメダメなやつなんですが、
前半で各話作画監督の遠藤と3D作監の下柳との軋轢を勝手に生み出したりしてました。
「イデポン宮森」の発動により二人は仲直りしてお互いに歩み寄るわけなんですけど、
その軋轢中に遠藤が業界の先輩に愚痴をこぼすシーンがあるんです。
要は「手書きのほうがCGよりも良い」ということなんですけど、その先輩は遠藤にこう言い放ちます。
「人のせいにしているようなヤツは辞めちまえ」と。
結局この時遠藤はこの話に耳を傾けることはなく、イデポン宮森発動まで仕事をボイコットすることになります。
この話ってかなり胸にグッとくるんですよね。自分の境遇に当てはめて考えてしまったり。
結局脳天気な高梨は今回の一件でも反省することはありませんでした。
そんな高梨のことを最初は嫌なやつだって思ってたんですけども、後半に登場する平岡とのバディぶりを見てて徐々に好きになっていきました。高梨、ほんと良いキャラです。
井口さん大好きなんですよね。
絵麻が各話作監の瀬川さんに、猫のシーンでリテイクを何度もくらいスランプに陥るんですが、そんな時に手を差し伸べてくれたのが総作画監督補佐だった井口さんでした。まあ細かく言うと、大ベテランの原画スタッフである杉江さんが絵麻の様子を見かねて井口さんに声をかけたことが発端ではあるんですが。
井口さんは絵麻を外へ連れ出します。とある公園に連れて行き頭をリフレッシュさせるわけですね。その時偶然に猫が姿を現して井口さんとじゃれあっているところを絵麻がじっと見つめるシーンが。そこで何かヒントを得たのか、絵麻はようやく悶々とした気持ちが少し晴れて現場(原画作業)に向かうことになります。
この辺りの描写がすごく好きで、これきっかけで井口さんのことが大好きになりました。
前述の杉江さんのお話も良かったですね。
自らを「ムサニ(武蔵野アニメーション)のお荷物」と評する杉江さん。1人だけ子供向けのアニメの作画を手がけられていたのですが、あおいが原画マンを探していた時偶然出会った菅野監督(『◯ヴァン◯◯オン』の監督がモデル)から杉江さんの天才ぶりを聞かされることになります。武蔵野動画(ムサニの前身となる制作会社)で制作していた「アンデスチャッキー」のOPのとあるシーンをたった3日で作り上げたという「杉江三日伝説」。あの人は基礎ができているから描けるんだよ、という菅野監督の表情がいきいきとしてました。
その足で杉江さんの自宅へと赴いたあおい。最終話の絵コンテを見せられた杉江さんがそのままムサニへと向かってスタッフに話すシーンからちょっと涙出そうになるくらいすごいなぁ、と思いました。セリフ回しやキャラの芝居が本当に素晴らしくて、そこにかかっていたBGMが涙腺を大きく刺激しまして、今思い出しただけでも泣きそうです(笑)
結局杉江さんの活躍で無事に「えくそだすっ!」最終話が完パケします。
あおいのお姉さん、宮森かおりが登場する回も印象に残っています。
突然東京に上京してくるかおり。あおいは忙しくて相手ができず、当時大学生でもあったみどりにかおりのことを託すことになります。
何かを吹っ切るようにいろんなところを連れ回すかおり。うすうす何かあるんだろうな、と思うみどりは、それでもかおりのわがままに付き合うことになります。
そんなかおりが突然思いついたように家へと帰ることになります。かおりが妹の家を出ていこうとする背中にあおいはこう声をかけます。
「おねえちゃん、大丈夫?」と。
あおいは何となくかおりが上京してきた理由をわかってたんですね。この言葉を最後に持ってくるあたりがうまいなぁ、と1人でニヤニヤしてました(笑)
とまあ思いつくままにシーンを書きなぐってみましたが、これだけではこのアニメの良さは伝わらないんだろうな、と思います(笑)。
最終回。昨日放送されました。
第三飛行少女隊が納品日ギリギリで完パケし、制作進行メンバーやプロデューサーが総出で各地の放送局へとビデオを持って向かいます。あおいも「広島文太放送」へ向かうことに。
ここで興津さんの意外すぎる過去がちょっとだけ明らかになりました。
「上高地テレビ」に完パケしたビデオを届けに行くのですが、興津さんは赤いスポーツカーで飛ばしに飛ばします。パトカーを数台引き連れたまま上高地テレビに無事到着したあと待っていたのはズラリと並んだ警察官。その中の1人が興津さんに声をかけます。
「7kmオーバーだ。8年ぶりだな、音速の貴婦人」
その言葉を受けて興津さんも、
「お久しぶりです、服部さん。警部に昇進なさったんですね」
と返す余裕を見せます。
二人は顔なじみだった、というか、興津さん何回交通違反したのかってことなんですけど(笑)
まあ、「音速の貴婦人」っていうネーミングもなかなかのものです。
あおいも無事にビデオを届け終えて帰りの新幹線に。
そこでロロがあおいに声をかけてきます。
「これからどうしたいのか決まった?」
このお話の根幹ともいえるテーマですね。あおいは何のためにアニメーションを制作しているのか。そのことをずっと考え続けていたんです。
ミムジーとロロ、というぬいぐるみなんですが、この作品のマスコット的立ち位置にあったこの二人がついに宮森あおいと会話するシーンが登場となりました。
まあ、最終回前半でも新幹線でミムジーとロロとあおいが会話するシーンありましたけどね(笑)
ロロ「このままアニメを作りたいのか、作りたいとしたら何故なのか」
あおい「・・・これからゆっくり考える」
ロロ「甘ったれんなー!!」
(そういってロロはあおいの右頬へパンチ)
ロロ「目先のことばかり考えてる時期はもう終わりだよ」
(中略)
ロロ「そろそろ少し高いところから遠くを見る時が来たんだよ」
あおい「・・・少し、高い・・・遠く」
(中略)
あおい「私、これからもアニメを作り続けたい!」
ロロ「うん、よし!!」
と、脚本みたいなものを書いてしまいましたが(笑)
ここのロロとあおいのやりとりの掛け合いがすごく好きなんです。
ちなみに、(中略)と書いたところもいい言葉がたくさんあります。
この後打ち上げ会場であおいが乾杯の挨拶をするときにも決意表明をするんですが、見たい人は是非ビデオや公式配信で見てください。私は、この決意表明を聞いて涙出ました。
最後はこの打ち上げで前述の5人が勢揃いし、
5人でこれからも頑張ってアニメを作っていくと誓い合ってこのアニメは終了します。
最後に音楽のこともちょっと話させてください。
水島監督、というより制作されたP.A WORKSさんと組むことが多いらしいです。
(最近のアニメに詳しくなくて本当にすいません・・・)
FFのオーケストレーションなどでもお馴染みの方なのですが、
この浜口さんの音楽がほんとうに素晴らしかったです。
一つのモチーフをいろいろなところでアレンジを変えて使われてたり、
勇壮な曲から哀しみや憂いを帯びた曲までいろいろと聞くことが出来ます。
残念ながらサントラはBlue-rayやDVDの特典となっています(笑)
私は今のところ全巻購入済みです。それだけハマってしまったということです^^;
とまあたくさん語ってしまいましたが、本当にいい作品でした。
久々にこれだけハマれるアニメを見られてとても嬉しかったです。
スタッフの皆様、キャストの皆様、本当にお疲れ様でした。
続編、期待してます。