以前、こういう記事を書きました。
もう一年以上前のことになります。
時のたつのは本当に早いものです。
で、この過去記事で「機会があればまた書きます」なんて書いておいて、
ずっと放置していたことを今さらながら思い出しました(笑)
こうした音楽記事を書くと、どうしても専門的な用語が頻発してしまいます。
「わかる人にはわかる」ってのも良いとは思うんですけど、
転調の良さを伝える術としてコードネームを使ったり、
スケールやらなんやら、普通に音楽を楽しむのに余計な言葉を尽くすことは、
私自身が望まないことでもあるんです。
だから、このブログでは出来るだけそうした言葉は使わないように心がけてます。
まあ、油断しているとたまに出ちゃうんですけど(笑)
My Little LoverのCDは良く買って聴いていました。
ヴォーカルのAKKOさんの声質が好きだったこともありますけど、
バンドの中心人物でもあった小林武史さんの紡ぐ音が大好きでもあったんです。
まあ、小林さんは結局バンドから脱退してしまうわけではあるんですが。
(楽曲は引き続き提供されているようです)
あ、一応フォローしとくと、ギターの藤井さんの音も好きですよ。
「Hello, Again~昔からある場所~」がリリースされたのは、
今から四半世紀ほど前のことになります。たしか1995年だったかな。
クレジットでは藤井さんと小林さんの共同作曲ということになってるようです。
もともとは藤井さんが作られた曲が存在していて、
小林さんがそれに少し手を加えたということらしいです。
My Little Lover「Hello, Again 〜昔からある場所〜」
(動画はTOY’S FACTORYの公式のものです)
この曲、転調界隈ではかなり有名なんですよね。
サビ前のメロディから転調への仕掛けが施されていて、
とても精緻に作られた印象が、私の中ではすごく強いんです。
1番のBメロと言われる、曲のサビ前のメロディなんですけど、
歌詞でいうと「泣かないことを誓ったまま」あたりからがBメロになります。
(上の動画だと1:05~)
で、その歌詞の「誓ったまま~」の「た」の部分の音を聞いて、
ほんの少し違和感を抱いたんです。
この曲の調性は、前半が「ホ長調(E-dur)」になってます。
音符にするとこういう音階で構成されています。
ちなみに「♯」は「シャープ」と言って「音を半音上げる」指示記号です。
最初が「ミ」の音、次の音は「ファのシャープ」で、
ピアノでいうと「ファ」の音の右上の黒鍵部分が「ファのシャープ」になります。
さらに「ソのシャープ」「ラ」「シ」と続きます。
それで、最初の話に戻るんですけど、
「誓ったまま~」の「た」の部分の音が「ソ」の音なんです。
「ソのシャープ」ではなくただの「ソ」の音なんですよ。
要するに、ホ長調の構成されている音ではないんですね。
だから、最初に聞いたときに些細な違和感を感じたんです。
でも違和感は通り過ぎて、何事もなかったようにメロディが紡がれます。
そのままサビ直前まで進みますが、そこでまた違和感が襲ってきます。
「僕はひとりになった」という歌詞の「っ」の部分の音が、
また「ソ」の音になっていて、それが呼び水となり、
サビの調性がホ長調から「ト長調(G-dur)」へと変わります。
ト長調の構成音はご覧の通りです。
最初の音は「ソ」となっていて、そこから「ファのシャープ」までは、
なにも記号が付いていない音が続きます。
そうなんです。
「誓ったまま」の「た」の音も、
「僕はひとりになった」の「っ」の音も、
さらに言うとサビ部分の「記憶の中で」の「き」の音も、
ト長調の構成音である「ソ」になっているんですね。
これが感性の代物なのか緻密に計算されたものなのかは定かではないですが、
転調をする前にBメロ部分で構成音のほんの一音を垣間見せることで、
サビの転調をうまい具合に聞かせている、ということになります。
ちなみにBメロからのコードはこんな感じです。
(Bメロ)
A A/B | G#7 C#m | A G#7 | C#m Bm
A A/B | G#7 C#m | F#m7 | F#m7/B B7
(サビ)
C D | G D | C D | Em D
参考までに書いたので、特に意味はありません(笑)
本当はもう1曲紹介したかったんですけど、
ちょっと長くなってしまったので、続きはまた別の機会に。