CDではすでにドラクエVIIとVIIIの吹奏楽版は発売されているのですが、
楽譜はまだ発売されていないそうです。
つまり、今回のこの公演が生演奏初お披露目ということになります。
ということを、
今回の演奏会の指揮を担当される永峰さんが仰ってました。
他の部類に比べると吹奏楽はそれほど明るい分野というわけではないので、
どの程度今回の演奏会について書けるかわからないんですけど、
これまでのウインドオケコンと同様、いやそれ以上に感動し、
そして吹奏楽の底力を見せつけられた気もしたので、
こうして文字で記録しておこうと思い立った次第です。
ドラゴンクエスト
ウインドオーケストラコンサート
「ドラゴンクエストVII、VIII」
2017年5月4日(木・祝)
13:30開場 14:00開演
大田区民ホール アプリコ
吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ
作曲:すぎやまこういち
吹奏楽編曲:真島俊夫
指揮:永峰大輔
(以上、敬称略)
演目
ドラゴンクエストVII より
エデンの朝
王宮のホルン
憩いの街角~パラダイス~時の眠る園~うたげの広場~憩いの街角
スフィンクス~大神殿
トゥーラの舞~復活のいのり
オルゴ・デミーラ
凱旋そしてエピローグ
intermission 15 minutes
ドラゴンクエストVIIIより
序曲
広い世界へ~大平原のマーチ
讃美歌に癒されて~修道僧の決意
城の偉容~王宮のガヴォット~城の偉容
大聖堂のある街
ドルマゲス~おおぞらに戦う
空と海と大地
この東京佼成ウインドオーケストラ(以下TKWO)による、
ドラゴンクエストのコンサートなのですが、
初回の大井剛史さん(TKWO正指揮者)の指揮によるドラクエI、IIそしてIIIの演奏、
そして、同じく大井さん指揮によるIV、VそしてVIの演奏、
とTKWOの初回の演奏会には全て参加させていただいております。
逆に言うとフルオーケストラ公演はここ一年以上は全く行ってないことになります(笑)。
ドラクエの音楽、というよりもすぎやまこういちさんの紡ぐメロディが好きで、
この吹奏楽版も含めていろいろなCDを買い漁っているのは、
きっとリアルタイムでずっとこのゲームをプレイし続けているからなのでしょう。
1986年のIから今年7月に発売を予定している最新作のXIまで、
ドラゴンクエストをリアルタイムでプレイできているこの幸せ。
ま、それだけ私も年令を重ねてきた、ということなのでしょうけれども。
さて、今回のVII、VIIIです。
VIIはPS版でもリメイクの3DS版もクリア済みです。
VIIIについてはPS2版とスマホはクリアしたはずです。
3DS版は、まだクリアしてませんね~。ずっとゼルダBotWやってるせいで(笑)。
開演と同時に颯爽と登場した指揮の永峰さん。
どうやらゲーム音楽好きな方には有名な指揮者なのだそうですが、
私は今回生で永峰さんの指揮を初めて拝見させていただきました。
喋るのが苦手、と仰っていましたが、
ところどころに出てくるゲーマー魂とでもいうべきものが言葉の端々ににじみ出ていて、
ああ、この人も相当ゲーム好き、ドラクエ好きなのだな、と思ったものです(笑)。
座席は最前列でした。
クラシックやジャズ、ロックなどいろんな音楽を生で聞いている私ですが、
たぶん最前列で鑑賞するのは、数えるほどしかありません。
ゲームサウンド関連で言うと今回が初、もしくは二度目かもしれませんね。
(確か関西にいた頃に京都でドラクエの演奏会を最前列で聞いたような・・・)
なので、指揮者の表情も奏者の表情もよく見える位置でもあるのですが、
音響的には少し残念な位置、であるともいえますね。
静かに「エデンの朝」から始まります。
穏やかでありながら少し神秘的な響きのあるメロディ。
途中で曲調が明るくなるところは、朝の明るい日差しのようで、
とても心がなごむ一曲ですよね。
そしてそのまま続けて「王宮のホルン」が演奏されます。
明るいホルンのメロディから始まり、
そのメロディが転調しつつ展開していきます。
この曲、大好きなんですよね。ゲームでもよくコントローラを置いて聞いてました。
ここでようやくMCが入ります。
TKWOのドラゴンクエスト演奏会では司会という方がおられず、
指揮者がマイクを持ってMCを行うのが慣習となってる、
かどうかはわからないんですけど(笑)
いささか緊張した面持ちで永峰さんのMCが始まります。
「フィールド」という言葉を「地図」と置き換えたり、
ゲーム好きであろう一面を随所に感じるMCだったと思いますが、
このあとに演奏される曲紹介がバッサリありませんでした。
まあ、手元にセットリスト持ってるので曲順はわかるんですけどね。
次は街の音楽です。
憩いの街角は街で流れる音楽ですね。
ドラクエの街の音楽ってどの曲も本当に大好きでして、
このVIIの憩いの街角は、中でもとびきり好きなんですよ。
PS版で遊んでいた当時のことです。
CDROMで初めてのドラクエということもあって、
読み込みの遅さなどを心配していた方も多かったんですけど、
よくわからない技術ですが「データを事前に読み込む」という特殊な技で、
ROM版と遜色ない、いや、むしろROM版よりも早い画面切り替えを実現してました。
そのせいでちょくちょくエラーが起こったユーザーも多かったみたいですが。
ちなみに、私は一度も画面切り替えによる読み込みエラー起こりませんでした。
画面が突如フリーズしたことはありましたけど、一度だけ(笑)。
おっと話が大きくそれてしまいました。
街に入ると読み込みがなくすぐにこの憩いの街角が流れてくるんです。
それに最初ビックリして、何度も意味なく街を出たり入ったりしてました(笑)。
そのせいでこの曲が頭にすり込まれているんだと思います。
そこから、パラダイスへ。カジノの曲ですね。
そして時の眠る園、さらにはうたげの広場と続きます。
時の眠る園、あの神秘的な音色と不穏な響きが好きなんですよね。
演奏は少し難しそうですけども・・・
スフィンクスの音楽は、後半のリズムが本当に好きです。
金管が大活躍することもそうですが、あの特徴的なリズムが心地よいです。
この音楽が好きすぎて、意味もなくスフィンクスうろうろしてましたね。
という記憶までよみがえってきました。
大神殿はメロディはシンプルなんですが、後ろの伴奏がとても複雑なんです。
専門的な表現はここでは省きますけど、とにかくややこしいんですけど、
トータルで聴いてみると、荘厳でありながら少しやすらぎも感じるという、
稀有な響きと音色を併せ持つ名曲です。
この2曲は金管が活躍することもあり、違和感なくすんなりと聴くことが出来ました。
トゥーラの舞、そして復活の祈りですね。
あのPS版のムービーはもはや伝説とかしている感もありますが、
フラメンコのようなタンゴのような、南米を彷彿とさせるリズムとメロディは、
一度聞くとなかなか忘れられない曲だと私は思ってるんですが。
難しい曲だと思うんですがTKWOの面々は難なく演奏されている印象でした。
プロですから当然っちゃ当然なんですけども。
ここで2度めのMCが入りました。
入ったんですけど、内容がうろ覚えなんですよね(笑)。
永峰さんすいません・・・
スフィンクスの音楽、いやそれだけじゃないんですけど、
ここまでの演奏で心がほぼ腑抜けになってました。
あ、確か、せっかちでレベルをあまり上げずに先へ進んでしまうので、
オルゴデミーラにかなり苦労させられてます、いや、させられた?
と永峰さんが仰ってたのは覚えてます(笑)。
ここまでの演奏も本当にすごかったんですが、
このあとの2曲がさらにすごかった。
オルゴデミーラ。ラスボス曲です。
これまでもかなり力を入れて指揮をされていたんですが、
ここからさらに指揮が激しくなった、ような気がします。
強拍、つまり強く演奏する部分と、弱拍、弱く演奏する部分とのメリハリが、
かなり際立っていた印象でした。
今にもステージにラスボスが降臨しそうなほどの迫力と音色。
渾身の力で指揮をする永峰さんの表情が苦しそうになっているのが少し見えました。
そしてその指揮に応えるように抜群の音色を奏でるTKWOの面々も本当に素晴らしかったです。
ラスボス曲なのに、涙流してました。最前列にいたのに・・・
エンディング曲、凱旋そしてエピローグ。
力強いファンファーレから始まるこの曲は、
IIIのエンディングであるそして伝説へを彷彿とさせます。
ホルンの力強いメロディ、そしてトランペットの力強い合いの手。
木管もそれに負けない素晴らしい演奏で曲に華を添えます。
そしてファンファーレが再び鳴り、音色が静かになっていきます。
凱旋の部分が終了して、エピローグへと入りました。
エンディングのあの映像とこの静かに進むメロディがマッチしていて、
そのことを演奏中に思い出してやはり涙が止まりませんでした。
そして、消え行くように旋律が途切れ、曲は終結します。
VIIの楽曲の生演奏って、たぶん京都で行われた演奏を聞いて以来だと思うんですが、
オルゴデミーラってこんなにいい曲だったのか、
凱旋そしてエピローグってこんなに儚い曲だったのか、
と吹奏楽版での演奏を通して再認識させられました。
確かMCで永峰さんも仰ってたんですが、
序曲(ロトのテーマ)で始まらない演奏会というのも面白いものです。
エデンの朝という静かな曲で演奏会の幕が上がる、いいじゃないですか。
とても緩急に富んだVIIの選曲に大満足でした。
ここで15分間の休憩を挟んで、今後はVIIIの楽曲です。
序曲です(笑)。
ようやくここで登場です。
聞き慣れた、耳に馴染むあの名曲。
IVから脈々と紡がれるファンファーレ、それに続いて流れるテーマ。
初代からずっと変わらないこのメロディを聴くとやはり安心します。
これこれ、これこそドラクエだ、と。
広い世界へ~大平原のマーチ。
VIIIのフィールド曲ですが、かなり穏やかな曲です。
それほどレンジが高くないわけですが、これも作曲者の意図するところですね。
VIIIのフィールドは広い。しかも主人公はこれまでと違ってかなり等身の高いキャラ。
そんなフィールドに勇壮な曲は合わないであろうという判断だと思うんですけど、
この曲、本当に良いですよね。
ずっとここで暮らしていたい、冒険していたいと思う、そんな曲です。
ハープのアルペジオから始まるこの曲、
劇的な展開などもほとんどなく、静かに穏やかに流れていきます。
そんな静けさに満ちた演奏が突如破られます。大平原のマーチですね。
広い世界へのマーチバージョンとも言えるんですが、
こちらは勇壮なマーチでアレンジもかなり盛り上がります。
そしてその盛り上がりのまま曲は終わります。
後半最初のMCは確かこのタイミングだったと思います。
いきなり「MCのタイミング間違えました」と告白する永峰さんがチャーミングでした(笑)。
ここで永峰さんがVIIIの楽曲の解説をされたんですが、
これはそのままここで書くのはやめておきます。
会場に来られていた方限定ということにしときましょうね。
でもとってもためになるお話でした。
教会の音楽の話とドルマゲスの音楽のお話だった、くらいはいいですかね。
あと、ここでタンバリンのお話をしなければなりません。
錬金釜で「ふしぎなタンバリン」を作ったという永峰さん。
そしてTKWOメンバーの方へ振り向いて、
「ふしぎなタンバリン、知ってます?」と聞いたんです。
誰も手をあげなかった、と仰ってましたが私は見逃しませんでした。
クラリネット奏者のお一人が恥ずかしげに手をあげているのを(笑)。
きっとドラクエVIIIをプレイされていた方なのでしょうね。
(違ってたらすいません・・・・)
ここから一気に休みなく最後まで演奏されました。
MC後最初は教会のメロディですね。
讃美歌に癒されて、は教会に入ると流れる音楽です。
原曲はパイプオルガンが主体の楽曲ですが、
吹奏楽版で聴くとまた一味違います。荘厳さは変わりませんよ、もちろん。
この曲も好きなんですが、このあとの「修道僧の決意」が素晴らしかったです。
フーガ、日本語で言うと遁走曲というんですが、
わかりやすく言うと「輪唱」ですね。カエルの歌でおなじみの。
同じメロディを出だしを遅らせて演奏して繋いでいくというものですが、
すぎやまこういちさんのフーガ、私大好きなんですよ。
IIIの王宮のロンドの後半部分やVの大魔王の中間部とかでも、
このフーガといわれる技法が使われてますね。
まあそもそも、私自身がフーガ大好きっ子なんです(笑)。
ベートーヴェンのピアノソナタ第31番の最終楽章のフーガが特に・・・
あ、すいません、また話がそれてしまいました・・・
修道僧の決意の演奏素晴らしかったです。
木管が旋律を順番に紡いでいく過程もそうなんですが、
もうここのアンサンブルがたまらなく素敵でした。
言葉が見つからなくてアンサンブルという言葉で濁しちゃいましたけど。
すいません。
続いて城の偉容~王宮のガヴォットですね。
城の偉容という曲の位置づけが、
おそらく続けて演奏される王宮のガヴォットの、
前奏あるいは序奏ということだと思うんです。違ってたらスイマセン。
ガヴォットというのはフランスの舞曲の一つですね。
思わず踊りだしたくなる曲、かどうかは私は判断しかねるところですが、
曲自体は好きですし、名曲だと思います。
ちなみに私は、この曲の繰り返しに入る直前の展開がかなり好きです。
ただ、トランペットでこの曲大変そうだよなぁ、と思いながら聞いてました。
木管も大変だと思うんですけどもね。
大聖堂のある街。
確かサヴェッラ大聖堂という名前だったと思うんですが、
このVIIIの物語のキモとなる場所の一つでもありますね。
エンディングもこの曲から始まって「空と海と大地」へとつながっていきます。
この曲も金管の特徴的なファンファーレから始まります。
このファンファーレで使われるリズムが曲中に繰り返し使われるんですが、
この話をすると長いので割愛します(笑)。
私の脳内ではこの曲の終了後に「空と海と大地」が流れてたことだけは報告します。
ドルマゲス~おおぞらに戦う。
主人公御一行が追いかけることになる敵、それがドルマゲスです。
ネタバレになるのでこれ以上は何も言えませんが、
このドルマゲスとの戦闘曲、かっこいいですよね。
出だしのトランペットの特徴的なメロディから、
どこへ向かうかわからない不穏さを抱えながら様々に楽曲が展開していきます。
前述のMCのところでも永峰さんがこの曲の解説をされてましたが、
ここではそのお話のことは書きません。
そしてラスボス、ラプソーンでしたね。
ラプソーンとの戦いで流れる「おおぞらに戦う」。
IIIの楽曲の中でも屈指の名曲として知られる「おおぞらをとぶ」のアレンジ曲です。
なぜIIIの楽曲のアレンジがVIIIで流れるのか。
それは実際にプレイして確かめてみてください。
あの名曲が勇壮な戦闘曲になってますから。
空と海と大地。
エンディング曲ですね。
原曲は「ピアノとオーケストラのためのエンディング」とも言える楽曲です。
ピアノが随所に登場して、流麗なメロディが紡がれていきます。
この曲も好きなんですよね。
これまで殆ど使われたことのないピアノの音色が入っていることもそうですが、
この曲、後半で「大聖堂のある街」のメロディが出てくるんですよ。
エンディングを見た方なら、ああなるほど、という演出なんですけど、
音楽でこうした演出をするというのは素晴らしいですよね。
今回の吹奏楽版ではもちろんピアノはありませんでした。
オケ版もそうですよね。確かピアノが入ってないバージョンだったはずです。
(昔、ピアノがあるバージョンが生演奏されたという噂も!?)
なんだか、今回の演奏会の感想というより、
ドラクエの感想みたいになってしまいましたね(笑)。
さて、アンコールです。
今回初演となるドラクエIXから「序曲IX」が演奏されました。
これ、予想してなかったのでびっくりです。
7月に「ドラクエIX」のウインドオーケストラコンサートが行われるとのことで、
先行公開ということみたいですね。
あ、初演というのは吹奏楽版でのドラクエIXの演奏ということです、ちなみに。
そして、永峰さんから御礼の言葉が紡がれると同時に、
早足で指揮台へと上がり、アンコール2曲めとして演奏されたのが、
ドラクエIIIのED「そして伝説へ」でした。
素晴らしい演奏会でした。
ドラクエVIIもVIIIもクリアしてから随分時間が経過していたので、
思い出すのにかなり苦労をしたんですが、
それでもTKWOのすばらしい演奏、そして永峰さんの熱のこもった指揮もあり、
とても感動してなみだなみだの演奏会となりましたことをここにご報告します。
最前列にいたのに涙流してみっともない顔で鑑賞してすいませんでした。
でも、そのくらい感動したということで許していただけるとうれしいです。
あと、余談ですが、コンマス?のフルートのかた(お名前わかりません・・・)が、
とてもきれいなフォームでフルートを演奏されていたのに見とれてたこと、
あとは、クラリネット奏者の女性の方が咳をされてたのが心配だったこと、
そしてハープ奏者のかたをずっとみていたところが多々あったこと、
なども合わせてご報告させていただきます(笑)。
指揮の永峰さん、そして東京佼成ウインドオーケストラのみなさん。
また会場スタッフのみなさん。
本当にお疲れ様でした。とても楽しく嬉しく感動した演奏会でした。
追記
後半MCのとき、指揮の永峰さんが
「オルゴデミーラの演奏でHPが削られましたが、
休憩中に回復いたしました」と言っておられました。
そのくらい全身全霊で指揮をされていたのだと思います。
あの曲で心が震えました。
きっと後半、アンコールと立て続けに演奏されて、
HPが一桁になっていると思いますので、ゆっくりとお休みください。
本当に、ほんとうにお疲れ様でした。