音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

Julius Watkins / Mood in Scarlet【ジャズのススメ 122】

ホルン、と聞くとあのカタツムリみたいな形を思いうかべる方も多いでしょう。

 

私の兄が吹奏楽部に入っていた頃にやってたので、

学校で支給されたホルンを自宅に持ち帰って練習していました。

なので、ほかの金管楽器と比べると接した回数は多いと思います。

まあ、演奏できたわけではないんですけど(笑)

 

ジャズでホルン、というとなかなか凡例がありません。

今回紹介するジュリアス・ワトキンスは、アメリカのジャズホルン奏者です。

私はこの人以外にジャズホルン奏者をほとんど知りません。

(以前紹介したローランド・カークはホルンも吹いてましたけどね)

 


Charlie Rouse & Julius Watkins - Autumn Leaves

 

Autumn Leaves(枯葉)はメジャーなナンバーです。

数多くの人がこの曲を演奏しています。

今回は、テナーサックスのチャーリー・ラウズとの共演ですね。

ジュリアスのアルバム「Mood in Scarlet」に収録されています。

サクソフォンとホルンの相性がいいというのは、

このアルバムで知ったような気がします。

 

たぶん(笑)

 

Mood in Scarlet

Mood in Scarlet

 

 

ブラスぷらす Op.13

アメリカの作曲家、サミュエル・ロバート・ヘイゾ。

吹奏楽で活躍する音楽家なんですけど、

この名前を知ったのは本当にここ10年ほどのことです。

前にも言いましたけど、本当に吹奏楽には疎いんです・・・

 

いろいろ彼の曲は好きなんですけど、

「Exultate(エクサルターテ)」はよく聞いています。

 

※このCDはサブスクリプションでも聞くことができます。

 

変拍子大好物ということが、これでお分かりいただけると思います(笑)

難度は比較的高い印象ですが、めっちゃかっこいいです。

Exultateはラテン語で「躍る、跳躍する」を意味する言葉です。

その言葉通り、とてもリズミカルな小曲です。

この曲聴くと、元気が出てきます。

 

あと「Fantasy on a Japanese Folk Song」(日本民謡による幻想曲)が有名ですね。

音楽の教科書にも載っている「砂山」のメロディがベースです。

この曲は、北原白秋が作詞、中山晋平が作曲したものがよく知られていますが、

この幻想曲もこの中山晋平版の「砂山」がベースになっています。

他にも山田耕筰などが同じ歌詞に曲を書いています。

 

2014 Midwest Clinic: Saitama Sakae Wind Orchestra (Live)

2014 Midwest Clinic: Saitama Sakae Wind Orchestra (Live)

  • 発売日: 2015/07/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

映画「蜜蜂と遠雷」の感想(ネタバレあり)

さっき観てきました、「蜜蜂と遠雷」。

原作も単行本と文庫本で二回読みましたし、

キャストもなかなか面白そうで楽しみにしていました。

本当は公開初日に行きたかったんですけど、

仕事の関係でどうしても公開当日は無理だったので、

翌日、つまり今日の仕事帰りに品川の映画館で見てきました。

お客さんの入りはたぶん1割もいなかったと思います。

公開翌日でこの客数というのは少し不安ではありましたが、

夜遅い時間帯だったせいだと納得して、いざ館内へ。

 

 

恩田陸さん原作の「蜜蜂と遠雷」。

この作品で恩田さんは直木賞を射止めました。

単行本でおよそ700ページ弱、文庫本は上下巻で発売されました。

つまりはかなり長い作品です。

3年ごとに開催される、芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に、

4人のコンテスタント(コンクール挑戦者)にスポットを当てて、

一次予選から本選(決勝戦)までを丹念に描いた作品です。

それぞれのコンテスタントの裏面の事情であったり、

コンテスタント同士の関わり合いだったり、

コンクールの審査員の思惑だったり、いろいろな思いが錯綜し、

それでもコンクールは進んでいきます。

果たして誰がコンクールで一位を獲るのか、

という結果もそうですけど、

それぞれの人間の成長もうかがうことができるとてもいい作品です。

 

ぜひ原作を読んでください。

個人差があるので「絶対損はさせません」とは言えないのですが、

読んでいてクラシック音楽が頭の中で鳴り響くことうけあいです。

(まあ、これも個人差ありますけど・・・(笑)

 

 

 

というわけで、ここからネタバレありになります。

映画をまだ見ていない方、

原作を読んでいない方はここから先はご遠慮ください。

種明かしや結末を見てから小説を読む人も中にはいらっしゃるみたいですけど、

そういう方は全体からみると少数派である、という認識なので、

多数派に属されていると自覚のある人はここから先はご遠慮ください。

どうせ原作も読まないし映画も見ない、という人も、

出来れば見ないでいただけるとありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここからは映画のストーリーメインでお話を進めます。原作との差異も多くあるのですが、そこは目をつぶっていただけると幸いです)

 

 

 

 

映画版は4人のコンテスタントの一人である、

栄伝亜夜(えいでんあや)を主軸としたお話になっています。

20歳の彼女は、7年前にピアノ協奏曲の演奏中に舞台から逃げ出します。

直前での母親の死が大きくかかわってきます。

そのあとずっと表舞台から消えた彼女でしたが、

いろいろな事情を経て、再び表舞台へと戻ってきます。

それがこの芳ヶ江国際ピアノコンクールでした。

 

そのいろいろな事情というのは映画ではほとんど語られませんでした。

母親の死がトラウマとなっているという設定は何となくわかりますが、

意味不明な馬の映像などを見せられて、頭の中は少し混乱してました。

 

近所に住んでいたマー君と偶然コンテスタント同士で出会うわけですが、

それも映画ではかなり唐突でした。

マー君こと、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールですが、

なんでこんな名前なのか一切説明がありません。

設定は日系ペルー人の母とフランス人の父親を持つという感じですが、

主役ではないのでそのあたりはかなりぼかしてました。

少年時代に一時日本に在住しており、そのころに亜夜と出会い、

ピアノの手ほどきを受けていた、というのは出てきました。

 

物語のキーマンである、もう一人のコンテスタント、風間塵くんですが、

映画では新人の役者さんが演じられていました。

とても初々しくて演技も良かった気がします。

亜夜と塵とのピアノ工房での連弾のシーンは好きでした。

ドビュッシーの「月の光」やベートーヴェンの「月光」などを、

2人で即興で演奏するというシーンですが、

月の光を浴びながら連弾するというのはなかなかに幻想的です。

 

4人目のコンテスタント、高島明石は30歳を目前にして、

コンクール出場資格ギリギリの年齢で出場、

家族を抱えながらも、最後の機会ということで出場を決意します。

松坂桃李さんが演じられたんですが、この明石がとてもよかったです。

友人の記者をブルゾンちえみさんが演じられてたのは驚きましたが、

気さくに明石に話しかけるところや心配している様子など、

とてもよい演技をされていたように思います。

 

 

2時間という映画枠にこの長大な物語を詰め込むためには、

4人いる主人公から一人を抜粋し、スポットを当てるしかなかったのはわかります。

原作通りに映像化すると、どう考えても2時間では足りません。

なので、栄伝亜夜を主役にして物語を構築したのは納得です。

「映画は映画、原作とは違うもの」と納得してみれば悪くはないんです。

意味不明な映像が最初と最後のほうで出てきますが、それも目をつむります。

 

ただ、コンクール第3次予選を丸々カットしたのはいただけません。

カットしたぶん本選に出場した、マサル、塵、亜夜の演奏シーンがたっぷりとれて、

プロコフィエフバルトークの協奏曲を堪能できたのは嬉しかったですけど(笑)

 

あ、そうそう、原作では、

マサルプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を、

亜夜は、同じくプロコフィエフピアノ協奏曲第2番を演奏するんですが、

映画版ではそれがそっくり逆になっていました。

マサルが第2番、亜夜が第3番を演奏することになるわけです。

亜夜が主役で、最後に演奏することになるので、

少し地味な印象もある第2番より、

少し華やかな印象の第3番にした理由もわかりますが、

個人的には亜夜の演奏する第2番を聞いてみたかった気もします。

 

栄伝亜夜のピアノ演奏を担当されたのは河村尚子さん。

海外を拠点に活躍されているピアニストのおひとりで、私も大好きなんです。

なので、ピアノ演奏は本当に素晴らしかったと思います。

 

第2次予選で演奏された「春と修羅」。

コンクールのために菱沼忠明が作曲したという設定のものですが、

この映画のために、現代音楽作曲家の藤倉大さんが作られたんです。

これがまあすごくよかった。好みです。

そしてカデンツァ(即興演奏、自由演奏部分)もすべて藤倉さんが作曲されたみたいですが、こちらもとてもよかったです。

第3次予選を丸々カットしたおかげで、

この「春と修羅」は4人分の演奏を堪能することができたのは嬉しかったです。

カットは納得できなかったですけど・・・

 

あと、コンクールのステージマネージャー田久保さんがよかった。

原作でもかなり美味しい役どころではありましたが、

映画でもとても良い印象です。原作ほど活躍はされませんでしたけど(笑)

 

 

 

映画は映画。わかります。

全てを詰め込もうとしてダイジェスト風になってしまうよりは、

こういう作り方のほうが良いというのも理解はしています。

なので、及第点ギリギリでありますが「良かった」としておきます。

 

クラシック音楽をあまり知らない人でも、

最後の30分ほどは本選を堪能できるくらいの時間があるので、

これを機にプロコフィエフ聞いてみようかしら、と思うかもしれません。

思わないかもしれませんけど(笑)

 

たくさん演奏が聞けるので、あっという間に終わった感じがしました。

そういう意味では成功なのかもしれませんね。

現代音楽を聞く その79

ドイツの現代音楽作曲家、シュテファン・ヴォルペ。

彼の名前を知ったのは、例の如く音楽学校にいた頃です。

 

あの頃はずーっと現代音楽を聞いていた感じですね。

三か月とか四か月とか、ほかの音楽にかまけることなく、

その世界に耽溺していた時期です。

ノイローゼ気味だった、とは私の友人の言葉ですけど(笑)

 

最初に聞いたのは「3声のトッカータ」というピアノ曲でした。

 


Stefan Wolpe, Toccata (1941)

 

やや技巧的でかたい印象を最初受けますけど、

ところどころに遊びの音色もあり、音楽として完成されている感もあります。

 

ジャズ色の強い音楽も彼の特徴で、

彼の作品「無言歌」はその影響が色濃く出たものの一つです。

 


Songs Without Words: I. Vocalise

 

Incidental Music Vol.71

イギリス映画「フル・モンティ」は好きな映画の一つです。

ただ、私の周りでは評価は賛否両論みたいです。

映画にしろ演劇にしろ、

エンタテインメントというものには賛否がつきまとうものですけどね。

のちにミュージカル化もされているようですけど見たことないです(笑)

 

この映画の音楽を担当したのはアン・ダッドリーという女性です。

この作曲家のことは以前ブログで書いたような気もするんですけど、

憶えてないので、やってない態で書きます。

他にも数多くの映画やテレビドラマの音楽も手掛けていますが、

自身もピアニストであり、テクノバンドのメンバーだったこともあるみたいです。

その辺の話は長くなるので割愛します。

 

フル・モンティのサントラもとても好きなんです。

「The Lunchbox Has Landed」という曲も好きなんですけど、

メインテーマでもある「The Full Monty」もお勧めです。

 


The Lunchbox Has Landed - Anne Dudley

Woody Shaw / United【ジャズのススメ 121】

こういうアルバムは自分ではなかなか見つけられないんです。

数多くジャズは聞いてますけど、それでもフォローできない人もいます。

だから、こういう時にジャズ好きの友人知人がいると助かるんです。

 

ウディ・ショウのことはもちろん知ってます。

アメリカのトランぺッターとして80年代まで活躍した名奏者です。

いろいろとアルバムは聞いていたんですけど、

なぜかこの「United」はスルーしていました。

 

United

United

 

 

ウディの演奏もそうなんですけど、

マルグリュー・ミラーのピアノが何だか力強く心地よいんです。

友人におススメされた聞いたアルバムの中で、

表題作「United」ももちろん良いんですが、

「What Is This Thing Called Love」が聞きごたえのあるアレンジになってます。

 


Woody Shaw - What Is This Thing Called Love

ブラスぷらす Op.12

吹奏楽の編曲依頼というのはたまに頂くんですが、

普通の吹奏楽の曲を小編成のものへ編曲するというのがたまにあるんですよ。

どうしても大人数で演奏する印象のある吹奏楽ですが、

団員あるいは部員の少ないところなどは、

楽器を掛け持ちしたり、あるいは独自に編曲を施したりして、

公演するのに耐えうるものを作り出そうと試みます。

 

作曲家が作り上げたものを、自分たちの都合で切り貼りするというのはどうなんだろう、とは私も思うところではあるんですが、この話を始めるとたぶん相当長くなると思いますので、ここでは多くは語りません。

ただ、あんまり気持ちの良いことではないとは思いますけどね。

 

で、小編成、まあ20人程度で演奏するものをやることが多いんですが、

そんな編曲をする際に、以前友人から見せてもらった楽譜の一つが、

清水大輔さんの「永遠(とわ)なる恵み」という楽曲でした。

小編成のために書かれた楽曲ですね。

 


【小編成】永遠(とわ)なる恵み/清水大輔 The Eternal Sounds  Daisuke Shimizu

 

こういう曲を紹介する時に思うんですけど、

私は「変拍子」が大好きなんだなと・・・(笑)

私自身もよく変拍子をアレンジに取り入れることが多いので、

やっぱりひかれあうものがあるんでしょうね、きっと。

 

小編成ゆえに他の吹奏楽曲よりも個々の負担が大きい楽曲ですが、

映画音楽的な印象もあるので、演奏してて気持ちよいはずです。