通勤時に音楽を聞きながら読書をしていることが多いんですけど、
今日、たまたまシャッフル再生していると、
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」が流れてきました。
これは、序盤で流れてくる「テーマ」といわれる部分です。
この曲全体がこのフレーズに支配されています。
そこかしこにこのリズムやメロディの断片が顔をのぞかせるということですね。
ある一つ以上のフレーズを用いてその曲を展開させていく楽曲のことを、
「variation(変奏)」といいます。
これは「第7変奏」の出だしの部分ですね。
赤丸で囲んだところの音符の並びが「テーマ」の並びと同じになってます。
(テーマのViolini Iの3個目から7個目の音の並びと形が似てますよね)
この曲でも有名な第18変奏。
CMやテレビ番組でもよく使われている流麗な曲です。
Rachmaninov: Rhapsody On A Theme Of Paganini, Op.43 - Variation 18. Andante cantabile
第18変奏の出だしの楽譜です。
ピアノの独奏から始まるこの部分ですが、
上の段の「mf」と書かれているところの音符に注目してください。
この画像を上下反転してみます。
なんとなく見覚えのある形が現れました。
テーマで出てきたこの3音目から6音目の音型です。
上下が鏡に映されたかのように反転する音型のことを、
「転回」あるいは「反行」といいます。
カッコよく言うと、
「第18変奏のフレーズは、テーマに使われているフレーズの転回形である」
ということになります。
変奏曲だったりフーガを巧みに使った曲だったり、
そうした曲にはこうした技術も使われていることがとても多いです。
この「パガニーニの主題による狂詩曲」も、
変奏曲という体裁で書かれているものなので、
テーマに使われているリズム、音がいろんなところで登場するんですけど、
この第18変奏だけなかなか見つからないんです。
転回、という技巧でテーマが隠されている、というわけです。
作った方としては「隠してる」気なんて毛頭ないんでしょうけど(笑)