もともと恩田陸さんの小説は好きだったのですが、
こちらの小説も実は刊行当時に一度読んでいるんですよね。
その世界観にはまってしまいわずか一日で読み切ってしまったことと、
今年の初めにこの小説のリーディングオーケストラコンサートというのがあり、
(私は残念ながら行ってないんですけど)
もっとじっくり読んでみようと思い立ち、
積読がたまっているにもかかわらず、通勤途上でずっと読んでました。
あらすじを簡単に言うと、
日本で開催されるピアノコンクールの一部始終を描いた作品です。
(地名などは架空のものとなってますけど)
コンクール出場者(コンテスタント)からの視点、
コンテスタントの家族の視点、コンクール審査員からの視点など、
たくさんの人の視点から描かれるピアノコンクールの世界を堪能できます。
こういう群像劇というと、同じ恩田陸さんの作品「ドミノ」を彷彿とさせます。
最初に読んだ時の衝撃がいまだに忘れられないんですよね。
恩田陸さんの作品で「チョコレートコスモス」というのがありまして、
端的に言うと「ガラスの仮面」の世界観なんですけど、
この作品にも天才と言える女の子が登場します。
蜜蜂と遠雷を読んでいてこの作品を思い出したんですよ。
この作品でも天才とよばれるピアニストが多数登場しますし、
それに翻弄されたり共感したりする審査員や周りの人も出てきます。
「チョコレートコスモス」と構造が少しだけ似てる気がしたんですよね。
恩田さんの作品で未だに「チョコレートコスモス」はたびたび読むくらい好きです。
おっと、ここは音楽ブログであって読書感想ブログではなかった・・・
バッハの平均律クラヴィーア曲集や、
曲名だけではなくその演奏風景なども細かく描かれていて、
読んでいて自然と頭の中でその音楽が鳴り響く錯覚をおぼえます。
一次予選から本選まで、人数がどんどん減っていき、
最終的には6人で本選が争われることになるのですが、
その本選では、ピアノ協奏曲が披露されます。
ネタバレになるので曲目は書きませんけど、
有名なあの曲やら珍しいあの曲まで演奏されます。
読んでて何度も涙しました。
物語としても存分に楽しめますし、
クラシック音楽やコンクールに対する知識も学べます。
曲目を知らなくても十分楽しめる作品になってますので、
興味がわいたらぜひ読んでみることをお勧めします。
けっこう長編ですけど(笑)