音楽つれづれ日記

ありとあらゆる音楽が好きな人。特にジャズが好き。たまにキツい毒をはいたりしますが根はいい奴です。

KAZUNORI TAKEDA / Gentle November【ジャズのススメ 123】

前々から、ジャズピアニストの友人に指摘されていたことなんですが、

「おまえは日本人なのに、日本人のジャズを軽視する傾向にある」

と毎年のように言われています。

特に選り好みをしているつもりはないんですけど、

よくよく考えてみると、

このブログで紹介しているジャズのそのほとんどが海外もの。

まあ、50年代から70年代頃のジャズが好みということもあり、

同族嫌悪というわけではないんでしょうけど、

確かに言われてみるとそんなに日本人のジャズは聞いてないことに気づかされます。

 

ま、このスタンスを変えるつもりは今のところないんですけど(笑)

 

山下洋輔さんといえば日本を代表するジャズピアニストですが、

テレビなどで紹介される感じだと、

「ピアノの鍵盤をグーでたたきまくってる人」という、

変な誤解を生むような形での紹介が多く、

山下さんがいかにすごいピアニストかというのが伝わってない気もします。

 

そんな山下洋輔さんのバンドでサクソフォンを担当していたのが、

今回紹介する武田和命さんです。

もちろんずっと以前からお名前は存じ上げてましたし、

今回のこのアルバム「Gentle November」も一度聴いています。

 

が、友人にお勧めされるまで、このアルバムのことを忘れていました。

なぜなのかはいまだに理由はわかりません。

 

ジェントル・ノヴェンバー

ジェントル・ノヴェンバー

 

 

いい時代になりました。

こういう貴重な音源が復刻されて発売されています。

山下さんのピアノ伴奏もとても美しく、

もちろん武田さんのテナーサックスの響きはどこまでも優しくかっこいいです。

 

なぜ最近までこのアルバムを聞いてなかったのか不思議でなりません。

ブラスぷらす Op.14

吹奏楽の楽曲というと、どうしてもアメリカの作曲家を多く聞いています。

なので、ここで紹介する曲も大体はアメリカものが多くなります。

 

ジェームズ・カーノウ(James Curnow)といえば、

最初に聞いたのは「交響的三章」だったと記憶していますが、

そのあとでたまたま「トリティコ(Trittico)」を聞いたんですよ。

 


Trittico - James Curnow, Eikanger-Bjoirsvik

 

細かい話をすると専門的になるのでここでは割愛しますけど、

吹奏楽としては長めの曲であるはずなのに、それほど長さを感じないんです。

いろいろなテクニックを駆使していることは確かなんですが、

そういうのを感じさせない曲、といえばいいんでしょうか。

 

この曲は、このブログでは登場していない、

私がボストン留学時代に出会った知人が、かなり後になって教えてくれた楽曲です。

アメリカの吹奏楽団でユーフォニアムを演奏しているその彼が、

やはりユーフォニアム奏者でもあったジェームズ・カーノウの作品を推薦するというのは、なんとも運命的です。

 

そういう意味でも、思い出の1曲と言えるのかもしれないですね。

現代音楽を聞く 特別編


藤倉大作曲、「春と修羅」、映画「蜜蜂と遠雷」"Spring and Asura" - Dai FUJIKURA (for the movie "LISTEN TO THE UNIVERSE".

 

先日見てきた映画「蜜蜂と遠雷」。

その予選で使われたとされる「春と修羅」という曲。

作中では、ベテラン作曲家である菱沼忠明の手によって、

いろいろな事情を経て作曲されたもの、となっています。

 

この辺りの事情は、原作者である恩田陸さんが書かれた、

公式の続編(短編集)「祝祭と予感」を読まれるとわかると思います。

 

で、映画版の「春と修羅」については、

イギリス在住の作曲家、藤倉大さんの手で作曲されました。

上に挙げた動画は、藤倉さんご本人が公式にUPされているもので、

音源の一部が試聴できます。それがとても私好みの音楽だったんです。

 

mitsubachi-enrai-movie.jp

 

四人のコンテスタントそれぞれの演奏を収録したCDも販売されています。

私も全部購入させていただきました。

春と修羅」のそれぞれのカデンツァ(即興演奏)も存分に聞けます。

そして、この曲の楽譜も販売されているみたいですね。

だれか買って演奏してくれないかしら、と期待しつつ、

私も密かに購入して、挑戦してみようかと画策するかもしれません。

 

 

なんだか映画の宣伝みたいになってしまいましたが(笑)、

実際の映画の感想もこのブログで書かせていただきました。

(ネタバレ注意)

 

hw480401.hatenablog.com

 

少しでもこの曲の魅力が伝わってCDが売れることを願いつつ。

 

Incidental Music Vol.72

土日の夕方にアニメをたくさんやっていた時代というのがありました。

 

時代を経て、アニメ=深夜枠というのがやや定着した感もありますが、

それでも、子供を対象にしたアニメなども継続して製作されており、

なんにしても「最近、アニメ多すぎだろ」と思う今日この頃です。

 

土曜の18:30という時間にフジテレビ系列でアニメが放送されていました。

私のような世代だと、タイムボカンシリーズなどがそれにあたりますが、

幽遊白書忍空など90年代以降も続々とアニメが放送されていたんですよね。

 

そんなアニメ枠で「おれは直角」というアニメが放送されました。

原作は「あずみ」「お~い竜馬」などで知られる小山ゆうさん。

主人公・石垣直角を取り巻く人たちの人間模様がとても良く描かれていました。

ギャグアニメではあったのですが、

北条照正が登場し、二人の関係がクローズアップされるようになると、

作品もシリアスさが増していきました。

 

アニメ版の音楽を担当されたのは本間勇輔さん。

この土曜18:30枠のアニメの音楽を数多く担当されたばかりでなく、

テレビドラマなどでも活躍しています。

古畑任三郎」や「私の青空」あたりが有名でしょうか。

 

直角と照正くんとのシリアス回で良く流れていたBGMが大好きで、

サントラ欲しいなぁ、とずっと思ってたんですよ。

 

おれは直角 我直角也舶来的音曲集

おれは直角 我直角也舶来的音曲集

 

 

サウンドトラック、出てたんですね・・・今まで知りませんでした。

10年前くらいに出たDVDBOXは買ったんですけど(笑)

 

このアニメ「おれは直角」ですが、OPも有名みたいです。

ビジーフォーの歌うOPテーマ「学問のスズメ」は、

今でもたまに口ずさむくらい耳に残ってます。

遣唐使鎌倉幕府コロンブスの新大陸発見などの年号はこの詩で覚えたといっても過言ではないです(笑)

 

今も昔も、アニソンは本当にいいもんです。

Julius Watkins / Mood in Scarlet【ジャズのススメ 122】

ホルン、と聞くとあのカタツムリみたいな形を思いうかべる方も多いでしょう。

 

私の兄が吹奏楽部に入っていた頃にやってたので、

学校で支給されたホルンを自宅に持ち帰って練習していました。

なので、ほかの金管楽器と比べると接した回数は多いと思います。

まあ、演奏できたわけではないんですけど(笑)

 

ジャズでホルン、というとなかなか凡例がありません。

今回紹介するジュリアス・ワトキンスは、アメリカのジャズホルン奏者です。

私はこの人以外にジャズホルン奏者をほとんど知りません。

(以前紹介したローランド・カークはホルンも吹いてましたけどね)

 


Charlie Rouse & Julius Watkins - Autumn Leaves

 

Autumn Leaves(枯葉)はメジャーなナンバーです。

数多くの人がこの曲を演奏しています。

今回は、テナーサックスのチャーリー・ラウズとの共演ですね。

ジュリアスのアルバム「Mood in Scarlet」に収録されています。

サクソフォンとホルンの相性がいいというのは、

このアルバムで知ったような気がします。

 

たぶん(笑)

 

Mood in Scarlet

Mood in Scarlet

 

 

ブラスぷらす Op.13

アメリカの作曲家、サミュエル・ロバート・ヘイゾ。

吹奏楽で活躍する音楽家なんですけど、

この名前を知ったのは本当にここ10年ほどのことです。

前にも言いましたけど、本当に吹奏楽には疎いんです・・・

 

いろいろ彼の曲は好きなんですけど、

「Exultate(エクサルターテ)」はよく聞いています。

 


Exultate By Samuel R. Hazo

 

変拍子大好物ということが、これでお分かりいただけると思います(笑)

難度は比較的高い印象ですが、めっちゃかっこいいです。

Exultateはラテン語で「躍る、跳躍する」を意味する言葉です。

その言葉通り、とてもリズミカルな小曲です。

この曲聴くと、元気が出てきます。

 

あと「Fantasy on a Japanese Folk Song」(日本民謡による幻想曲)が有名ですね。

音楽の教科書にも載っている「砂山」のメロディがベースです。

この曲は、北原白秋が作詞、中山晋平が作曲したものがよく知られていますが、

この幻想曲もこの中山晋平版の「砂山」がベースになっています。

他にも山田耕筰などが同じ歌詞に曲を書いています。

 


Fantasy on a Japanese Folk Song by Samuel R. Hazo

映画「蜜蜂と遠雷」の感想(ネタバレあり)

さっき観てきました、「蜜蜂と遠雷」。

原作も単行本と文庫本で二回読みましたし、

キャストもなかなか面白そうで楽しみにしていました。

本当は公開初日に行きたかったんですけど、

仕事の関係でどうしても公開当日は無理だったので、

翌日、つまり今日の仕事帰りに品川の映画館で見てきました。

お客さんの入りはたぶん1割もいなかったと思います。

公開翌日でこの客数というのは少し不安ではありましたが、

夜遅い時間帯だったせいだと納得して、いざ館内へ。

 

 

恩田陸さん原作の「蜜蜂と遠雷」。

この作品で恩田さんは直木賞を射止めました。

単行本でおよそ700ページ弱、文庫本は上下巻で発売されました。

つまりはかなり長い作品です。

3年ごとに開催される、芳ヶ江国際ピアノコンクールを舞台に、

4人のコンテスタント(コンクール挑戦者)にスポットを当てて、

一次予選から本選(決勝戦)までを丹念に描いた作品です。

それぞれのコンテスタントの裏面の事情であったり、

コンテスタント同士の関わり合いだったり、

コンクールの審査員の思惑だったり、いろいろな思いが錯綜し、

それでもコンクールは進んでいきます。

果たして誰がコンクールで一位を獲るのか、

という結果もそうですけど、

それぞれの人間の成長もうかがうことができるとてもいい作品です。

 

ぜひ原作を読んでください。

個人差があるので「絶対損はさせません」とは言えないのですが、

読んでいてクラシック音楽が頭の中で鳴り響くことうけあいです。

(まあ、これも個人差ありますけど・・・(笑)

 

 

 

というわけで、ここからネタバレありになります。

映画をまだ見ていない方、

原作を読んでいない方はここから先はご遠慮ください。

種明かしや結末を見てから小説を読む人も中にはいらっしゃるみたいですけど、

そういう方は全体からみると少数派である、という認識なので、

多数派に属されていると自覚のある人はここから先はご遠慮ください。

どうせ原作も読まないし映画も見ない、という人も、

出来れば見ないでいただけるとありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ここからは映画のストーリーメインでお話を進めます。原作との差異も多くあるのですが、そこは目をつぶっていただけると幸いです)

 

 

 

 

映画版は4人のコンテスタントの一人である、

栄伝亜夜(えいでんあや)を主軸としたお話になっています。

20歳の彼女は、7年前にピアノ協奏曲の演奏中に舞台から逃げ出します。

直前での母親の死が大きくかかわってきます。

そのあとずっと表舞台から消えた彼女でしたが、

いろいろな事情を経て、再び表舞台へと戻ってきます。

それがこの芳ヶ江国際ピアノコンクールでした。

 

そのいろいろな事情というのは映画ではほとんど語られませんでした。

母親の死がトラウマとなっているという設定は何となくわかりますが、

意味不明な馬の映像などを見せられて、頭の中は少し混乱してました。

 

近所に住んでいたマー君と偶然コンテスタント同士で出会うわけですが、

それも映画ではかなり唐突でした。

マー君こと、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールですが、

なんでこんな名前なのか一切説明がありません。

設定は日系ペルー人の母とフランス人の父親を持つという感じですが、

主役ではないのでそのあたりはかなりぼかしてました。

少年時代に一時日本に在住しており、そのころに亜夜と出会い、

ピアノの手ほどきを受けていた、というのは出てきました。

 

物語のキーマンである、もう一人のコンテスタント、風間塵くんですが、

映画では新人の役者さんが演じられていました。

とても初々しくて演技も良かった気がします。

亜夜と塵とのピアノ工房での連弾のシーンは好きでした。

ドビュッシーの「月の光」やベートーヴェンの「月光」などを、

2人で即興で演奏するというシーンですが、

月の光を浴びながら連弾するというのはなかなかに幻想的です。

 

4人目のコンテスタント、高島明石は30歳を目前にして、

コンクール出場資格ギリギリの年齢で出場、

家族を抱えながらも、最後の機会ということで出場を決意します。

松坂桃李さんが演じられたんですが、この明石がとてもよかったです。

友人の記者をブルゾンちえみさんが演じられてたのは驚きましたが、

気さくに明石に話しかけるところや心配している様子など、

とてもよい演技をされていたように思います。

 

 

2時間という映画枠にこの長大な物語を詰め込むためには、

4人いる主人公から一人を抜粋し、スポットを当てるしかなかったのはわかります。

原作通りに映像化すると、どう考えても2時間では足りません。

なので、栄伝亜夜を主役にして物語を構築したのは納得です。

「映画は映画、原作とは違うもの」と納得してみれば悪くはないんです。

意味不明な映像が最初と最後のほうで出てきますが、それも目をつむります。

 

ただ、コンクール第3次予選を丸々カットしたのはいただけません。

カットしたぶん本選に出場した、マサル、塵、亜夜の演奏シーンがたっぷりとれて、

プロコフィエフバルトークの協奏曲を堪能できたのは嬉しかったですけど(笑)

 

あ、そうそう、原作では、

マサルプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を、

亜夜は、同じくプロコフィエフピアノ協奏曲第2番を演奏するんですが、

映画版ではそれがそっくり逆になっていました。

マサルが第2番、亜夜が第3番を演奏することになるわけです。

亜夜が主役で、最後に演奏することになるので、

少し地味な印象もある第2番より、

少し華やかな印象の第3番にした理由もわかりますが、

個人的には亜夜の演奏する第2番を聞いてみたかった気もします。

 

栄伝亜夜のピアノ演奏を担当されたのは河村尚子さん。

海外を拠点に活躍されているピアニストのおひとりで、私も大好きなんです。

なので、ピアノ演奏は本当に素晴らしかったと思います。

 

第2次予選で演奏された「春と修羅」。

コンクールのために菱沼忠明が作曲したという設定のものですが、

この映画のために、現代音楽作曲家の藤倉大さんが作られたんです。

これがまあすごくよかった。好みです。

そしてカデンツァ(即興演奏、自由演奏部分)もすべて藤倉さんが作曲されたみたいですが、こちらもとてもよかったです。

第3次予選を丸々カットしたおかげで、

この「春と修羅」は4人分の演奏を堪能することができたのは嬉しかったです。

カットは納得できなかったですけど・・・

 

あと、コンクールのステージマネージャー田久保さんがよかった。

原作でもかなり美味しい役どころではありましたが、

映画でもとても良い印象です。原作ほど活躍はされませんでしたけど(笑)

 

 

 

映画は映画。わかります。

全てを詰め込もうとしてダイジェスト風になってしまうよりは、

こういう作り方のほうが良いというのも理解はしています。

なので、及第点ギリギリでありますが「良かった」としておきます。

 

クラシック音楽をあまり知らない人でも、

最後の30分ほどは本選を堪能できるくらいの時間があるので、

これを機にプロコフィエフ聞いてみようかしら、と思うかもしれません。

思わないかもしれませんけど(笑)

 

たくさん演奏が聞けるので、あっという間に終わった感じがしました。

そういう意味では成功なのかもしれませんね。