音楽つれづれ日記

音楽好き、飽き性、そして中庸思考。

オニオン弦楽合奏団 第七回演奏会

1989年。

コピーライターの糸井重里さんが中心となって一つのRPGが作られました。

そのゲーム「MOTHER」はのちに3作目まで制作されることになります。

 

2015年。

一人のゲームクリエイターが日本のゲームなどに影響を受けて、

とある一つのインディーズゲームを作成します。

そのゲーム「Undertale」は、多くのファンを獲得し人気を集めています。

Undertaleの作者であるToby Foxは、ゲーム制作において影響を受けた作品の一つとして「MOTHER」シリーズをあげています。

 

この二つの作品、私はちょうど発売された年にプレイをしています。

ファミリーコンピュータで発売された「MOTHER」も7月の発売日に購入して、あれよあれよという間にクリアしてしまいましたし、

海外で発売されて火が付いた「Undertale」も、

ボストンに住む私の友人が強力に推してきて「何も考えずにまずはプレイしろ」と脅迫じみたメールを送ってくるくらいだったので、まずは英語版でプレイしました。

どちらもそれまで発売されたゲームに何らかの影響を受けながらも、オリジナリティあふれる意欲作として後世に残る作品となっています。

 

 

そんな二つの作品の音楽を融合し再構成するというコンサートが、

本日開催されることになったので、事前予約して行ってきました。

 

 

オニオン弦楽合奏団 第七回演奏会

2019年10月27日(日)

開場:13:30 開演:14:00

昭和大学 上條記念館 上條ホール

 

(演目)

01. 母

02. 友達

03. 好奇心

04. 雪

05. ヒーロー

06. スター

07. へんないきもの

08. 父

09. 夢と希望

 

アンコールあり

 

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Twitterで仲良くさせていただいている複数の人が奏者、

あるいは裏方として参加していることもあり、

また裏方のおひとりから「面白い演奏会」と聞かされて俄然興味がわいたので、

事前に予約をしていくことにしました。

 

hiro0401.hatenablog.com

 

以前の公演についてはこちらに書きました。

結構辛口モードで書いているのでそのあたりはご容赦ください。

 

 

こういうゲーム音楽の演奏会は、

Twitterやほかの方のブログなどでも詳細な感想を書かれていると思うので、

私のブログでは少し違った目線で書いてみようと思います。

 

 

今回の演奏会は「MOTHER」と「Undertale」がテーマになっています。

そして、それらの楽曲をサントラに即して演奏する、というわけではなく、

一つのテーマを定めてそれに応じて編曲された楽曲を演奏するスタイルです。

「母」「好奇心」など漠然としたテーマが掲げられており、

複数の楽曲を融合させて演奏していきます。

 

こういうスタイルの演奏会ってなかなかありません。

強いてあげれば「Final Symphony」あたりがそれに相当するんでしょうか。

Final Symphonyでは、スクエアエニックスの一つのゲームにスポットを当てて、

そのゲームで使われる楽曲の旋律を再構築してアレンジが施されています。

演奏会の主旨自体は違いますが、コンセプトは少し似ている気がしますね。

 

 

私も編曲家の端くれなので、

こういう特殊なコンセプトは大好物です。

編曲は代表も務められている大澤さんですし、クオリティは折り紙付きです。

前回の演奏会では、中音の演奏スキルというかピッチがあれで閉口してしまいましたけど(笑)

 

こういう有志による演奏会ではよくありますが、

どうしても演奏スキルにバラツキがつきものです。

そのため、めっちゃうまい奏者がいるからといってそのクオリティが担保となることはあまりありません。

要するに聞くに堪えないものが多くなる、ということです。

 

コンミスや各パートトップ、ピアノ、パーカスとうまい人たちがそろっていて、

そこには何も不安は感じませんでした。

「夢と希望」のピアノソロ部分はずっと号泣していましたし、

パートトップのソロ部分もすごく心地よかったですし、

パーカッションも歯切れよく聞こえてきます。

 

意外なことに今回の演奏会では前回ほど拒絶感はなかった気がします。

中音のピッチは時々気になりましたし、

演奏する姿勢(弾き方)が人によって千差万別で音の鳴りにムラがありましたけど、

全体的には聞くに堪えない、というほどではありませんでした。

無料公演なのに、そんな贅沢言うなよ、って言われそうですけど・・・

 

 

これ以上書くとただの悪口になりそうなのでこのあたりでやめときます。

 

 

指揮は編曲を担当された大澤さん自らがやっていました。

時に激しく、時にお茶目に指揮をする様子は2階席から見てて楽しかったですね。

演奏難度が高いので、奏者の方々は大変そうに見えましたが。

 

 

鑑賞者のマナーについてですが、こちらも相変わらずでしたね。

クラシックなどの演奏会と比較して、

ゲーム音楽を聞く人たちのマナーは良い、とどこかで見た気がしますが、

どっちも同じようなものです。悪い人は悪いです。

演奏中に、やおらカバンを開けてペットボトルを取り出し飲んでいたり、

マスクもタオルも口元にあてずに咳をし続ける人がいたり、

あの暗いホール内でパンフレットを執拗に見つつ擦過音を響かせたり、

どんな演奏会でもよく見かける光景です。

(演奏中にペットボトルを出して飲むというのはさすがに初めてみましたけど)

あと、休憩中のスマホ使用率はゲーム音楽の演奏会がダントツですね(笑)

 

 

終演後、ホワイエでアンコールの曲目の写真を撮っているときに、

ピアノを担当されていたいずみさんから声をかけていただきました。

あれはほんと嬉しかったなぁ。突然の声かけで驚いちゃいましたけど(笑)

ピアノ、本当に素晴らしかったです。

 

 

というわけで、曲目に一切触れずにここまで書いちゃいましたけど、

さすがにそれだと感想ブログにならないので少しだけ。

 

出だし。

MOTHERのあの曲から始めるというのはうまいなぁと思いました。

1曲目は「母」ということですから、あっちの曲からと思っていましたが、

そうきたかぁ!と膝を打ちそうになりました。演奏中なので自重しました(笑)

4曲目「雪」はスノーフルのピアノのイントロから始まるところでグッときました。

7曲目「へんないきもの」はあの曲とあの曲のコラボ、そしてラストが素敵でした。

9曲目「夢と希望」は全部泣いてました。演奏された曲すべてが涙腺にきます。

 

個人的な感想ですが、

今回の編曲はすごくシンプルに感じたんです。

いろんな技巧が凝らされてはいるんですが、

これまでの演奏会で感じたものとは少し異質に思えました。

シンプルでわかりやすい。でも、それだけじゃない。

これまでの演奏会でも原曲リスペクトは十二分に感じたんですが、

編曲がすこし「引いた」感じを受けたんですよね。

これまでにない融合編曲ということでいろいろと試行錯誤もあったと思いますけど。

 

 

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アンコールはこちら。

特にコメントはありません。ただただ嬉しかったです。

 

 

 

仕事中に書いているのでだいぶ端折って書いてしまいましたが、

それはそれとして、とても面白い演奏会でした。

おすすめしてくれたスタッフの方、本当にありがとうございました。

 

奏者の皆さま、ホール内スタッフの皆さま、お疲れさまでした。

パンフレットを受け取るとき、だれから受け取るか迷ってしまってすいません。

たくさん知り合いの方がいたんですけど、

演奏会後に仕事があったもので、早々に脱出してしまって、

お声がけできなくてすいませんでした。

 

また、機会があれば参加させていただこうと考えています。

素敵な時間をありがとうございました。

 

 

 

追伸

パンフレット、とても素敵でした~!

映画「冴えない彼女の育てかたFine」を見てきた(ネタバレあり)

※注意

いつものことですが、かなり前置きが長いので、

そういうのを読みたくない人は、

ブラウザの「戻る」などご自身で処置していただくことを推奨します。

 

 

 

 

私の所属する部署には一人漫画やアニメが大好きなやつがいます。

 

部の責任者でもある私は、

特段部内の規則などを設けないことにしました。

机の上のパソコンの上にフィギュアを並べようが、

好きなキャラクターのマウスパッドを使おうが、

仕事中にスマートフォンなどを閲覧しようが、一切おとがめはありません。

ただ、私が部署の皆に課すノルマが割と厳しめに設定してあるので、

そのノルマを達成できないことにはそうした自由を謳歌できない仕組みです。

ついでに言うと服装も自由なので、

髪を染めてこようが、鼻ピアスをあけようが、おとがめなしです。

(鼻ピアスしている人はさすがに現時点ではいませんけど・・・)

そういう自由な社風はどうなのよ、と思う方もいらっしゃるでしょうけど、

「成果至上主義」な部署で、特に対人スキルが必要なところでもないので、ま、いいか、と。

上司がこんな感じですから、部署の雰囲気は推して知るべし、といった感じですかね。

 

 

ま、会社のお話はともかく。

 

 

そのアニメ好きの同僚に、

「先輩、今月末の土曜日に映画観に行きませんか?」と誘われました。

そいつからいろいろとアニメをお勧めされて、

ものの見事にはまった場合もあれば、最後まで見て「?」となったものまであり、

多分今回も何かしらのアニメ映画を見に行くことになるのだろうと思い、

「特に予定入ってないから、いいよ」というや否や、

 

「じゃ、まずは原作ですね。全13巻あります。あと短編集とかファンブックも含めると全部で20冊ほどになりますかね。あとBlu-rayBOXも持ってきました。あ、大丈夫です。これは布教用のやつなので返していただくのはいつでも結構です。あと、映画は26日公開なのでそれまでに全部消化しておいてください。じゃ、よろしくおねがいしま~す!」

 

オタク特有の早口でまくしたてられるようにそういうと、

その同僚は私の机の上に大量の文庫本と分厚いボックスを置いていきました。

 

それが私と「冴えない彼女の育てかた(以下、冴えカノ)」との出会いです(笑)

そうなんです。

私は今月この作品のことを知り、そして今日映画を見に行ってまいりました。

 

同僚のすごいところは、

私に何かおすすめをする場合に、ちゃんと実物を用意しているところです。

SHIROBAKO」や「ソードアートオンライン」など、

彼がアニメをおすすめする場合、それらの原作や映像作品をちゃんと準備しておいて、

そのうえでおすすめしてくるというわけです。

私が某ブログでおすすめの音楽を紹介するのとはわけが違います(笑)

その同僚はわかってるんです。

「あ、この人は口でおすすめするだけでは動かない」ということを。

その通りです(笑)

 

いろいろな人からいろいろな分野でおすすめを紹介してくれるんですが、

口では「わかりました~!」と軽く応対しながら、

実際はほとぼりが冷めるまで、いや、ほとぼりが冷めても動きません・・・

「いつでもいいか」と思ってることは、いつまでも動きません(笑)

 

同僚が置いていった原作およそ20冊。

そしてBlu-rayBOXを、映画公開までのおよそ3週間ほどで見終えねばなりません。

さらに、公開初日には出演者による舞台挨拶もあるとのことで、

(その同僚は舞台挨拶付きの前売り券を準備していました)

声優さんの名前と顔がまったく一致しないような私が、

そんな「マニア垂涎」の舞台挨拶に参加してよいものかどうか迷いました。

 

何を隠そう、わたしはライトノベルが苦手なんです。

大仰な会話表現(!や?、~などを多用する)がダメで、

普通の小説を読むよりも格段に時間がかかるんですよ。

それでもどうにか1日2冊ペースで原作を読みつつ、

それと並行してBlu-rayBOXでアニメの1期と2期を見始めました。

原作者である丸戸文明さんの文章もライトノベルのそれではあったのですが、

お話の展開が面白くて、一週間ほどで短編集も含めすべて読み終えました。

アニメも仕事から帰宅後に3話ずつ見始め、気が付くと冴えカノにどっぷりです。

 

なるほど、映画化される理由も納得です。

 

 

 

 

 

 

というわけでここからようやく映画のお話になります。

ネタバレ全開で書きますのでご注意ください。

 

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写真でもお分かりの通り、

映画の豪華版パンフレット(劇中歌CD付き)を購入させられ(笑)、

そしてサイン色紙と作者書下ろしの短編小説が特典でもらえました。

どうやら毎週特典が変わっていくみたいですね。

 

2年ほど前に放映されたテレビアニメ版2期では、

原作の7巻くらいのところまでお話が進んでたみたいですね。

詩羽先輩と英梨々がサークルを離れて別々の道を歩み始めるところです。

 

今回の「Fine」は完全にテレビアニメ版の続きとして描かれています。

つまり、これ単独ではお話についていくのはかなり困難、ということですね。

原作あるいはテレビアニメ1期2期を見ている人向けなので、

そこは割り切って丸戸先生も脚本を書かれたのでしょう。

 

全体的には2時間弱でよくまとまった映画でした。

膨大な原作をこの時間で完結させるにはいろいろとご苦労もあったみたいですが、

エンドクレジット後のエピローグも含めて、

原作の良いエッセンスを抽出しつつも、原作とはまるで違うシーンに昇華し、

きっちりと大団円になっているのはすごいな、と思いました。

 

原作の最終巻で印象的だった英梨々と倫也との自宅前での別れのシーン。

最後の英梨々のセリフはやはりグッとこみあげてくるものがありました。

原作ではそのあと詩羽先輩との別れがあり、

そのあと恵がやってきて倫也と一緒に語らうシーンもあったのですが、

そのあたりはバッサリとカットされてましたね。

 

倫也と恵とのファーストキスのシーンはやはり印象深いものがありました。

原作でいうと13巻の最初のほうで描かれているのですが、

それとはまったく違う、映画オリジナルの展開です。

原作では倫也と恵のセリフの応酬から突然のキスという、

いい年をしたおじさんが赤面してしまうようなシーンだったわけですが、

映画では道の真ん中で照れながら倫也が恵にキスをしたあと、

今度は恵から倫也へ、最後は「せーの」でタイミングを合わせてのキスという、

これもまた、いい年をしたおじさんが赤面してしまうようなシーンでした。

 

そして、このキスシーンでかかっていた歌がとてもよかったです。

「ULTIMATE♭」という楽曲で、豪華版パンフ特典のCDにも収録されています。

 

今もそれを聞きながらこのブログを書いているわけですが、

加藤恵の役をされている声優さん、とっても歌がお上手なんですね。

キャラクターの声で歌を歌うというのは難しいと思うのですが、

テレビアニメ版の「M♭」や「GLISTENING♭」の流れをくむ、

とても感動的な楽曲に仕上がっています。

多分これからヘビロテして聞くんだろうなと思います(笑)

 

歌というと、映画の冒頭は、

倫也の幼馴染である氷頭美智留率いるicy tail(アイシーテール)のライブから始まります。

「icy tail YO!」というそのまんまのタイトルですが、

楽曲は乗りの良いロックテイストで、オープニングを飾るに相応しい元気なきょくになっていました。

 

同じblessing softwareの美智留と出海の前で、

倫也への思いを告白する恵にグッときました。

Girls Sideという3巻まで出ている原作シリーズのエピソードも、

こうしてちゃんと映画に反映されているのは嬉しかったですね。

 

でもまあ、原作を知っていると、

どうしても端折ってる感を感じてしまうのは否めないです。

テレビアニメ3期として12話(あるいは13話)くらいで丁寧に描けば、

もう少しいろんな心情を表せたんだろうとは思うんですけど、

それでも、映画できちんと原作ラストまで描けたのは素直にうれしいものです。

 

で、エピローグは新規書下ろし部分ですね。

何年か後のお話で、倫也がゲーム制作の夢をあきらめ、

普通に会社で営業職についていて、慣れない仕事で恵と不仲になり、

そして路頭に迷ってたどり着いたところで、詩羽先輩が登場し、

ラブストーリーは突然に」のイントロが流れ出すところは笑えました。

実はこれ、詩羽先輩の書いた新作タイトルのプロットであるというオチなんですが、

久しぶりに詩羽先輩と英梨々も含めた6人が同じ部屋に集うラストシーンは、

なんだか見ているこちらも胸が熱くなってきました。

 

にわかファンが何をまじめに語ってるんだと思うでしょうけど、

先月まで冴えカノの「さ」さえ知らなかった人間が、

こうしてブログで感想を書くまでに成長したところを評価していただけると幸いです(笑)

 

そのあとはライブビューイングということで、

舞台挨拶の模様が中継され、出演者6人が登場してネタバレ全開の感想戦

そのあと主題歌を歌われた春奈るなさんの生歌も披露され、

大変満足して映画館を後にしたのでした。

 

 

「映画なのに作画安定してなかったな」

「うん、ほんとにそう」

映画館を出るときに前を歩いていたマニア二人組がこんなこと言ってました。

やはり見る人が見ると違うんだな、という印象を抱きつつ、

そういう連中のことを「作画厨」って言うんですよ、と同僚が教えてくれて、

その二人組に侮蔑の表情を浮かべていたことも併せてご報告いたします。

KAZUNORI TAKEDA / Gentle November【ジャズのススメ 123】

前々から、ジャズピアニストの友人に指摘されていたことなんですが、

「おまえは日本人なのに、日本人のジャズを軽視する傾向にある」

と毎年のように言われています。

特に選り好みをしているつもりはないんですけど、

よくよく考えてみると、

このブログで紹介しているジャズのそのほとんどが海外もの。

まあ、50年代から70年代頃のジャズが好みということもあり、

同族嫌悪というわけではないんでしょうけど、

確かに言われてみるとそんなに日本人のジャズは聞いてないことに気づかされます。

 

ま、このスタンスを変えるつもりは今のところないんですけど(笑)

 

山下洋輔さんといえば日本を代表するジャズピアニストですが、

テレビなどで紹介される感じだと、

「ピアノの鍵盤をグーでたたきまくってる人」という、

変な誤解を生むような形での紹介が多く、

山下さんがいかにすごいピアニストかというのが伝わってない気もします。

 

そんな山下洋輔さんのバンドでサクソフォンを担当していたのが、

今回紹介する武田和命さんです。

もちろんずっと以前からお名前は存じ上げてましたし、

今回のこのアルバム「Gentle November」も一度聴いています。

 

が、友人にお勧めされるまで、このアルバムのことを忘れていました。

なぜなのかはいまだに理由はわかりません。

 

ジェントル・ノヴェンバー

ジェントル・ノヴェンバー

 

 

いい時代になりました。

こういう貴重な音源が復刻されて発売されています。

山下さんのピアノ伴奏もとても美しく、

もちろん武田さんのテナーサックスの響きはどこまでも優しくかっこいいです。

 

なぜ最近までこのアルバムを聞いてなかったのか不思議でなりません。

ブラスぷらす Op.14

吹奏楽の楽曲というと、どうしてもアメリカの作曲家を多く聞いています。

なので、ここで紹介する曲も大体はアメリカものが多くなります。

 

ジェームズ・カーノウ(James Curnow)といえば、

最初に聞いたのは「交響的三章」だったと記憶していますが、

そのあとでたまたま「トリティコ(Trittico)」を聞いたんですよ。

 


Trittico - James Curnow, Eikanger-Bjoirsvik

 

細かい話をすると専門的になるのでここでは割愛しますけど、

吹奏楽としては長めの曲であるはずなのに、それほど長さを感じないんです。

いろいろなテクニックを駆使していることは確かなんですが、

そういうのを感じさせない曲、といえばいいんでしょうか。

 

この曲は、このブログでは登場していない、

私がボストン留学時代に出会った知人が、かなり後になって教えてくれた楽曲です。

アメリカの吹奏楽団でユーフォニアムを演奏しているその彼が、

やはりユーフォニアム奏者でもあったジェームズ・カーノウの作品を推薦するというのは、なんとも運命的です。

 

そういう意味でも、思い出の1曲と言えるのかもしれないですね。

現代音楽を聞く 特別編


藤倉大作曲、「春と修羅」、映画「蜜蜂と遠雷」"Spring and Asura" - Dai FUJIKURA (for the movie "LISTEN TO THE UNIVERSE".

 

先日見てきた映画「蜜蜂と遠雷」。

その予選で使われたとされる「春と修羅」という曲。

作中では、ベテラン作曲家である菱沼忠明の手によって、

いろいろな事情を経て作曲されたもの、となっています。

 

この辺りの事情は、原作者である恩田陸さんが書かれた、

公式の続編(短編集)「祝祭と予感」を読まれるとわかると思います。

 

で、映画版の「春と修羅」については、

イギリス在住の作曲家、藤倉大さんの手で作曲されました。

上に挙げた動画は、藤倉さんご本人が公式にUPされているもので、

音源の一部が試聴できます。それがとても私好みの音楽だったんです。

 

mitsubachi-enrai-movie.jp

 

四人のコンテスタントそれぞれの演奏を収録したCDも販売されています。

私も全部購入させていただきました。

春と修羅」のそれぞれのカデンツァ(即興演奏)も存分に聞けます。

そして、この曲の楽譜も販売されているみたいですね。

だれか買って演奏してくれないかしら、と期待しつつ、

私も密かに購入して、挑戦してみようかと画策するかもしれません。

 

 

なんだか映画の宣伝みたいになってしまいましたが(笑)、

実際の映画の感想もこのブログで書かせていただきました。

(ネタバレ注意)

 

hw480401.hatenablog.com

 

少しでもこの曲の魅力が伝わってCDが売れることを願いつつ。

 

せいぎ

伊坂幸太郎さんの作品が好きで、だいたい著作は読んでいます。

そんな伊坂さんの作品でこういう文章がありました。

 

「正義とかそういうのって曖昧で、危ないものだから」


また、こういう言葉も出てきました。


「自分が正しいと思いはじめてきたら、自分を心配しろ」

この言葉を見て、「ああ、なるほど」とひざを打ちました。

正義=曖昧で危ないもの、とは言いえて妙です。

 

私自身、正義という言葉に対してかなり懐疑的な立場の人間です。

この言葉を多用する人って薄っぺらいなぁと思ったりしますし、

まあでも、それはそれで本人の「正義」なんだろうなと思ったりします。

 

リアルでは管理職という立場もありますし、

元々の性格がフラットなものの見方をしてしまう傾向が強いこともあり、

私自身は、優劣とか正否ということを真っ先に考えないんですよね。

「相手はどういう考え方なんだろう」とか、

「私と意見が違うのはなぜなんだろう」という感じで、

相手の意見や立場を考えて物言いしてしまうんです。

こういう態度なので、変な軋轢を生むこともあるにはあるのですが。

 

たとえばオーケストラコンサートに行くとします。

すると、演奏中に年配のご婦人がカバンの中から飴を取り出そうとするんです。

「演奏中に何やってんだよ」と怒る一方で、

別の自分が「なんでこのタイミングで飴を取り出すんだろう」と、

疑義を呈する形で頭の中がぐるぐるし始めるんです。

多重人格というわけではないんでしょうけど、

感情的な思いを抱くと同時に、俯瞰的な見方をしてしまう自分を発見します。

 

たとえばソーシャルゲームスマホなどで遊ぶ無料ゲーム)をしてる人が、

多くのお金をそこに注ぎ込む、つまりは課金しているとします。

「うわぁ、もったいない」と思う自分がいる一方で、

「そこまで彼(または彼女)を駆り立てるものはなんなんだろう」と、

その行動原理を分析しようとする自分がいるわけです。

 

自尊心が強くプライド高い一面がある一方で、

卑屈でネガティヴなことを考えて諦観に襲われてしまう、というのが私です。

常に相反する物事を考えてしまう、とでも言えばいいんでしょうか。

 

どっちつかず、とも言いますけど・・・

 

以前であれば、元来短気な性格の私は、

怒りにまかせて感情的な態度をとることが多かったはずなんですけど、

年を取って少し性格に丸みが出てきてしまったのかもしれませんが、

おいそれと激することが少なくなったような気がします。

(ゼロではないです、そりゃ人間ですから)

 

 

自分が正しいと思いはじめてきたら、自分を心配しろ。

 

 

これってなかなかに難しいことなんじゃないかと思います。

特にTwitterなどのSNSで顕著なところだと思うんですけど、

一度「こうだ!」と思い始めてしまうとなかなか抜け出せないものです。

そして「こうだ!」と思い始めた人が自分のほかにもこれだけいるんだ、

ということが容易にわかってしまうのがSNSのこわいところでもあります。

 

「あいつのこと嫌いなんだよ」

「うんうん、わかる、私も嫌い」

 

という意見で団結していく一方で、

 

「あの人のこと、大好き」

「うんうん、わかる、私も大好き」

 

という意見もあって、それぞれが団結していくことになります。

双方が違う意見を持っているわけですし、自分の方が正しいのだと思い込んでます。

賛成派に反対意見を述べること、あるいはその逆の行為を行った場合、反発を招くことは必至です。

正しいと思っていることに疑念を抱かなくなります。

この思い込み(←あえてこう書きます)が軋轢を生みます。

思い込みという色眼鏡で見ている世界は、その思い込みにより歪んで見えて、

都合の良いものは都合良く、都合の悪いものは蓋をする状況を作り上げます。

視野角が極端に狭くなってしまう、という状況です。

 

支持者と批判者との対立の構図なんてSNSでもさんざん見ますけど、

どっちもどっちだよなぁ、というのが私の個人的な思いです。

どちらも適度に歪んでるし、適度に思い込みが激しいんだよなぁと。

 

前述の通り、意見一致で団結している人たちですから、

わかるわかる、の一言で気持ちが増長してしまいます。

私たちこそ正義だ、という気持ちに目覚める気持ちもわからないではありません。

「自分たちは歪んでなどいない、相手の方こそ歪んでいるのだ」という思い込みがそこで起こります。

で、ある種の宗教的カルト集団がここに誕生します。

その信者たちは盲目的に自分たちの正義を崇め奉ります。

そして、反対するものに対して脊髄反射にも似た形で反駁を繰り返します。

隙あらば自分の集団を大きくしようとします。

正義という大波に飲み込まれて意見を翻してしまう人も少なくはないでしょう。

 

 

昔、中学校の頃お世話になった担任がいました。中学3年の頃です。

阪神淡路大震災の被害にあって亡くなってしまったんですけど、

その恩師がこんな言葉を当時の私に言ったんです。

 

「いろいろ思い込むのは自由やけど、それは本人だけのもんやで」

 

これを聞いた当時、中学生だった私の頭の中に??が浮かんでいたとは思うんですが、

いざ自分が社会に出てみると、この言葉にうなずくことがとても多くなりました。

それで思ったのは、正義って思いこみの一過程なんだということです。

100人いれば100通りの正義があって、

その正義に基づいた行動原理が働いているんです。

小さいものでは、某お菓子の「山と里論争」がそうですし、

大きなものでは、政府批判派と政府賛美派だったりします。

つまるところ「白か黒か」という意見に集約されるんでしょう。

100通りの正義もよくよく見てみるとこの2つに分類されてしまうんでしょうね。

身も心も白あるいは黒っていう人も当然いらっしゃいますけど、

中には、「限りなくグレーに近い黒あるいは白」って人もいれば、

「本当は黒なんだけど、周りがみんな白だから私も白にしとこう」って人もいます。

 

難しいのは外面(そとづら)だけではその判断が出来ないということです。

相手の心をある程度読むことが出来る、

自称メンタリストや自称超能力者でもない限りは、

相手の言動や表情などで推し量るしかないわけです。

見るからに挙動不審な人だからといってその人が黒であるわけでもないですし、

外見が恰好良いな人だからその人が白であるわけでもないです。

ましてや、文字や画像だけの行き来しかないSNSではなおさらです。

相手の性別や年齢すら判然としないのに、

その文字やら画像だけで対象者のひととなりまで断罪するというのは、

考え方以前に、人としてどうなんだろうと思うこともしばしばです。

そうなってしまうのも、きっと前述した正義の「ゆがみ」に起因するのでしょうね。

 

こういうのがあるので、ほとんどSNSを見なくなりました。

検索すれば、自分が飛びつきたくなるような意見もありますし、

反吐が出そうなほど嫌なことを書いている人もいます。

上手に付き合えば有用なツールの一つとなり得るんでしょうけど、

私の場合は「清濁併せ呑む」ことが出来ない人間なので、

精神衛生上のことも考えて、必要な時にしか見なくなってしまいました。

自分の持っている意見と違ったものだとしてもそれを受容してしまいますし、

そうして受容してしまう自分自身に嫌気がさしてしまうんです。

要するに、SNSに不向きな性格なんです(笑)

実は人見知りしてしまう性格ですし、

それを隠そうとしてわざと人前でピエロを演じてごまかしたり、

自己分析してみても、そうしたツールには不向きな性格です。

 

 

少しテーマからお話が離れてしまいました。

 

 

 

正義とかそういうのって曖昧で、危ないものだから、

なるだけ危険なものには近づかないようにしています。

どうしても正義の鉄槌を当人や当人に近しい人たちに伝えようとして、

いわゆる「クソリプ」を贈呈する麗しい方もいらっしゃいますが、

そういうのも見たら即時撤退することにしています。

一時期、そういうめんどくさい意見を見まくったこともありましたが、

Twitterでひょんなことがきっかけで、自分がそういう意見を浴びせられて、

精神的にやられてしまったことがあります。

なので、すでにアカウントも2回変えてしまってます・・・

 

自分が正しいと思いはじめてきたら、自分を心配しろというのは、

たぶん前述の中学時代の恩師の言葉に通じるものがあるような気がします。

あの言葉が無ければ、今のような性格にはきっとならなかったと思いますし、

きっとこれからも、正義という言葉に違和感を抱き続けるでしょう。

 

やっぱり違和感だと生ぬるいですね。

嫌悪感と修正しておきます。

 

 

長くなりましたけど、こんな感じでいかがでしょう。

自戒の意味も込めて、このブログをUPしました。

Incidental Music Vol.72

土日の夕方にアニメをたくさんやっていた時代というのがありました。

 

時代を経て、アニメ=深夜枠というのがやや定着した感もありますが、

それでも、子供を対象にしたアニメなども継続して製作されており、

なんにしても「最近、アニメ多すぎだろ」と思う今日この頃です。

 

土曜の18:30という時間にフジテレビ系列でアニメが放送されていました。

私のような世代だと、タイムボカンシリーズなどがそれにあたりますが、

幽遊白書忍空など90年代以降も続々とアニメが放送されていたんですよね。

 

そんなアニメ枠で「おれは直角」というアニメが放送されました。

原作は「あずみ」「お~い竜馬」などで知られる小山ゆうさん。

主人公・石垣直角を取り巻く人たちの人間模様がとても良く描かれていました。

ギャグアニメではあったのですが、

北条照正が登場し、二人の関係がクローズアップされるようになると、

作品もシリアスさが増していきました。

 

アニメ版の音楽を担当されたのは本間勇輔さん。

この土曜18:30枠のアニメの音楽を数多く担当されたばかりでなく、

テレビドラマなどでも活躍しています。

古畑任三郎」や「私の青空」あたりが有名でしょうか。

 

直角と照正くんとのシリアス回で良く流れていたBGMが大好きで、

サントラ欲しいなぁ、とずっと思ってたんですよ。

 

おれは直角 我直角也舶来的音曲集

おれは直角 我直角也舶来的音曲集

 

 

サウンドトラック、出てたんですね・・・今まで知りませんでした。

10年前くらいに出たDVDBOXは買ったんですけど(笑)

 

このアニメ「おれは直角」ですが、OPも有名みたいです。

ビジーフォーの歌うOPテーマ「学問のスズメ」は、

今でもたまに口ずさむくらい耳に残ってます。

遣唐使鎌倉幕府コロンブスの新大陸発見などの年号はこの詩で覚えたといっても過言ではないです(笑)

 

今も昔も、アニソンは本当にいいもんです。