音楽つれづれ日記

ありとあらゆる音楽が好きな人。特にジャズが好き。たまにキツい毒をはいたりしますが根はいい奴です。

映画「ドラゴンクエスト YOUR STORY」の感想

2019年8月2日に全国公開された、

山崎貴 総監督の「ドラゴンクエスト YOUR STORY」を鑑賞してきました。

映画は事前情報を極力排してみている人なので、

今回も、公式非公式問わずネットもSNSもみないで、

まっさらな状態で映画を鑑賞してきました。

 

 

これから映画およびドラクエ5のネタバレを書きます。

映画を見ていない方、ドラクエ5をプレイしていない方、

あるいは、そもそもネタバレが嫌いな方は、

ここから先はご覧にならないようお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のこの映画は、スーパーファミコンで1992年に発売された、

ドラゴンクエストV」をモチーフにしています。

主人公リュカの波乱万丈の半生を描いた一大叙事詩ともいえる作品です。

サブタイトルは「天空の花嫁」です。

ゲーム途中に主人公が結婚することになるのですが、

花嫁候補が2人(あるいは3人)いて、

プレイヤーは本気で花嫁を決めることになるんです。

ビアンカとフローラ(あるいはデボラ)の候補がいて、

それぞれに派閥が存在するほどです(笑)

私はビアンカをずっと花嫁に選んでいますが、

2週目プレイではフローラ(あるいはデボラ)とも結婚しています。

 

いまさらドラクエのことを説明する必要はないかと思いますが、

1986年にシリーズ第一作が発売され、今もシリーズが継続して出ている、

日本製RPGの草分け的存在の一つです。

シナリオ・ゲームデザインを担当している堀井雄二さん、

キャラクターやモンスターデザインを担当している鳥山明さん、

音楽を担当しているすぎやまこういちさん。

この3人が主軸となって製作されているドラゴンクエストは、

国内外でファンも多く、音楽のコンサートも毎年数多く行われています。

 

 

ドラクエ5のお話は、親子3代にわたります。

主人公の父親であるパパス、そして主人公、さらにはその子どもたち。

主人公の子供が勇者として誕生し、大魔王ミルドラースを倒すまでのお話です。

ラスボスよりも印象に残る敵も数多くいます。特にゲマ。

 

 

今回のドラゴンクエストの映画、上映時間は正味103分。

1時間40分ほどでドラクエ5のエッセンスを表現しなければなりません。

良質な映画ならきっとこの時間でも十分楽しめるものができるでしょう。

 

 

こう書くと、ドラクエの映画の私の中での評価はわかるかと思いますが(笑)

 

 

映画が終わって最初に感じたのは違和感でした。

怒りでもなく、悲しみでもなく、楽しみでもなく、嬉しさでもありません。

館内に照明が戻ってきてから、ずっとモヤモヤした感じでした。

 

 

フルCG、しかも鳥山明さんのデザインとはかけ離れた造形。

ドラクエ5の序曲の使い方の微妙な感じ。

そうした些末なことは全て映画終了後に感じたもので、

映画は途中までは入り込むくらいに楽しんでいたんです。

 

ところどころ改変はあるにせよ、

そのストーリーはやはり堀井さんの紡ぐドラクエ5になぞらえていますから。

パパスが息子の目の前で亡くなるところや、

フローラとの出会い、あるいはビアンカの酔った姿、

主人公リュカがゲマの手にかかり石化してしまうところ、

ブオーン、ジャミとゴンズ、そして仇敵ゲマとの闘いのシーンなど、

デザインのことも忘れて、話に没頭してしまいました。

 

終わってから知ったんですが、

この映画、声優さんといわれる方がほとんど出ていないんだそうですね。

俳優さんを多数起用したキャスティングになっていたらしいです。

俗に声豚といわれる近寄りがたい人たちと違って、

私はその辺にあまりこだわりがない人なので、

そんなに違和感なく演技を楽しんでた気がします。

風立ちぬ」の主人公・堀越二郎の声も、あれはあれで楽しめた人ですから(笑)

 

 

 

じゃあ何にそんなモヤモヤしたのか。

 

 

 

それはこの物語の終盤に登場する「VIRUS」です。

本来であれば最後のボスとして登場するのは大魔王ミルドラースです。

原作でも影の薄いラスボスとして定評のある彼ですが、

ゲマという、敵役(かたきやく)として十二分に活躍したキャラがいましたから、

それはまあ、いかんともしがたいところではあります。

 

たぶん、ゲームをプレイしたことがある人なら、

ミルドラース登場というシナリオを、映画を見ながら期待したはずです。

 

が、突然映画の再生が止まったかのような演出。

そして登場した白い面をつけた奇妙な風体で、

「コンピュータウイルス」と自称するそのキャラの出現。

そのあとの話の展開は、たしかに意外性はあったように思います。

 

 

「劇中劇」という手法はそれほど珍しいものではありません。

PlayStationで発売された「moon」などでも使われていますし、

メタフィクションという言葉を使えば、

「MOTHER」シリーズや「メタルギアソリッド」シリーズ、

そして「かまいたちの夜2」「UNDERTALE」など、

その手法を使ったゲームは枚挙にいとまがありません。

 

フィクションをフィクションたらしめるその手法(メタフィクション)は、

フィクションを純粋に楽しみたい人にとっては不快に感じるところもあります。

そのあたりは製作者の手腕が大いに問われるわけですが、

今回のこの映画の違和感の正体のひとつはこれだったと確信しました。

 

この「YOUR STORY」という映画が、

実は最初からヴァーチャルリアリティの中でのお話であり、

主人公はドラゴンクエスト5というゲームを昔プレイしていて、

そのVRゲームを体験している、という設定だったんです。

意外性という意味ではそれはそれでありだと思います。

確かにこのあたりの展開から頭の中に「?」がたくさん浮かんできましたから。

 

熱い展開ではあるんです。

「ゲームはもう一つの現実だ」というセリフは、

言葉にするとやや陳腐に聞こえますが、説得力があるようにも思えます。

相棒だったスライムが実は「ゲームの管理者(監視者)」で、

主人公を守りながら、ロトの剣を出現させ、

その剣でコンピュータウイルスを撃退する、という流れは、

確かに面白いし、熱いです。

 

ただ、ドラクエである必然性がこれによって消えてしまった感もあるんです。

 

メタフィクションはエッセンスとして存在するから楽しめるわけで、

それをストーリーの根幹に据えてしまうと、とたんに作り物めいてしまいます。

 

最後はすべてのマップ、キャラが復活して、

何事もなかったかのように大団円へとお話が進んでいきます。

「YOUR STORY」というタイトルの意味が、

メタフィクションの部分も含めて「あなたの物語」ということがわかる仕掛けです。

 

たぶん、ドラクエ5を全く知らない人が見たら、

少し違う感想を抱くのかもしれませんし、

原作をプレイした人でもこの映画を楽しめた人も多くいらっしゃると思います。

その感想は本人だけのものなので、口をはさむ気は毛頭ありません。

 

ただ、私のように違和感を感じた鑑賞者もいると思うんです。

ドラゴンクエストの映画を見に来た」つもりだったのに、

ドラゴンクエストをプレイしているプレイヤーの物語」だったことに対して、

少ならず失望感や怒りを覚えた人もいらっしゃると思うんです。

 

誤解のないように言っておきますが、私は失望感も怒りも感じてません。

ただ、違和感だけが映画鑑賞後に残っただけにすぎません。

 

 

 

ぶっちゃけた感想を書いてしまいました。

Twitterでこうした感想をたれ流すことも考えたんですけど、

感想がまとまらない気がしたので、このブログの場を借りて書きました。

 

ビアンカ好きにはたまらない映画でしたし、

フローラ派の人もあれはあれで楽しめた、のかどうかはわかりませんが(笑)、

健気なフローラと男勝りなビアンカ、どっちも魅力的に描かれてました。

あと、ゲレゲレがかわいくて、かっこよかったです。

ヘンリー王子のくだりはもう少し丁寧にやってほしかったってのはあります。

最後、いいところで登場するのはちょっと興奮しましたけどね。

 

音楽もドラクエ5からだけではなく、ほかのシリーズからも使われていて、

映画館で聞くドラクエの音楽は迫力もあって最高でした。

エンディングがロトシリーズの完結編「そして伝説へ」だったのは、

数多ある違和感の一つでしたけど。

 

音楽がらみでいうと、序曲の使い方がどうにもアレだった気がします。

「ここぞ!」というところで使うという気持ちはわかるんですけど、

多用しすぎな感じもありましたし、

そもそもかっこいいシーンに序曲が映えてない気がしました。

 

山崎総監督がどういう意気込みでこの脚本を書いたのかはわかりません。

最初にあの「劇中劇」の案を思いついたのか、

それともドラクエ5のストーリーをなぞっていくうちにふと思いついたのか、

そのあたりはわかりませんし、知りたくもないのですが、

製作するうえで相当なプレッシャーがあったのではないかと思います。

ゲームを映像化するというのは、映画にしろテレビにしろ、

固定ファンに対して贄をささげるような行為になるわけで、

批判のやり玉にあがることも覚悟の上だったのではないかと推察します。

すべて私の想像なので、ちがっていたらごめんなさい。

 

正直に書きすぎた感もありますが、

個人の戯言程度に聞いていただけると幸いです。

 

映画は「自分で見て評価を決めるもの」ですから。