音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

シュデンゲン室内管弦楽団 第二回演奏会

今自宅に帰ってきてこうしてパソコンの前に向かいながら、

今日の演奏会の仔細を反芻しています。


サガフロンティア2というゲームは私の中でも特殊な位置づけにあります。

ゼルダ愛好家でもありワイルドアームズの虜でもあり、

ドラクエファイナルファンタジーの弟子でもある。

そんな私の中でサガフロンティア2というゲームは「教師」でした。

一言で言うとそういうことになります。

難解な設定、説明の無いイベント、唐突に終わるシナリオ。

これだけ書くととても良質なゲームでは無い、と思う方もいるかも知れません。

しかし、このゲームはとても面白いんです。

難解な設定は、濃い世界観の表れでもありますし、

説明の無いイベントは、思い入れを抑えた傍観者視点での物語の表れでもありますし、

唐突に終わるシナリオは、感情に引きずられることのない歴史家としての表れでもあります。

つまり、「分かる人にはとてもよくわかる良質なゲーム」なのです。

ですからこのゲームは残念ながら人を選びます。

私はこのゲームを愛しています。大好きです。

そしてこのゲームはとても難易度が高いのです。

しかしその難易度を克服した先には快楽が待っているんです。


そう、このゲームは私にとって快楽を教えてくれた「教師」なのです。


また、「2」と銘打たれているとおり、このゲームは続編です。

前作「サガフロンティア」とはかなり毛色の違う作品でもあることから、

前作のファンからはかなり酷評を受けたとも聞いています。


しかし、何度も言いますが、このゲームは面白いんです。


そしてこのゲームは音楽も素晴らしいんです。

音楽を担当されたのは当時スクウェアに所属されていた浜渦正志さん。

私が「チョコボの不思議なダンジョン」というゲームで名前を知った作曲家さんです。

荒ぶるピアノや独特の和声を使った音楽を作られます。私も大好きな人です。

そんな浜渦さんがこの「サガフロンティア2(以下、サガフロ2)」で大胆な選択をすることになります。

それは、音楽のモチーフを絞って曲を作成する、というものでした。


モチーフというのは「メロディ」と置き換えても良いのですが、

3つのモチーフを用いて和声やリズムなどのアレンジを変化させることで、

このゲームの楽曲に統一感を出そうとしました。

そして、それはものの見事に成功している、と思います(←主観です)。

それ故にファンの間で、このサガフロ2の音楽こそが浜渦さんの代表作、と言われています。


そんなサガフロ2の音楽を堪能できる演奏会が催されました。

それが「シュデンゲン室内管弦楽団第二回演奏会」です。



※前置きが長いのは仕様です(笑)




「シュデンゲン室内管弦楽団第二回演奏会」

2014年4月12日(土)

小松川さくらホール

開場 13:30

開演 14:00


(曲目)

1.Vorspiel

2.Außenwelt

3.テーマの断片による序奏~Majestät~間奏~Thema~Weihalter

4.Heimatlose~Thema~Variation

5.Roman~Einsamkeit~Feltschlacht III~Andacht~Trübsal

6.Vorspielの変奏、Romanの変奏の引用による冒頭部~少女の象徴としての変奏~Frage~Wunderding~Tiefe

7.Botschaft或いはRosenkranz~Weltall

8.Zauberreich~Rhapsody on a Theme of SaGa FRONTIER 2より第一楽章~Erkönig~Feldschlacht I~Verborgenheit

9.Reminiszenz~Erfolg~Zusammentreffen~Unmacht~Rückerinnerung


<休憩>


10.Nationaltanz~Naturvolk~Zauberkraft~Dithyrambus~Freiluftmusik~Feltschlacht IV

11.Hauptmann~Andächtelei~Trotzkopf~Besessenheit~Interludium

12.Arrangeur~間奏~Ovation

13.Schlachtenlenker~Manifest~Todfeind~Nachtigall~Mißgestalt~Todesengel

14.Postludium



しかし、こうして曲名を見てもよくわかりませんね(笑)

すべてドイツ語で記載されています。これが仕様です。


さて、どこから書こうかしら・・・



公演日当日。土曜日。普段であれば仕事の日なのですが、

今日お休みをいただくために6日分の仕事を5日でこなすという暴挙に出て、

案の定疲労しまくりの5日間を終えて前日は倒れるように就寝。

そして、朝起床して二度寝


最寄り駅は都営新宿線東大島駅だったのですが、

私は総武線沿線に住んでいるので、平井駅で下車。そこから20分ほど歩いて、

会場である小松川さくらホールに・・・・着かない(笑)

あれ?確かこの辺だったはずなのに、ホールが見当たらないではないか。

とりあえず京葉道路まで引き返し地図を確認。

ふむ、もう1ブロック西側であったか。てへ。

ともあれ、開場時間ぎりぎりになって無事に会場に到着。


そして、チケットをお譲りしたフォロワーさんと待ち合わせるため、

4Fの会場入り口まで移動。無事に合流を果たしました。



会場に到着し座席につこうとすると、隣に・・・!?

あ、あのときの!?ゼルダオフ会の時の!?

というわけで奇跡が起こりました。

なんと、隣にゼルダオフ会で出会ったフォロワーさんがいたんです。

これは本当にびっくりしました。挨拶もして開演待機。


シュデンゲン室内管弦楽団の代表でもある大澤さんが舞台に登場。

いろいろな注意などがここで観客に申し渡されます。

そんな大仰なものでもないですが・・・


私がこのシュデンゲン室内管弦楽団の音色を聴くのはこれが二度目です。

Melodies of Crystalという企画で催された2年前の練馬での演奏会。

確かあのときは、FF3、勇なま、そしてFF9の楽曲が演奏されたと記憶しています。

その後にMelodies of Crystalでのもう一つの演奏団体「オニオン弦楽合奏団」による、

ゼノギアスの楽曲演奏会があったのですが、こちらは諸般の事情で参加できず。

こうして二度目の演奏会をようやく鑑賞することが出来ました。


弦楽が13人。

木管楽器金管楽器や打楽器、ピアノなどを合わせても総勢で21人(譜めくりを入れると22人)。

なるほど、室内管弦楽団というのはこういうことなのですね。

この人数であのサガフロ2の天衣無縫とも言える楽曲を演奏するわけですから、

演奏者の皆さんやアレンジをされた大澤さんのプレッシャーは如何ばかりだったのでしょう。


そして演奏が始まりました。


ここから各曲の解説をしようとも思ったのですが、

いろいろと思い入れが強すぎて収拾がつかなくなりそうなので、

全体の演奏から思った感想を書いていきたいと思います。


個人的に驚いたのは低弦とパーカッション、そしてピアノです。

サガフロ2の音楽、というよりも浜渦さんの楽曲の特徴でもあるのですが、

「歌うようなベース」と「荒ぶるピアノ」というのがあります。

なので必然的に低弦(特に弦バス)、ピアノの負担は大きくなるだろう、と思ってました。

そしてその思いは見事に具現化されていました(笑)

チェロも相当大変そうではありましたが、弦バスのそれと比べると・・・

いや、バイオリンやビオラ、その他木管金管の皆さんも相当な苦労だったと思います。

また、ピアノも大変そうでした。

パッセージの難しさ、和声の絶妙さなどなど難しいところばっかりという印象で、

ああ、これは大変そうだなぁ、と思ってました。


で、ここで登場するのがパーカッションです。

マリンバだけならともかく、その他打楽器を一人でこなされていました。

大変だなぁ、もう一人入れた方が良いんじゃないの?

とも思いもしましたが、ま、人数が少ないからこそこういう編成になったのでしょうね。

本当にご苦労様でした。こちらからみてて私はあなたのファンになりました。



楽曲の編成がこれまたお見事でした。

ギュスターヴ編、ウィル編という二つの大きなシナリオがサガフロ2にはあるのですが、

その順番を忠実すぎるくらいに再現されていました。

泣く泣くカットされたところもありましたが、おおむね順番通り。

ウィル編がかなり削除されてた印象ですが、どうなんでしょうね。

私はとても満足です。曲を聴く度に想い出が蘇ってきて号泣しまくりでした。

途中、ピアノが!ってなったり、少しばたばたしたところもありましたけれども、

そんなことは些末なことです。演奏のクオリティも高く、指揮もダイナミックでした。

Ovationという曲の時の大澤さんの指揮がかわいらしくて萌えました(笑)


最初の戦闘曲として演奏されたFeldschlacht IIIは熱くなりましたね。

さらっと戦闘曲に入るあのタイミングといい、あのカホンの素晴らしさといい、

そもそものアレンジが良かったので興奮しました。泣きました。

あと、Erkönig~Feldschlacht I~Verborgenheitの流れは神がかってましたね。

あの戦闘曲の入り方は本当に素晴らしくてここでも号泣。


そして、忘れてはならないのが「アンリミテッド:サガ」の楽曲。

さらっと入ってて気づきにくかったのですが、

アレンジで少しアンサガの楽曲が入ってましたよね。天翔る翼とか。

同じ浜渦さんの楽曲であり、河津さんの作品ということで入れられたのでしょうか。

「あの曲」の時にさらっと入ってたので何となく意図はわかったような、いや、わからないような・・・


後半のラスボス戦(エッグ戦)ももちろん興奮しまくりだったんですが、

Feldschlacht IVの入り方、Ovationのアレンジ、

そして、Nachtigallからのラスボス戦の入りがとっても良かったです!

エンディングがさらっとしている分、この後半の3曲がかなり活かされているように思いました。


そして、アンコール。

やはり、というか、これが抜けていたのはアンコールで演奏するためだったのか、

と一人合点がいきました(笑)


アンコールは「Präludium」でした。

エンディングの後にオープニングの曲でしめるところがとても「らしい」です。


そして演奏会は無事に終了。泣きまくってタオルが湿り気を帯びるほどでした(笑)

本当に素晴らしい演奏会でした。


全体の感想をもう少し書くとすると、

もしかしてアレンジの時にかなりライヒを意識したのかな、と。

意識して書いたのか、意識しないようにして逆に意識しすぎたのか、

それは定かではありませんが、時折ライヒの影がちらついたように感じました。

(「ライヒ」=ミニマルミュージックの大御所であるスティーブ・ライヒ

ま、浜渦さんのサガフロ2自体がモチーフを極限に減らして作られた楽曲なので、

そう感じただけ、なのかもしれません。


演奏技術とかピッチなどいろいろと問題点はあったかもしれませんが、

サガフロ2愛に満ちた演者の皆さんのおかげでそんなことも忘れてしまうほどに、

堪能し感動し、そして満足のいく演奏会でした。再演して欲しいくらいです!


演奏者の皆様、スタッフの皆様、そして何より編曲・指揮をされた大澤さん。

本当にお疲れ様でした。幸せな時間をありがとうございました。


















というわけでここまでが演奏会のお話。


その後有志4人とともにサガフロ2プチ後夜祭を開催し、

4時間ほどしゃべりまくって帰ってきてへとへとになりながら、

自宅に帰り、パソコンの前でこうしてせっせとブログを書きましたとさ。

めでたしめでたし。


後夜祭もまたやりたい!!!