音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

えんぴつ好き

以前にもブログで書いたと思いますけど、

未だにパソコンでの譜面作成に手間取るタイプのアナログ人間です。

今でも、五線紙を購入し手書きで譜面を書いています。

打ち込みの音楽もやってはいるのですが、

それでも最初は手書きでリズムから書いていく人です。

 

「慣れだよ」という人が周りに多くて、

熱心に楽譜作成ソフトをすすめられて使ってみたりもしたんですけど、

なんというか、むず痒い感覚になるんですよね。

確かにそのほうが早いと思いますし、便利なのでしょうけど、

もともと「頭の中でこねくり回して音を完成させる」タイプの人間なので、

書き出す段階で、すでにアレンジが出来上がっている状態なわけです。

だったら余計にソフトを使えば早くできるのに、と思う人もいるかも知れませんが、

もうこれで何十年もやってるので、きっと向いてないんでしょうね(笑)

 

で、手書きでやるときに必要なのがシャープペンシルではなく鉛筆なんです。

鉛筆って使っていくとどんどん線が太くなるので、

常時、ちゃんと削っている鉛筆を4~5本ほど用意しておきます。

フルオーケストラのような楽器の多い譜面を作る場合はもっと用意します。

というか随時削りながら書くんですけどね(笑)

 

シャープペンシル(シャーペン)も使ってみたんですけど、

太さの変わらない感じがなんとも違和感がありまくりで、

あと筆圧が少し強いせいなのか、芯が折れまくりなので、結局鉛筆に戻ります。

 

特にお気に入りのメーカーとかはないんですよね。

UNIだったりトンボだったり、いろいろなのを使ってますが、

太さに関してはBもしくは2Bあたりを主に使うことが多いです。

一時、固めの芯も使ってたんですが、書き味に違和感を感じてしまい・・・

 

鉛筆好きではありますけど、別の仕事ではシャーペンばかりです(笑)

自分自身、それほどこだわりはない人間だと思ってはいましたけど、

こと音楽に関しては結構こだわりが強いところもあるんだな、と今わかりました。

 

現代音楽を聞く その95

少しご無沙汰でした。

公私ともに、というか「公」がかなり忙しい状況でして、

嬉しい悲鳴といえば聞こえはいいんでしょうけど、

経済的にはまだ喘ぎまくっている状態なのが如何ともし難いところでして・・・

あまり期間にとらわれずにマイペースで更新できればなと思ってます。

 

と、言い訳をしたところで(笑)、今日の本題です。

 

 

イタリア生まれで、渡米して活躍した作曲家、ジャン=カルロ・メノッティ。

メノッティといえばオペラなんですけど、器楽曲などでも秀作を数多く残しています。

といっても、そんなに聴き込んではいないんですけどね。

アメリカ音楽やフランス音楽などに傾倒していた時間が長かった割に、

メノッティの曲はあまり通ってきませんでした。

バロック時代から歌劇やオペラ、あるいは楽劇といったものまで、

分析をするために数多く聴き込んではいたんですけど、

メノッティのオペラは有名所をサラリと聞いた程度で済ませてたんです。

「Amahl and the Night Visitors(アマールと夜の訪問者)」が最も有名ですけど、

これと数作品程度しか学生当時は聞いていませんでした。

これではいかんと、留学後に手当り次第聞きまくり、分析をしてたんです。

 

そんな中で出会ったのが、1952年に発表された「ヴァイオリン協奏曲」でした。

 

 

オペラが得意なだけあって、協奏曲との相性も良かったようです。

このヴァイオリン協奏曲も歌を意識させます。

特に、2楽章のAdagioは古今のヴァイオリン協奏曲の緩徐楽章に引けを取らない、

まさにソプラニスタの歌唱を聴いているかのような心地よさがあります。

 

結構久しぶりに聞いてますけど、今聞いてもやはり良いですね。

オペラも良いですけど、こちらもぜひとも。

(サブスクでも聞けます

あなたを・もっと・知りたくて

作曲家の筒美京平さんが80歳で亡くなったというニュースは、

私にとってはかなりの衝撃だったんです。

 

今やドラクエの作曲家としてその名を知られていますが、

その昔はテレビの劇伴や歌謡曲の作曲も行っていた、

作曲家のすぎやまこういちさんの弟子という位置づけを取る方もいらっしゃいますが、

個人的にはそういうのはどうでもよくて(笑)、

筒美さんのあまたの楽曲をただただ垂れ流していたい、とその時は思ってました。

 

で、ふと頭に浮かんできたのが、いまから35年前、

1985年にリリースされた、薬師丸ひろ子さんの楽曲でした。

その曲、「あなたを・もっと・知りたくて」は、

作詞・松本隆、作曲・筒美京平、編曲・武部聡志、という豪華な布陣で作られてます。

武部さんも今や編曲界の重鎮的位置づけではありますが、

当時はまだ若手と呼ばれている頃なので、豪華というのは少し違うかもしれません。

 

この曲、当時CMソングで話題になりました。

電電公社が民営化されてNTTとなった頃にキャンペーンソングになってたんです。

筒美さんらしいコード進行が特徴的です。

 

 

ちょっとここから専門的なお話になります。すいません。

(解説は少し入れますけど、難しいって人はここからは飛ばしてください)

 

(Aメロ)

F           | A7         | Dm  F+/C# | Gm7        |

F           | A7         | Dm  F+/C# | Gm7        |

 

(セリフ部)

Dm  A7/C# | Dm7  A7/C#

 

(Bメロ)

Dm  A7/C# | Dm/C  G7/B | B♭add9  Gm7 | Gm7/C  C+5 |

 

(サビ)

F           | Am7/E       | Cm6/E♭    | D7         |

Gm       | B♭m6       | F/C  Dm/C  Am/C  F6/C | B♭m    |

C7   | F                |

 

 

原曲聞きながらコードとってたんですが、違ってたらすいません・・・

多分合ってると思いますけど。

 

この曲はヘ長調ですね。F(ファ)の音を基準とする楽曲です。

個人的に「ああ、筒美さんっぽい」と思うのはサビのコード進行です。

基準となるFから始まって、Am7/Eにいきます。

Am7(ラドミソ)の和音で、ベースはE(ミ)の音ということですね。

スラッシュのついたコードは「分数コード」とも呼ばれていて、

本来のルート(根音)とは違う音を付けたいときに使われるものです。

 

で、Am7/EからCm6/E♭に行きます。

このCm6というコード、Cマイナーシックスと言うんですけど、

この和音が筒美さんぽいって思うんです。

説明すると長くなるので詳細は書きませんけど、ぽいんです(笑)

マイナーシックスと呼ばれるコードを、

順番にベースとなるルート音が下がっていくときに使用する。

この場合でいうとF→E→E♭→Dというふうにルートが半音ずつ下がっています。

そのE♭部にCm6というマイナーシックスコードを当てています。

たぶんこれはアレンジする前から筒美さんが提示している和音だと思うんですが、

そこをほとんどいじらないでアレンジを施しています。

 

「らしい」という言葉で説明を回避してしまって申し訳ないんですけど、

ともかく、「らしい」んです!!(ゴリ押し)

 

 

なんにせよ、今日は80年代の歌謡曲を聞きたい気分だってことです。

こんな理論なんて知らなくても、いい曲はいいんです。

 

と、ごまかしたところで、今日はそろそろ寝ます・・・

ブラスぷらす Op.30

長生淳さんの曲といえば、

以前に「四季連祷」の中の1曲を紹介したんですけど、

私が持ってる貧弱な吹奏楽のラインナップの中で、

たまたま今日、とある打ち合わせからの帰り道に流れてきた曲がありました。

 

久堅の幹」(ひさかたのみき)と題されたその曲は、16分ほどの大曲です。

そして、それだけ長いにもかかわらず超絶に難しい曲としても知られています。

知られています、って安易に書いちゃいましたけど(笑)

 

www.fostermusic.jp

 

緩やかに始まるこの曲は、次第にその幅が大きくなっていき、

やがて太い幹となっていく、そんな印象を抱かせる素晴らしい曲です。

生演奏を聞いたことがないので、録音による音源しか聞いてませんけど、

それでもこの曲の持つ力を十二分に感じることができます。

 

本音を言うと、ちゃんと生で演奏を聞いてみたいですけどね。

奏者がどういう表情で演奏しているのか、ものすごく気になります。

 

Incidental Music Vol.88

今年の文化功労者が発表されました。

個人的には三枝成彰さんの受賞が嬉しかったですね。

ZガンダムガンダムZZ、あるいは逆襲のシャアなどの、

初期のガンダムのBGMといえば三枝さんでしたからね。

今でもサントラは聞いてますし、やっぱり興奮しますね。

 

すぎやまこういちさんのお話をしないのは、あえてです(笑)

(三枝さんもすぎやまさんも、本当におめでとうございます)

 

なんでしょうね、このブログの最近の傾向として、

意図的にサブカル関連のネタは控えめにしてます。

なので、余談はこのくらいにして本題へ。

 

まあ、今回は久々にあまり書かないネタになるんですけど(笑)

 

 

スパイダーマン、というと大人気のハリウッド映画を想像する人も多いと思います。

私もそうです。シリーズはほとんど見ています。

初期の三部作の監督をしたのが、ホラー映画の巨匠であるサム・ライミ

というのはちょいと驚きましたけど、映画はとても楽しめました。

何故か三部作のあと監督やめちゃいましたけど・・・

昨年劇場公開された「ファーフロムホーム」もとても楽しめました。

 

で、スパイダーマンの音楽のお話をするわけですけど、

残念ながら、ダニー・エルフマンジェームズ・ホーナーのお話ではありません。

(彼らはハリウッド版の音楽を手掛けた作曲家です)

 

1978年に放送が開始された、特撮ドラマ「スパイダーマン」は、

正真正銘日本で作られた特撮ドラマです。

これ、知らない人が圧倒的に多いと思いますけど、私もラジオ番組で知った口です。

といっても勝手に作られたドラマというわけではなくて、

ちゃんと権利的にクリアされた状態で放送されたドラマなんだそうです。

 

音楽を担当されたのは、渡辺宙明さん。

東映特撮ものの音楽といえば宙明さんですよね。

メタルヒーローもの(ギャバンシャリバンなど)から、

スーパー戦隊シリーズ(ゴレンジャー、サンバルカンなど)とか、

私が子供の頃、目をキラキラさせて見ていた特撮ものの音楽は、

ほとんどが宙明さんの手によるものだったと思います。

 

余談ですが、宙明さんの主題歌で強烈に覚えているのは「鋼鉄ジーグ」です。

リアルタイムではこれっぽっちも見てないんですけど。

 

で、スパイダーマンの話でしたね。

 

東映版「スパイダーマン」ですが、私は見てません。

再放送もされていなかったみたいですけど、

なぜか主題歌だけは頭の片隅で覚えていました。

ラジオ番組のせいかもしれませんが(笑)

 

その主題歌「駆けろ!スパイダーマン」は、宙明節全開のヒーローソングです。

今聞いてもかっこいいです。ぜひ聞いてください。

聞く手段は問いません(笑)

Toshinori Kondo / 空中浮遊【ジャズのススメ 138】

ジャズトランぺッターとしてよく知られる近藤等則さんが亡くなりました。

実は一度も生で演奏を聞くことがなかったんですけど、

いつか見られるだろうと高をくくっていたらこの始末です。

やはり、どんなときでも行けるときには行っとくべきですね。

 

さて、近藤さんのアルバムもいろいろと聞いているわけですが、

「記憶」「死は永遠の友達」「風狂」「神戸」など、

いろいろと語りたいアルバムはあるんです。

今回は、最初に聞いた彼のアルバムである「空中浮遊」にしましょうかね。

 

 

これは自ら手にとって聞いたものではなくて、

私が高校生の頃に、同級生からすすめられたアルバムでした。

古いジャズへの傾倒が著しかったこの頃に、

こういうフリーなアルバムを聞くのはちょっと抵抗がありました。

なので、高校時代に一度だけ聞いて封印してたんですよ。

 

で、ようやく私の中で時代が追いついて(笑)、

今から20年くらい前になってようやく封印を解いたんですね。

この演奏はぜひ生で聞いてみたかったなぁ、と本気で思いました。

変拍子好きなので「七拍子」はかなりツボでしたし、

レゲエ調の「瀬戸内Blue」も癖になるリズムでお気に入りです。

 

もう少し早く彼の音楽に気づいていたらな、と未だに後悔しています。

まだまだ彼のアルバムは聞いていないものもたくさんあるので、

追悼も兼ねて、秋の夜長にじっくり聞いてみたいと思います。

久しぶりの演奏会(読響マチネ)

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読響のマチネを聞いてきました。

 

マチネ、というのは昼公演のことですね。フランス語です。

もともとは「午前中」を意味する言葉なんですけど、

こうした界隈では普通にお昼の公演の意味で使われています。

ちなみに、夜公演はソワレといいます。

 

まあ、私もめったに使わないんですけど(笑)

 

 

もともと、指揮の小林研一郎さん(コバケンさん)のことが好きで、

よく公演を見に行ってたんですよ。

で、ようやく規制緩和されたということもあって、

どの公演に行こうかいろいろと考えていたら、

ソリスト河村尚子さんが出られることを知り、即決しました。

 

河村尚子さんのことは以前にも書いたと思いますが、

日本の女性ピアニストの中でもとても好きな演奏家のお一人です。

音色が個性的でとても煌びやかで、良いんですよ。

(あくまで個人の感想です)

映画「蜜蜂と遠雷」で栄伝亜夜のピアノ演奏も担当されていました。

 

そんな二人の演奏会、行かないわけにはいきませんでした。

 

 

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

ラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲

 

ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調「英雄」

 

 

 

 

本日2020年10月24日(土)の読響のマチネの感想をこれから書きます。

ただ、この公演は同じものが明日もあります。

アンコールの曲目とかその他もろもろネタバレとなる可能性もありますので、

明日演奏会に行かれる方はここから先は読まないことを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演奏が終わった後で、小林さんがマスク越しに、

マイクを持たず、客席へ言葉を投げかけてくれました。

その中で、ソリストの河村さんを「個性的」と評していました。

私もそう思います。個性的で魅力ある演奏でした。

 

今回私は一番前の席にしたんです。中央左寄りです。

真正面にソリストが見える位置でした。

もともと好きなピアニストの一人ではあったんですが、

今日の演奏、そして演奏後の笑顔を見てますます好きになりました。

 

河村さんのアンコールはリムスキー・コルサコフの「くまんばちの飛行」。

もともとオーケストラ曲ですが、ラフマニノフがピアノ独奏に編曲しています。

正味1分ほどの曲なんですが、私は全く弾けません(笑)

 

後半の「英雄」は何も言うことはありません。

ベートーヴェン生誕250年の年に、

ようやく、本当にようやく、生でベートーヴェン聞けただけで幸せでした。

 

オーケストラのアンコールは、

コバケンさんの公演ではよく演奏される「ダニーボーイ」です。

もともとはアイルランド民謡ですが、

弦楽アンサンブルにアレンジされたその曲は、本当に胸にしみました。

 

 

そんなダニーボーイを聞きながら、思ったんです。

こういう演奏会が普通に行われていた時のことを。

 

 

今もエンタメ界はあえいでいます。もがいています。

私もその世界の片隅にいる身として、やはりいろいろとあえぎ、もがいています。

ようやく本格的にクラシックの演奏会が催され始め、

一部反対の声もあるものの、ようやくスタートラインに立てた心地がします。

だからこそ、今回の演奏会も奇跡なのだ、と感じました。

そんな奇跡を起こすのにどのくらいの努力と犠牲があったのか、

観客である我々には想像することもできません。

それでも、音楽は演奏されなければならないものなのだと思いました。

まだまだあえぎもがく時期は続くのかもしれませんが、

演奏会がこれから少しでも増えていきますように・・・

 

 

'Tis I'll be here in sunshine or in shadow
O Danny boy, O Danny boy, I love you so.

ずっとここにいよう

陽が差し 影が落ちようと

いとしいダニー ずっと愛しています